文献情報
文献番号
200707014A
報告書区分
総括
研究課題名
インスリン分泌促進型経口糖尿病薬の薬物応答関連遺伝子の多型探索及びそのテーラーメイド投薬への応用
課題番号
H17-ファーマコ-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬品安全性学)
研究分担者(所属機関)
- 安田 和基(国立国際医療センター 研究所 代謝疾患研究部)
- 埴岡 伸光(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 前川 京子(国立医薬品食品衛生研究所 機能生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
43,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2型糖尿病の治療にはインスリン分泌促進型経口糖尿病薬が繁用される。しかし、投与初期から十分な薬効が得られない「一次無効」が起こり、また一旦は薬効が得られたものの長期連用に伴い薬効が消失する「二次無効」が約2割で発生し臨床上問題となっている。本研究は特にスルホニルウレア剤(SU剤)の薬効最適化とその持続の予測モデルを確立し、患者毎の背景因子や遺伝子型に基づく投薬により、糖尿病合併症を予防して患者QOLを改善することを目的とする。
研究方法
一次無効:HNF4A及びCYP2C8で同定された新規多型(それぞれ1種及び2種)に関して、それぞれ哺乳動物細胞及び酵母細胞で変異型蛋白質を発現し、インビトロ機能解析を行った。
二次無効:昨年度確立したSU剤前処理によるインスリン分泌障害モデル(膵β細胞株を用いたインビトロ系)を用いて、DNAチップにて発現が変化した遺伝子につき、siRNAによるノックダウンを行い、インスリン分泌障害の改善を検討した。患者検体としては、長期有効患者、二次無効患者等、計389例の臨床パネルを用い、ゲノム網羅的多型解析はアフィメトリクス250Kアレイにて、候補遺伝子多型解析はインスリン分泌及び膵臓β細胞の機能維持に重要な約23遺伝子65多型につき主としてタイピングにて解析した。
二次無効:昨年度確立したSU剤前処理によるインスリン分泌障害モデル(膵β細胞株を用いたインビトロ系)を用いて、DNAチップにて発現が変化した遺伝子につき、siRNAによるノックダウンを行い、インスリン分泌障害の改善を検討した。患者検体としては、長期有効患者、二次無効患者等、計389例の臨床パネルを用い、ゲノム網羅的多型解析はアフィメトリクス250Kアレイにて、候補遺伝子多型解析はインスリン分泌及び膵臓β細胞の機能維持に重要な約23遺伝子65多型につき主としてタイピングにて解析した。
結果と考察
一次無効:CYP2C8の1種の多型が酵素活性を完全に欠損させるものであることを明らかにし、本情報を患者検体との相関解析に用いた。単相関解析で3遺伝子のハプロタイプがHbA1c値の減少率と有意に相関し、さらに多変量解析により一次無効予測モデルを確立した。
二次無効:グリベンクラミド前処理によりグルコース反応性インスリン分泌が障害された際に、有意な発現レベルの変動を示す遺伝子を11種見いだした。siRNAを用いた解析により、このうち3種が実際にインスリン分泌障害に関係していることを実証し、候補遺伝子とした。患者検体の解析では、ゲノム網羅的解析で100種の多型がp<0.001で二次無効発現と相関し、統計上の多重性を考慮した場合でも、4種の多型が有意となった。また候補遺伝子多型解析では、単相関解析で9種の有意に相関する多型を見いだした。さらに多変量解析により二次無効予測モデルを確立した。
二次無効:グリベンクラミド前処理によりグルコース反応性インスリン分泌が障害された際に、有意な発現レベルの変動を示す遺伝子を11種見いだした。siRNAを用いた解析により、このうち3種が実際にインスリン分泌障害に関係していることを実証し、候補遺伝子とした。患者検体の解析では、ゲノム網羅的解析で100種の多型がp<0.001で二次無効発現と相関し、統計上の多重性を考慮した場合でも、4種の多型が有意となった。また候補遺伝子多型解析では、単相関解析で9種の有意に相関する多型を見いだした。さらに多変量解析により二次無効予測モデルを確立した。
結論
グリメピリドの一次無効およびSU剤の二次無効に関して、有意に相関する遺伝子多型を見いだし、これらの予測モデルを確立した。
公開日・更新日
公開日
2008-04-10
更新日
-