地域における健康危機発生時の通信連絡に関する研究

文献情報

文献番号
200639006A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における健康危機発生時の通信連絡に関する研究
課題番号
H16-健康-一般-045
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 一夫(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ第一法人営業部)
研究分担者(所属機関)
  • 澤田 寛(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ)
  • 松木 彰(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ)
  • 今村 知明(東京大学医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機発生時の迅速な初動体制の確保と効率的な対応を実現する通信連絡体制に関する研究を行うことが目的である。本年度は、昨年有効性が検証されたシステムを統合した可搬型オペレーションセンタ・パッケージ(以下:可搬型オペセン)を構築し、有効性および課題を確認する。(1)携帯電話を利用したTV会議による情報の収集・共有、(2)携帯電話を利用した情報収集におけるデータのデジタル化、(3)意思決定機関における情報集約を目的としたITツールを試作。これら3つを統合的に活用する有効性と条件を明らかにし、健康危機発生時の緊急オペセンのガイドラインを作成する。
研究方法
統合して構築した可搬型オペセンを活用して、健康危機管理を実施している機関に対して、パッケージのデモを行い対面調査を実施した。対面調査は、①携帯電話カメラによる情報伝送システムのデモ、②携帯電話を活用したテレビ会議システムのデモ、そして、③健康危機管理情報集約システムのデモを実施。その上で、想定シチュエーションをご提示して、3つのシステム統合的に活用していただき、フリーディスカッション形式でインタビューを実施した。
結果と考察
調査では、3つのシステムを統合して可搬型オペセンとする有効性を確認できた。特に、携帯電話とノートパソコンを活用することで、導入のハードルがかなり低くなる。日ごろから使い慣れている機器であり、汎用機を活用することで導入コストも下がる。また、個々のシステムの利便性だけでなく、通信デバイスを含めたパッケージになっていることも評価された。インフラのない野外などで効力を発揮できるという意見も多かった。システムの課題としては、実用化に向け性能・機能面の課題と、運用面での課題を分けて整理し、導入時に障害を低減させる方策を検討することができた。
結論
可搬型オペセンは、活用が想定される3種類の機関への対面調査の結果、一定の有効性が検証できた。開発したシステムは、それぞれ役割の違う①保健所②都道府県等の感染症担当課③国立感染症研究所や大学等、の機関において、共通的に活用できる可能性を検証できた。特に、携帯電話、ノートPCを活用することのコスト面、活用上の慣れのメリットが明らかになった。一方で、運用上・システム上の課題も明らかにし、これらを踏まえ、「健康危機発生時の緊急オペレーションセンタにおける通信機器に関する整備ガイドライン(素案)」を作成した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200639006B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における健康危機発生時の通信連絡に関する研究
課題番号
H16-健康-一般-045
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 一夫(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ第一法人営業部)
研究分担者(所属機関)
  • 澤田 寛(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ)
  • 松木 彰(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ)
  • 今村 知明(東京大学医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、健康危機対策における情報通信連絡に関する体制並びに情報通信連絡時の通信機器、通信施設等に関する使用状況を含む実態把握を行うとともに、健康危機発生時にやり取りされる情報に基づく必要な体制、通信機器及び通信施設の機能に関するガイドラインを作成する。また、必要機能ではあるが、現在具現化されていない機能等に関してプロトタイプの作成を行い、実験室内における実証試験を実施し次世代の健康危機情報機器の資とすることを目標とする。
研究方法
初年度は、健康危機発生時の行政対応や利用されている情報技術の調査を実施。2年目は、携帯電話を活用したTV電話会議や、携帯電話のカメラを使って紙データをデジタル化し送信する仕組みの有効性について検証を実施した。加えて、意思決定の支援や情報収集・原因分析を行うITツールの有効性の検証も実施。本年度は、2年目に検証し、有効であったシステムを統合した可搬型オペレーションセンタ・パッケージを構築し、統合された時の有効性について検証を行った。これらのシステムを関係機関にご利用いただき、ディスカッション形式のインタビューを実施した。
結果と考察
携帯電話をベースとした健康危機発生時のオペレーションセンタ機能を検討した結果、効率的な情報通信連絡体制を確立するためには通常時から利用されている機器が有効で、日ごろ用いている携帯電話やPCを活用することで、より効率的な情報通信連絡体制を確立できるということを明らかにした。この手法を用いると、新規に大きなインフラ投資をするのではなく、既存の整備されたインフラとして携帯電話とPCを有効に利用することができる。また、健康危機情報集約方法、収集した情報のセキュリティ対策、携帯電話の高機能化、リテラシー向上、等の課題が明らかになった。
結論
研究した個々のシステムやITツールについては、それぞれ一定の効果が期待できることが明らになり、これらを統合した可搬型のオペレーションセンタ・パッケージとすることで、より効率的な情報通信連絡体制を確立することができることを明らかにした。それと同時に携帯電話のリテラシー向上、さらなる携帯電話の機能向上、健康危機情報の収集方法、等の課題があることも把握された。これらを踏まえ、当初の目的である「健康危機発生時の緊急オペレーションセンタにおける通信機器に関する整備ガイドライン(素案)」として取りまとめた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200639006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
携帯電話による情報通信手段(TV電話、メール、ファイル送信)や、画像解析、デジタイジング処理等の技術を用い、それらをうまく組み合わせることで緊急時の情報連絡に利用できることを実際の各保健機関で確認できたこと、また携帯電話端末は今後通信速度の向上や画像処理の技術の向上によりさらに有効な情報連絡手段として活躍できることが確認できた。
臨床的観点からの成果
米国では、携帯電話からの緊急通報において位置情報の通知を義務付ける「E911」やバイオテロ検知システム“BioSense”などの取り組みが進められているが、わが国ではこの分野での取り組みがほとんどなされていない。今回の取り組みにより、健康危機発生等の緊急時に普及した携帯電話を利用した情報収集方法や必要な情報、利用方法についてガイドラインを取りまとめることができた。
ガイドライン等の開発
「健康危機発生時の緊急オペレーションセンタにおける通信機器に関する整備ガイドライン(素案)」を作成。システムの導入に際しては、全国で画一的な進め方をするのではなく、EOC設置機関の種類やそのそれぞれの地域性、また通信・連絡手段の整備・更新状況によって、さまざまな進め方が考えられる。例えば、簡易なシステムから導入する場合、あるいは最初から高度なシステムを導入する場合などが想定した形で取りまとめた。
その他行政的観点からの成果
近年、鳥インフルエンザや原因不明の感染症など、行政として早期に対応をしなくてはならない課題があがっている。今回作成したガイドラインは、既存の携帯電話やPC利用をベースに作成されており、健康危機発生時の緊急オペレーションセンタ導入へ向け、費用面でハードルも低く、運用面等の工夫は今後も検討が必要なもののガイドラインを基に、今後各地方自治体や関係機関に導入が期待され、今まで以上に早期に対応が可能となる。
その他のインパクト
健康危機発生時に、効率的な情報通信連絡体制を確立するためには通常時から利用されている機器でないと使えないことが判明した。そのため、日ごろ用いている携帯電話とPCを活用することで、より効率的な情報通信連絡体制を確立できる。今までは大規模システムの開発等、新規に大きなインフラ投資必要と考えがちだったが、この手法を用いると既存の整備されたインフラとしての携帯電話とPCを有効に利用することができる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
第25回医療情報連合大会抄録集
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
第25回医療情報連合大会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-