文献情報
文献番号
200710012A
報告書区分
総括
研究課題名
ICUで使用可能な人工赤血球およびME技術の開発に関する研究
課題番号
H17-創薬-一般-050
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
武田 純三(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 泉 陽太郎(慶應義塾大学医学部 )
- 宗 慶太郎(早稲田大学理工総研)
- 饗庭 了(慶應義塾大学医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,475,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
昨年度に引き続き、集中治療室(Intensive Care Unit: ICU)において、様々な合併症を併発した状態を想定した人工赤血球、Hb小胞体実際の臨床応用に関する動物実験および小胞体物性の解析と最適化を行なった。本研究ではICU管理と密接な関係にある合併症や管理方法の中から、人工呼吸器管理、ショック、敗血症、膜型人工肺回路による管理における人工赤血球、Hb小胞体の使用を想定し、それぞれ動物モデルを用いた検討を行った。またICUで使用が想定される種々の人工回路内を循環した際の小胞体の安定性、ならびにショック状態における生体内の活性酸素発生下における小胞体の安定性につき検討した。これらの検討によりICUにおける病態により適したHb小胞体開発の一環として、小胞体脂質膜の安定性が検証された。
研究方法
①ウサギにおける(ventilator induced lung injury: VILI)モデルに人工赤血球、Hb小胞体の投与を行った。検討した範囲ではHb小胞体投与のVILIへの悪影響は明らかではなく、むしろ軽減される可能性も示唆された。
②ラットを用い、SIRS状態の簡便な評価方法として腸間膜リンパ節の採取および培養方法を検討した。腸管障害モデルを作成し腸間膜リンパ節の培養を行った
③ラット人工心肺モデルにおいて脳血流および脳組織酸素分圧のモニタリング方法を安定化させた。
④人工心肺回路内における小胞体の安定性を検討。また、敗血症を想定した小胞体脂質膜の修飾の可能性については、脂溶性抗酸化剤をリン脂質二分子膜に担持させることにより酸化障害を抑制する傾向が得られた。
②ラットを用い、SIRS状態の簡便な評価方法として腸間膜リンパ節の採取および培養方法を検討した。腸管障害モデルを作成し腸間膜リンパ節の培養を行った
③ラット人工心肺モデルにおいて脳血流および脳組織酸素分圧のモニタリング方法を安定化させた。
④人工心肺回路内における小胞体の安定性を検討。また、敗血症を想定した小胞体脂質膜の修飾の可能性については、脂溶性抗酸化剤をリン脂質二分子膜に担持させることにより酸化障害を抑制する傾向が得られた。
結果と考察
昨年度に引き続き本研究で検討した各項目はICUにおける様々な管理の特殊性を反映したものであり、いずれも重要かつICUにおける人工赤血球使用に不可欠である。人工呼吸器管理下にある状態における投与を想定した実験では、人工赤血球による肺障害が助長される可能性については本研究では明らかではなく、交換率を上げた場合には軽減効果も示唆された。ショック状態および敗血症を想定したモデルも最適化が得られつつあり、今後人工赤血球投与における評価系として期待される。また人工心肺回路充填液としての役割も期待でき、特に人工心肺運転中に脳組織の酸素化を改善できる可能性が示唆された。さらには、回路装置内、あるいはショック状態にある生体内における小胞体の安定性に関する基礎的知見が得られた。
結論
更なる検討を要するが、本研究により臨床試験の段階でもICUにおける使用を検討する方向性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2008-06-11
更新日
-