建築物の衛生的環境の維持管理に関する研究

文献情報

文献番号
200639031A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物の衛生的環境の維持管理に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小畑 美知夫(財団法人ビル管理教育センター 調査研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 耕一(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 紀谷 文樹(神奈川大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
29,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療施設等の特定建築物以外の建築物の室内環境における問題点を把握するとともに、建築物環境衛生管理技術者の従事実態についての問題点の整理を目的とした。建築物内設備のレジオネラ症防止に関する知見、並びに一般室内環境中のアスベストに関する情報の収集を目的として実施した。
研究方法
9病院と1社会福祉施設において建築物衛生法に準じた環境調査を実施し、室内環境の評価を行った。管理技術者約10,000名を対象にアンケート調査の実施し、現在の職場における現況等の調査を実施した。レジオネラ症防止対策として、基礎医学および臨床医学分野に関する知見の整理およびレジオネラ属菌検査の検討、諸外国のガイドライン等の解析、建築物設備のレジオネラ症防止対策に関連する文献調査を行った。室内アスベストに関連する諸情報を諸外国の関係省庁等の報告書や関連資料を用いて収集・解析を行った。
結果と考察
医療提供施設の空気は冬期の低湿度や一部CO2基準超過が見られた。水質検査結果では飲料水系は問題なかったが、給湯では残留塩素不検出やレジオネラ属菌が検出された箇所もあった。管理技術者の業務実態では資格重複使用と思われる例や資格取得するも使用していない例が多数判明した。環境水レジオネラ属菌検査方法は培養法が原則であるが、検査精度に問題があるため、迅速法を含めた検査方法の見直しや精度管理等が必要ではと考える。諸外国の文献調査より冷却塔や給湯設備等の各々の設備にレジオネラ抑制するための管理指針があった。今回、蓄熱槽のレジオネラ汚染調査を行った結果、66%から検出された。室内アスベストに関する文献調査では、フランス、フィンランド、ノルウェー、韓国で指針値が提示されていたが、多くの国では具体的な措置の基準は明記されていなかった。
結論
病院調査では大きな問題点はなかったが、入居者の健康を考慮する上でも衛生管理の観点から総合的な維持管理の専門家が少ないという問題点が明らかとなった。今回の調査結果より、重複防止のためにも管理技術者(選任)と登録業を網羅した名簿の構築が必要である。各国の指針を参考に設備毎の監視方法およびレジオネラ症防止対策を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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