骨・軟骨・関節疾患を標的としたCNP-guanylyl cyclase-B systemのトランスレーショナルリサーチ

文献情報

文献番号
200706002A
報告書区分
総括
研究課題名
骨・軟骨・関節疾患を標的としたCNP-guanylyl cyclase-B systemのトランスレーショナルリサーチ
課題番号
H17-再生-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病センター研究所)
  • 八十田 明宏(京都大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療等研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
36,046,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでナトリウム利尿ペプチドファミリーのトランスレーショナルリサーチを展開し、ANP・BNP/GC-A系の心臓血管ホルモンとしての意義の解明、診断薬、心不全治療薬としての臨床応用に成功した。本研究ではCNP/GC-B系の極めて強力な骨伸長促進作用と関節軟骨に対する肥大化作用の発見を踏まえて、骨・軟骨・関節疾患におけるCNP/GC-B系の意義を解明し、新規治療薬としての臨床応用を実現するトランスレーショナルリサーチである。
研究方法
CNPの強力な骨伸長促進作用を、骨伸長障害をきたす疾患群に対して臨床応用するにあたり、CNPの全身投与モデルとしてトランスジェニックアプローチおよび合成CNP投与によるマウス血中CNP濃度上昇を試みた。さらに、これらの方法を用いた血中CNP濃度上昇が、骨系統疾患の代表的疾患である軟骨無形成症のモデルマウスの骨伸長障害に及ぼす効果について検討した。さらに、GC-Bの賦活化について、より安定性の高いナトリウム利尿ペプチドファミリーであるBNPのマウス生体内における骨伸長促進作用について検討した。
結果と考察
トランスジェニックアプローチおよび合成CNP投与により軟骨無形成症モデルマウスの骨伸長障害はほぼ完全に回復し、血中CNP濃度の上昇、すなわちCNPの全身投与が軟骨無形成症をはじめとする骨伸長障害の新たな治療法となりうることが示された。さらに、血中BNP濃度が上昇するBNPトランスジェニックマウスとCNPノックアウトマウスとの交配実験により、CNP欠損状態における血中BNP濃度上昇の骨伸長に対する効果を検討したところ、血中BNP濃度上昇によりCNPノックアウトマウスの骨伸長障害が部分的に改善し、BNPがCNPの骨伸長促進作用を代替しうる可能性が示された。
結論
骨軟骨疾患を標的としたCNP/GC-B系賦活化のトランスレーショナルリサーチを推進した。今後実際の臨床使用に向けて、投与量や投与時間などより具体的な項目についての最適化を図る予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200706002B
報告書区分
総合
研究課題名
骨・軟骨・関節疾患を標的としたCNP-guanylyl cyclase-B systemのトランスレーショナルリサーチ
課題番号
H17-再生-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病センター研究所)
  • 八十田 明宏(京都大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療等研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでナトリウム利尿ペプチドファミリーのトランスレーショナルリサーチを推進し、ANP・BNP/GC-A系の心臓血管ホルモンとしての意義の解明、診断薬、心不全治療薬としての臨床応用に成功してきた。本研究ではCNP/GC-B系の極めて強力な骨伸長促進作用と関節軟骨に対する肥大化作用の発見を踏まえて、骨・軟骨・関節疾患におけるCNP/GC-B系の意義を解明し、新規治療薬としての臨床応用を実現するトランスレーショナルリサーチである。
研究方法
CNP/GC-B系の遺伝子改変マウスを用いて内軟骨性骨化による骨伸長におけるCNP/GC-B系の意義を詳細に検討した。さらに、臨床応用にあたり、CNPの全身投与モデルとしてトランスジェニックアプローチおよび合成CNP投与によるマウス血中CNP濃度の上昇法を確立し、軟骨無形成症のモデルマウスの骨伸長障害に及ぼす効果について検討した。また、CNP/GC-B系の賦活化については、マウス胎仔脛骨器官培養系を用いてCNP局所クリアランスシステムの意義を、さらに遺伝子改変マウスを用いてBNPの骨伸長促進作用について検討した。
結果と考察
CNPノックアウトマウスと同様にGC-Bノックアウトマウスにおいても内軟骨性骨化により形成される骨の伸長障害が確認され、骨伸長促進系としてのCNP/GC-B系の意義が確立した。トランスジェニックアプローチおよび合成CNP投与により軟骨無形成症モデルマウスの骨伸長障害はほぼ完全に回復し、CNPの全身投与が軟骨無形成症をはじめとする骨伸長障害の新たな治療法となりうることが示された。また、クリアランス受容体のアゴニストやBNPによってもCNP/GC-B系を賦活化し、内軟骨性骨化による骨伸長を促進できることが示されて、CNP/GC-B系賦活化のさまざまなストラテジーの展開が可能であることが示された。
結論
骨軟骨疾患を標的としたCNP/GC-B系賦活化のトランスレーショナルリサーチを推進した。今後実際の臨床使用に向けて、投与量や投与時間などより具体的な項目についての最適化を図る予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200706002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ナトリウム利尿ペプチドファミリーの遺伝子改変マウスを用いて、そのうちのCNP/GC-B系がきわめて強力な内軟骨性骨化による骨伸長の促進因子であることを証明した。さらに骨伸長障害をきたす軟骨無形成症の疾患モデルマウスを用いて、CNP/GC-B系の賦活化が軟骨無形成症の新たな治療法となりうることをNature Medicine誌に報告した。厚生科学研究補助金を得て、臨床使用を目指したさらなるトランスレーショナルリサーチを推進している。
臨床的観点からの成果
骨伸長障害をきたす疾患群である骨系統疾患の一病型であるマロトー型遠位中間肢異形成症の原因がGC-Bの遺伝子異常であることが報告され、ヒトの骨伸長においてもCNP/GC-B系が重要であることが証明された。当該研究においては軟骨無形成症をはじめとする骨系統疾患に対してCNP/GC-B系の賦活化を臨床使用するための前臨床試験を遂行しており、今後早期の臨床使用の実現が希求される。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
Nature Medicine誌に報告した研究成果は朝日新聞、毎日新聞、読売新聞等に掲載された。また、軟骨無形成症患者家族会において講演会をおこなっている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
10件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
25件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計6件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
軟骨無形成病患者家族会への講演会

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ami Ozasa, Yasato Komatsu, Akihiro Yasoda, et al.
Complementary antagonistic actions between C-type natriuretic peptide and the MAPK pathway through FGFR-3 in ATDC5 cells.
Bone , 36 , 1056-1064  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-