給水末端における水質および給水装置・用具機能の異常監視と管理に関する研究

文献情報

文献番号
200639022A
報告書区分
総括
研究課題名
給水末端における水質および給水装置・用具機能の異常監視と管理に関する研究
課題番号
H17-健康-一般-024
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中村 文雄(財団法人給水工事技術振興財団)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤雅喜(国立保健医療科学院水道工学部)
  • 杉山俊幸(山梨大学工学部)
  • 松井佳彦(北海道大学大学院環境創生工学専攻)
  • 長岡 裕(武蔵工業大学工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,641,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在までに、給水末端での水質劣化や漏水の発生が数多く報告されており、また、小規模貯水槽水道等においては、水質検査やその維持管理の実行率が必ずしも十分でない状況にある。このような状況を改善する為に、本研究では、給水末端の水質・衛生管理および施設管理徹底の実現を目的として、①給水末端における水質監視方法、②給水装置・用具の機能不全検知方法、および、③給水末端システムの維持管理・リスク管理方法の研究を行う。
研究方法
「水質監視方法」に関する研究では透過・散乱光検知センサーを付けた装置を作成し、「給水装置・用具の機能不全検知方法」に関する研究では音・振動・圧力・水量などのセンサーを付けた装置を作製して研究した。また、「給水末端システムの維持・管理方法」に関する研究では既存データ・資料の収集・調査・解析する方法を用いた。
結果と考察
平成18年度の研究の結果、以下の結論が導かれた。
「水質監視手法の検討」では、(1) 水道水の異常色度検出感度として、色度換算で1度程度の着色を検出できることを明らかにした。また、(2) 比較対照とするべき自動水質計測給水栓の選定に当たっては、配水系統や配水管網内の水質分布の検討を行う必要性があることを明らかにした。
一方、「給水装置・用具の機能不全監視方法」に関する研究では、(3) 水撃作用検知システムにおいては給水管の材質を考慮したファジイ演算プログラムを構築する必要があること、音・振動の両者を対象としたときの判定精度は、水撃作用検出に対して87.5%、水撃作用以外の衝撃の検出に対して91.7?100%であることなどを明らかにした。また、(4)管路における摩擦等の損失に関わる「損失水頭係数λ」や「係数α」を監視することにより、蛇口解放時における漏水割合が0.1%程度のケースにおいても漏水検出が可能であることが示唆された。さらに、(5) 単式バネ式逆止弁・二重式逆止弁の、最低限、一次・二次側二点の弁差圧測定により、弁体での異常発生検知の可能性を明らかにした。
また、「給水末端システムの管理方法」に関する研究では、①給水末端の管理の現状、②異常情報に対する対応フロー、③維持管理組織、④給水末端管理の組織構築に対する課題などに関して検討し、現状の問題点の抽出、対応のあり方などに関して考察を行った。
結論
以上のように、各研究課題には着実な成果が得られつつあるが、今後、これら研究を更に発展させることにより、給水末端の水質・衛生管理および施設管理徹底の実現が可能となり、安全性の高い給水システムの構築と、より確実な給水システムの維持管理・リスク管理が可能となるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
-