血液製剤安定確保のための人工酸素運搬体を用いた救急医療への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200710006A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤安定確保のための人工酸素運搬体を用いた救急医療への応用に関する研究
課題番号
H18-創薬-一般-021
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
四津 良平(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 篤裕(日本医科大学 医学部)
  • 相川 直樹(慶應義塾大学医学部)
  • 堀之内 宏久(慶應義塾大学医学部)
  • 小松 晃之(早稲田大学理工学術院)
  • 大鈴 文孝(防衛医科大学校 第1内科)
  • 冨田 裕(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
13,875,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヘモグロビン小胞体(HbV)とアルブミンヘムは輸血の代替を目的に開発中であるが、小さな粒径とガス交換能を生かした新たな臨床応用について探索的研究を展開する。
研究方法
①体外循環モデル(ラット)を用い、HbVの充填液としての可能性を検討。②大血管損傷制御不能出血性ショックモデル(ラット)を作成、HbVによる蘇生効果を検討。③HbVに使用されるPEGの代謝、造血機能についての組織学的検索。④出血性ショック(ラット)時の肺における炎症性サイトカインの遺伝子発現の程度を検討。⑤ランゲンドルフ灌流(ラット心)を用いてHbVを用いた再灌流後の心機能の回復機序をイオンチャネルから解析。⑥脳虚血モデル(マウス)を用いて脳虚血巣に対するHbVの影響を検討。⑦マウス腸炎モデルを用いてHbVの抗炎症効果を検討。⑧新たな遺伝子修飾アルブミンを作成、プロトヘムを結合させた新しい物質の創製を目指した。
結果と考察
①HbVを用いると体外循環実施時および終了後も脳血流が保たれ、高次脳機能の維持に関与していると考えられた。②制御不能出血においてHbVは同種血液と同様、生存時間の延長と血圧維持能力があり、臓器機能の維持に有効と思われた。③出血性ショック治療後は経時的にPEGも消失し、PEGの蓄積性は無く、造血機能も保たれた。④炎症性サイトカインの肺での発現はHbV群で同種血群ともに同様な発現パターンを呈し、HbVに毒性は少ないと予想された。⑤HbVの心筋虚血再灌流障害による保護効果はmitochondria KATP-channel活性系と異なる経路でなされていると考えられた。⑥脳虚血巣ではHbV投与後、脳表の酸素分圧は有意に上昇し、虚血巣内をHbVが通過するのが確認され、虚血領域縮小の可能性が示唆された。⑦マウス腸炎モデルではHbV投与群で大腸炎活動性指標を低下させ、腸炎の増悪防止の可能性が考えられた。⑧新規遺伝子組み換えアルブミン(2箇所のアミノ酸を改変)を作成、人工合成したプロトヘムを結合させた物質を作成し、酸素運搬を行うことが可能と判断された。
結論
HbVの特性を生かした臨床での適応拡大をにらんだ検討で、HbVが体外循環の補填液として有効であり、制御不能出血例に使用でき、ショック状態での代謝や、炎症性サイトカインの発現も問題ないことが明らかとなった。また、脳虚血、心筋虚血での有用性も明らかとなり、腸炎の治療にも応用できる可能性がある。新しいタイプのアルブミンヘムを創製した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-