歯科医師の医科麻酔科研修のガイドライン改訂に関する研究

文献情報

文献番号
200705015A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医師の医科麻酔科研修のガイドライン改訂に関する研究
課題番号
H19-特別-指定-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
一戸 達也(東京歯科大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福島 和昭(北海道大学大学院 歯学研究科)
  • 住友 雅人(日本歯科大学 生命歯学部)
  • 並木 昭義(札幌医科大学 医学部)
  • 澄川 耕二(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 古家 仁(奈良県立医科大学 医学部)
  • 松久保 隆(東京歯科大学 歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
1,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、現行の「歯科医師の医科麻酔科研修のガイドライン」に基づいて実施された歯科医師の医科麻酔科研修の実績を検証・評価し、現行の研修の課題と改善すべき点を明らかにしてガイドラインを見直し、必要な改訂を行うことを目的とした。
研究方法
1. 実態調査
1) 歯科:歯学部歯科麻酔科及び口腔外科、小児歯科、障害者歯科、高齢者歯科、医学部口腔外科、一般病院口腔外科を対象とし、教育、研究、臨床の現状と医科麻酔科研修修了歯科医師の活動状況および歯科医師の医科麻酔科研修の実態を調査した。
2) 医科:医学部麻酔科を含む日本麻酔科学会麻酔科認定病院の麻酔科を対象とし、歯科医師の医科麻酔科研修の実態を調査した。
2. 関係学会からの意見聴取
 上記の実態調査をもとにガイドライン改訂案の骨子を作成し、日本口腔外科学会、日本小児歯科学会、日本障害者歯科学会、日本老年歯科医学会の代表者から意見を聴取した。
3. ガイドライン改定案の作成
 以上の結果を参考にしてガイドライン改訂案を作成した。
結果と考察
1. 医科麻酔科研修の実態
1) 歯科
 アンケートの回収率は56.8% (252/444)であった。歯科医師の医科麻酔科研修は51.2% (129/252)で行われていた。歯科医師の医科麻酔科研修の意義として全身管理の修得や医療安全の向上などが、現行ガイドラインの問題点として事前の歯科麻酔経験や研修項目・研修水準などが挙げられた。
2) 医科
 アンケートの回収率は58.4% (633/1084)であった。歯科医師の医科麻酔科研修は26.1% (165/633)で行われていた。歯科医師の医科麻酔科研修の意義として全身管理や救急処置の修得の修得、医療安全の向上などが、現行ガイドラインの問題点として研修項目・研修水準や説明と同意などが挙げられた。
2. ガイドライン改定案の作成
 作成したガイドライン改定案は、歯科医師の医科麻酔科研修のガイドライン(改定案)本文と別紙1(医科麻酔科研修を希望する歯科医師の研修歴、臨床経験及び知識・技能評価)、別紙2(研修項目と研修水準)、別紙3(麻酔についての説明・同意書(例示))、別添資料(歯科医師の医科麻酔科研修実施の流れ)からなっている。
 今回の改訂によって、歯科医師の医科麻酔科研修がその本来の目的を適切かつ十分に達成し、国民の歯科保健の向上に貢献することが期待される。
結論
 歯科医師の医科麻酔科研修の実態調査や関係学会からの意見聴取等を踏まえて、歯科医師の医科麻酔科研修のガイドライン改定案を作成した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200705015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 法的整合性等に関する現行の「歯科医師の医科麻酔科研修ガイドライン」の基本的な考え方を踏襲しつつ、研修における指導者の役割の明確化や患者への説明と同意、記録の整備等、現行の研修で指摘された問題点を改善することに留意し、現状における歯科医師の医科麻酔科研修の実態調査や関係学会からの意見聴取等を踏まえて、「歯科医師の医科麻酔科研修のガイドライン改定案」を作成した。
臨床的観点からの成果
 今回作成したガイドライン改定案によって歯科医師の医科麻酔科研修がその目的を十分に達成し、歯科患者の全身管理に関する歯科医師の知識と技能が向上して我が国の歯科医療の質と安全性とが発展し、国民の歯科保健の一層の向上に資するものと期待される。この際、ガイドライン改定案の別添資料として歯科医師の医科麻酔科研修実施の流れと手続きを明示したことにより、歯科医師の医科麻酔科研修がより透明性の高い状態で実施できることとなった。
ガイドライン等の開発
 今回作成した改定案は、歯科医師の医科麻酔科研修のガイドライン(改定案)本文と別紙1(医科麻酔科研修を希望する歯科医師の研修歴。臨床経験及び知識・技能評価)、別紙2(研修項目と研修水準)、別紙3(麻酔についての説明・同意書(例示))、別添資料(歯科医師の医科麻酔科研修実施の流れ)からなっている。ガイドライン改定案の本文は、ガイドライン改訂の経緯と要点、趣旨及び研修実施に当たっての基準からなり、歯科医師が医科麻酔科研修を実施する際の基本的なあり方を別紙1-3とともに規定した。
その他行政的観点からの成果
 今回のガイドライン改訂のきっかけのひとつとなったのは、現行ガイドラインを遵守せずに歯科医師の医科麻酔科研修が行われていた事例と現行ガイドラインに則した研修を実施していない施設が判明した結果、ガイドラインの厳格化や周知徹底についての申し入れが厚生労働省及び関係団体に対して行われたことである。そこで、本研究では現行のガイドラインに基づいて実施された歯科医師の医科麻酔科研修の実績を検証・評価し、現行の研修の課題と改善すべき点を明らかにしてガイドラインを見直した。
その他のインパクト
 今回のガイドライン改訂のきっかけのひとつとなった、現行ガイドラインを遵守せずに歯科医師の医科麻酔科研修が行われていた事例と現行ガイドラインに則した研修を実施していない施設についての情報は、広く新聞等に取り上げられ、歯科医師の適正な医科麻酔科研修の実施に対して国民が注視しているところであると考えられる。今回のガイドライン改訂によって、国民にとってより納得できる研修をより透明性高く実施できることになるものと考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-