臓器移植の社会基盤整備に関する研究-脳死臓器提供を承諾した家族の心情と臓器移植コーディネーターによるドナー家族ケアに関する経年的調査研究

文献情報

文献番号
200706017A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植の社会基盤整備に関する研究-脳死臓器提供を承諾した家族の心情と臓器移植コーディネーターによるドナー家族ケアに関する経年的調査研究
課題番号
H17-再生-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小中 節子(社団法人日本臓器移植ネットワーク 医療本部)
研究分担者(所属機関)
  • 朝居 朋子(社団法人日本臓器移植ネットワーク 中日本支部)
  • 芦刈 淳太郎(社団法人日本臓器移植ネットワーク 東日本支部)
  • 横田 裕行(日本医科大学付属病院 高度救命救急センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療等研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,633,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳死臓器提供を承諾した家族の承諾理由、脳死臓器提供に至るまでの心情、提供後の心理状況やこれに影響を与えた要因の経時的な調査と、日本臓器移植ネットワークが実際に行なってきた臓器提供者家族への説明・承諾の手続き及び提供後の家族対応の実態調査、それぞれの分析結果を基礎資料とし、ドナー家族対応プロトコール作成を行い、移植コーディネーターの教育・研修に用い、移植コーディネーターの質量の確保を目的とする。厚生労働の行政施策の観点から今後のより良い臓器提供者家族支援体制の構築に資するものである。
研究方法
脳死臓器提供40事例における移植コーディネーターの家族対応実態、実際に家族対応を行なった24移植コーディネーターが考えた家族の懸念・関心、更に、臨床的脳死を経て死別した9家族の心理過程の探索的研究結果を基礎資料とし、移植コーディネーターによる家族支援の標準モデルを検討し、ドナー家族対応プロトコールを作成する。又、海外調査結果により得た家族対応ツールを参考資料にする。
結果と考察
脳死ドナー家族の主な懸念・関心は、情報公開プライバシーの保護・承諾する家族の範囲・臓器提供の時間経過(長さ)と家族の喪失感・悲嘆であった。又、移植コーディネーターは提供後も約7割の家族に対応しており、ドナー家族は移植者の経過などを伝える移植コーディネーターの関わりを肯定的に捉え、ドナー家族の慰安に役立っていると推察された。入院中の家族心理は死別への戸惑い、死への理解と体験との不一致、悲嘆反応が同時に起こり、不安定な状態である。この家族ニーズに応じて“家族対応プロトコール”を検討し、1.脳死患者家族の心理、2.意思決定から臓器提供までの対応、3.提供後の対応に分けまとめた。内容は基本的知識だけでなく、具体的事象のQ&A、参考資料を一緒にまとめた。この事によりドナー家族対応の質向上、より良い家族支援体制の構築ができ、結果として移植医療の臨床上の効果が得れると考える。
結論
わが国の脳死ドナー家族に関する懸念と関心状況と移植コーディネーターの行なったドナー家族支援の実態調査を行ない、結果分析からドナー家族の真のニーズを導き出し、このニーズに対応した脳死ドナー家族対応のプロトコールを作成した。このプロトコールを作成はより良い家族支援体制の構築に繋がると考える。
今後は、このプロトコールを用いた教育研修に評価を繰り返し、より充実していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-06-05
更新日
-

文献情報

文献番号
200706017B
報告書区分
総合
研究課題名
臓器移植の社会基盤整備に関する研究-脳死臓器提供を承諾した家族の心情と臓器移植コーディネーターによるドナー家族ケアに関する経年的調査研究
課題番号
H17-再生-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小中 節子(社団法人日本臓器移植ネットワーク 医療本部)
研究分担者(所属機関)
  • 朝居 朋子(社団法人日本臓器移植ネットワーク 中日本支部)
  • 芦刈 淳太郎(社団法人日本臓器移植ネットワーク 東日本支部)
  • 横田 裕行(日本医科大学付属病院 高度救命救急センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療等研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳死臓器提供を承諾した家族の承諾理由、脳死臓器提供に至るまでの心情、提供後の心理状況やこれに影響を与えた要因の経時的な調査と、日本臓器移植ネットワークが実際に行なっている臓器提供者家族への説明・承諾の手続き及び提供後の家族対応の実態調査を行ない、両局面から調査分析する。この基礎資料を基にした移植コーディネーターの教育・研修プログラムを開発することにより、厚生労働の行政施策の観点から今後のより良い臓器提供者家族支援体制の構築に資するものである。
研究方法
1.脳死臓器提供40事例の移植コーディネーターが行なった家族対応の実態調査を行ない分析する。2.実際に家族対応を行なった24移植コーディネーターに家族の懸念・関心を調査し、間接的にドナー家族の心情を類推する。3.臨床的脳死を経て死別した9家族の心理過程の探索的研究を行なう。 1,2,3の基礎資料を基に移植コーディネーターによる家族支援の標準モデルを検討し、ドナー家族対応プロトコールを作成する。
結果と考察
わが国における脳死ドナー家族の主な懸念・関心は、情報公開プライバシーの保護・承諾する家族の範囲・臓器提供の時間経過(長さ)と家族の喪失感・悲嘆であった。移植コーディネーターの家族対応は移植者の経過を伝えるなど提供後も約7割に継続していた。又、家族は現実と死別への葛藤、そして悲嘆反応が同時におこり不安定な状態であり、死別を受け入れるには少なくとも2年間はかかると思われた。この事からわが国の特異な情報公開と法律に則った臓器提供手続きはドナー家族にとって大きな負担となっていることが伺われ、移植コーディネーターは、臓器斡旋手続きの習熟、家族の心情を十分認識し、その対応方法を会得しておく必要がある。この家族ニーズに応じて“家族対応プロトコール”を作成した。この事によりドナー家族対応の質向上、より良い家族支援体制の構築ができ、結果として移植医療の臨床上の効果が得れると考える。
結論
わが国の脳死ドナー家族に関する懸念と関心状況と移植コーディネーターの行なったドナー家族支援の実態調査を行ない、結果分析からドナー家族の真のニーズを導き出し、このニーズに対応した脳死ドナー家族対応のプロトコールを作成した。このプロトコールを作成はより良い家族支援体制の構築に繋がると考える。
今後は、このプロトコールを用いた教育研修に評価を繰り返し、より充実していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-11-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200706017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
平成9年に「臓器の移植に関する法律」が施行されて以来、わが国における脳死臓器提供は66例を超えた。これらのドナー家族対応を移植コーディネーターが担っているが、その手法については大概的な基準はあるものの、確立されておらず、個々のコーディネータースキルにまかされているところが大きい。本研究で行った脳死ドナー家族の懸念と関心・コーディネーターの行った脳死ドナー家族対応に関する実態調査は本邦初であり学術的、専門的に意義深いと考える。
臨床的観点からの成果
本調査結果の分析から可能な限り真の家族のニーズを導き出し、このニーズに応じた家族対応を検討し“脳死ドナー家族対応のプロトコール”としてまとめた。このプロトコールは、臓器提供の意思決定から臓器提供、臓器提供後に分けまとめたが、基本的知識だけでなく、Q&A、参考資料も一緒にまとめた。この事により移植コーディネーターの行なうドナー家族対応の質向上、より良い家族支援体制の構築ができ、結果として移植医療の臨床上の効果が得れると考える。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
厚生労働省は、脳死臓器移植医療の確立に向けて、脳死臓器提供事例の検証を行ないながら、より適切な臓器斡旋手続きの策定、移植コーディネーターの質量の確保、臓器提供施設の体制整備などを行なっている。今回の研究結果は脳死臓器提供に係る検証会議の下部組織である脳死ドナー家族の心情把握作業班会議の参考資料や予算策定資料として活用された。又、実際の経験知を活かした“脳死ドナー家族対応のプロトコール”は移植コーディネーターの質量の確保に結びつくと考える。
その他のインパクト
本研究結果から可能な限り真の家族のニーズを導き出し、このニーズに応じた家族対応を検討し“脳死ドナー家族対応のプロトコール”としてまとめた。この事により移植コーディネーターの行なうドナー家族対応の質向上、より良い家族支援体制の構築ができると考える。又、本研究で得た成果を各種学会や紙上発表を通してドナー家族への社会の理解が得れ、この事は移植医療が発展する上での効果があると考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-