レセプトデータでみる医療費適正化政策の有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200701013A
報告書区分
総括
研究課題名
レセプトデータでみる医療費適正化政策の有効性評価に関する研究
課題番号
H18-政策-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 医療経済研究 社会保険福祉協会(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 達郎(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
  • 田近 栄治(一橋大学 国際・公共政策大学院 公共経済学)
  • 古井 祐司(東京大学大学院医学系研究科 健診情報学講座)
  • 満武 巨裕(東京大学大学院医学系研究科 健診情報学講座)
  • 増原 宏明(国立長寿医療センター研究所)
  • 今野 広紀(国際医療福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,678,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では現在、国民皆保険制度を堅持すべく、医療費適正化の実現が課題となっている。中長期的な医療費適正化の施策の一つとして、2008年4月から特定健診・特定保健指導が保険者に義務化された。40歳以上74歳以下を対象とした生活習慣病対策であり、特定健診・特定保健指導の電子健診情報は全国規模で収集され、診療報酬明細書(レセプト)との連携のあり方も検討されている。
そこで研究(Ⅰ)では、複数の保険者(健康保険組合および国民健康保険組合)からレセプトおよび健康診断情報を用いて、健康診断と医療費について分析することを目的とした。
 研究(Ⅱ)では、昨年度に引き続き40歳以上75歳未満の生活習慣病(高血圧症・糖尿病・高脂血症)に係る医療費を25%抑制させた場合を想定して医療費推計を行った。
研究方法
 「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」の階層化基準を適用し、各階層が消費する医療費を分析し、生活習慣病予防に対する医療費適正化の効果を検討する。
結果と考察
 突合分析から、健康診断受診者では情報提供群の人数が最も多く、医療費割合も高いことがわかった。一人あたり医療費は、健康保険組合では、リスクの多い積極的支援群の医療費が一番高額であり、以下リスク数の順に医療費は減少した。一方、国民健康保険組合ではリスク数と医療費に関連性はみられなかった。
 また、生活習慣病に係る医療費を25%抑制させた場合、被保険者本人の外来医療費が-3.3%、被扶養者の外来医療費は-3.6%の減少効果が見込まれることが示唆された。
結論
 リスク数と医療費が関連はなく、年齢が高い加入者を持つ保険者では既に何らかの疾病を発症している群が多いのではないかと推察された。よって、健康保険組合においては、これ以上リスクを増やさないための一次あるいは二次予防が必要であり、国民健康保険においては既に発症している群がこれ以上重傷化しないための三次予防が効果的であると示唆できる結果となった。今後、職種や年齢といった属性が異なる保険者を増やし、普遍性・妥当性を検証していくことが必要だと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200701013B
報告書区分
総合
研究課題名
レセプトデータでみる医療費適正化政策の有効性評価に関する研究
課題番号
H18-政策-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 医療経済研究 社会保険福祉協会(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 達郎(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
  • 田近 栄治(一橋大学 国際・公共政策大学院 公共経済学)
  • 古井 祐司(東京大学大学院医学系研究科 健診情報学講座)
  • 満武 巨裕(東京大学大学院医学系研究科 健診情報学講座)
  • 増原 宏明(国立長寿医療センター研究所 )
  • 今野 広紀(国際医療福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、レセプトデータを用いて、特定健診に該当する集団における医療費とその受診行動について分析することで、わが国の医療費適正化対策における有効性の評価を行うことを目的とする。
研究方法
 初年度は、健康保険組合の保険者から診療報酬明細書(レセプト)データを収集し、2008年4月から導入される特定健診・特定保健指導の対象となる40歳以上の被保険者本人と被保険者家族(家族)の医療費分析を行った。
 二年目は、国民健康保険の保険者である3つの市町村、および初年度の健康保険組合からレセプトデータおよび健診・保健指導データを収集し、比較・分析を行った。
結果と考察
(初年度)1件当たり医療費が入院・外来ともに被扶養者の方が高く、1件当たり日数が被扶養者の方が長かった。被保険者は入院医療費が最もかかっていた疾病は「腰椎椎間板ヘルニア」であり、一方、被扶養者で入院医療費が最もかかっていた疾病は「統合失調症」であり、疾病構造が異なることが示唆された。外来は、被保険者本人および被扶養者で類似の傾向を示し、「高血圧症」、次いで「糖尿病」であった。特定健診・保健指導の実施により75歳未満の生活習慣病に係る医療費を25%抑制させた場合を想定して医療費推計をしたところ、5.0%の削減効果が見込まれることが示された。
(2年目)健康保険組合の一人当たり平均医療費は積極的支援群が一番高額であったが、全体の医療費に占める割合は低く、積極的支援群および動機付け支援群に対する保健指導に加えて、情報提供群に対する予防啓発(啓蒙)なども重要であることが示唆された。一方で国民健康保険者の一人当たり平均医療費は健康保険組合よりも高額でかつ各群で大きな差がないことから、予防啓発より重傷化予防の必要性を伺える結果であった。
結論
・国民健康保険組合では健康保険組合とは異なり、リスク数と医療費が関連はなく、年齢が高い加入者を持つ保険者では既に何らかの疾病を発症している群が多いのではないかと推察された。よって、健康保険組合においては、これ以上リスクを増やさないための一次あるいは二次予防が必要であり、国民健康保険においては既に発症している群がこれ以上重傷化しないための三次予防が効果的であると示唆できる結果となった。
・40歳以上の特定健診対象者では、疾病傾向は被保険者本人と家族では入院では異なっていたものの、外来では類似の傾向を示した。
・生活習慣病に係る医療費を25%抑制させた場合、被保険者本人の外来医療費が-3.3%、被扶養者の外来医療費は-3.6%の減少効果が見込まれることが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-10-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200701013C