地域の子育て支援としての一時保育事業の学習機能に関する研究-ファミリー・サポート・センター事業に着目して-

文献情報

文献番号
200701054A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の子育て支援としての一時保育事業の学習機能に関する研究-ファミリー・サポート・センター事業に着目して-
課題番号
H19-政策-若手-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
東内 瑠里子(佐賀女子短期大学こども学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,483,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省が福祉行政として行っているファミリー・サポート・センター事業(以下、ファミサポ事業)に、「託児以外の親の『学習機能』がある」という仮説を立て、教育学の視点から検証した。
研究方法
まず、文献調査によって、「親の発達・育ち」に関する先行研究と、ファミサポにおける利用者の経験に関するレビューを行った。次に、予備調査を行うに当たって、エスクにヒアリング調査をし、全国のファミサポ事業の概要や、歴史的背景について整理した。さらに、利用者がファミサポを利用する中で、どのような経験をしているのか、ヒアリングを整理した。また、地域婦人連絡協議会のファミリー・サービス・クラブについては、資料を整理した。これらの整理から、調査紙項目を選定した。また予備調査を実施、その分析によって本調査の質問紙項目を確定した。そして本調査を実施した。
結果と考察
今年度は特にファミリー・サポート・センター事業の利用者の全体像について明らかにした。①利用者の約8割は、30才以上~45才未満である。②13才未満の子どもを持つ利用者が約9割である。③利用者は就業している親が約7割、就業していない親の利用も約3割ある。④就業している利用者は、非正規雇用・パート・アルバイトが、約3割。また、就労時間は、9時間以上が約3割。不安定で、長時間労働が約3割程度あるということである。⑤利用会員のうち、約4割強が、今後提供会員になりたいと回答している。その理由として190人が、「助けてもらった、支えられた経験から恩返しをしたい」と回答している。次に利用者は、ファミリー・サポート・センター事業を利用する中で、どのような心境の変化があるのか明らかにした。結論としては、親の成長・発達に関する項目の中で、特に「生き甲斐・存在感」の項目が突出して高い値がでている。利用者は「自分が大変なときに助けて頂いた。」「誰かに恩返しをしたい」という気持ちになっている。利用者の親としての大変さを支え、自己の存在感まで支えているファミリー・サポート・センター事業の機能があきらかになったといえよう。
結論
ファミサポ事業を利用することによって、親は、「自分も誰かを助けたい」という支援の対象者から、支援する側への意識の変容が見られるケースがある。これは、学習機能があるケースだと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-05-21
更新日
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