完全ゲノムタイリングアレーを用いたゲノム病解析研究

文献情報

文献番号
200707023A
報告書区分
総括
研究課題名
完全ゲノムタイリングアレーを用いたゲノム病解析研究
課題番号
H18-ゲノム-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
松本 直通(横浜市立大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 直樹(九州メディカルサイエンス)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトゲノムを隙間無く完全にカバーする完全ゲノムタイリングアレーを開発し、これを用いてヒト神経精神発達に重要な影響を及ぼすヒトゲノムの微細構造異常(欠失・重複・転座)を網羅的に解析し、同定されたゲノム異常から神経精神疾患関連遺伝子を単離することを目的とする。
研究方法
①全ゲノムタイリングアレーの完成
米国CHORIから供与を受けた完全ヒトゲノムタイリングBAC DNA(BAC 33,169個)を鋳型にPCR増幅を行い、フィルター法で精製しインクジェット法を用いて1枚のアレースライド上に全てのクローンDNAを配置する(委託外注)。
②症例の集積
遺伝医学コンソーシアムで形成されたネットワークを中心に、精神遅滞関連症候群ならびに統合失調症並びにパニック障害の症例を集積する。
③精神遅滞関連疾患の責任遺伝子単離
疾患ゲノム解析で同定された病的ゲノムコピー数異常領域から候補遺伝子を選出し同様の疾患群を対象に遺伝子変異の特定を行う。
結果と考察
①全ゲノムタイリングアレーの作製
増幅・精製したクローンDNAをインクジェットによるアレースポッティング(委託外注)が完了した(平成19年10月)。当初の計画通り平成19年度中期の完成となった。
②症例の集積と解析
既に複数の稀少な疾患群で10例以上、統合失調症60例、パニック障害130例、特発性精神遅滞150例も集積済みである。Aicardi症候群、Coffin-Siris症候群では保有する4.2KアレーとAffymetrix GeneChip 250Kでの解析を終了した。複数のゲノム異常領域が同定されており疾患関連遺伝子の有無の症例を検討中である。
③疾患遺伝子の単離
EIEE症例の1例で常染色体上に微細欠失を同定した。同部位から候補遺伝子群を選定し、他の同症候群症例で変異解析を行ったところ4例に点突然変異を同定し責任遺伝子であると結論した(世界に先駆けた成果で、未発表のため詳述できないが、現在投稿中。また新規診断法として特許出願)。
結論
本研究課題の中核である完全ゲノムタイリングアレーが本年度中期に予定通り完成した。現在完全タイリングアレー解析に最適な実験プロトコールを検討中である。プロトコールの設定完了次第、33K BACアレーを用いて詳細に疾患ゲノム解析を行う。既に1症候群において疾患特異的ゲノム異常から疾患関連遺伝子単離にも成功し本手法を用いた疾患遺伝子単離法の有用性は明らかである。

公開日・更新日

公開日
2008-03-10
更新日
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