ナノマテリアルのヒト健康影響の評価手法の開発のための有害性評価および体内動態評価に関する基盤研究

文献情報

文献番号
200638025A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアルのヒト健康影響の評価手法の開発のための有害性評価および体内動態評価に関する基盤研究
課題番号
H18-化学-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター総合評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 津田 洋幸(名古屋市立大学大学院医学研究科 生体防御総合医学専攻 生体機能分子医学講座)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部)
  • 一瀬 文雄((財)化学物質評価研究機構 日田事業所)
  • 屋形 直明((財)化学物質評価研究機構 久留米事業所)
  • 新井 洋由(東京大学大学院薬学系研究科 薬学部 機能薬学 細胞生化学)
  • 涌生 聖((株)三菱化学安全科学研究所 鹿島研究所)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部)
  • 中澤 憲一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 薬理部)
  • 最上知子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
  • 高月 峰夫((財)化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
76,615,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産業用途のナノマテリアルの物理化学的性状は、同一化学組成を持つ大きな構造体とは著しく異なり、ナノマテリアルが産業的な新用途への展開に期待されている一方で、未知の生体影響も予測されているところでもある。従って、ナノマテリアルの物理化学的特性を考慮した毒性試験法や有害性評価手法の開発が急務となっており、本研究では既に生産量の多いナノマテリアルを検証物質として選びし、測定法からin vitroおよびin vivo試験法にわたる総合的な評価法の確立のための基盤研究を行うことを目的としている。
研究方法
in vivo生体影響評価手法の開発、ナノ粒子の吸入毒性評価手法の開発、暴露測定法および動態解析法の開発、in vitro試験系の開発および、国際動向調査の5部門により研究班を構成した。
結果と考察
緊急性が高いと考えられる多層カーボンナノチューブ(MWCNT)やフラーレン(C60)の発がん・慢性影響についてプロモーション作用検出法や遺伝子改変動物を使った系の検証を開始し、より短期期間での影響検出において有用であるとの予備的結果を得ることができた。吸入試験法では、MWCNTの気管内投与における分散法の確立と吸入暴露における粒子の発生条件を検討した。測定法および動態解析では、MWCNTを電顕で測定する際の分散法を検討すると共に、C60について通常の分解度試験法では分解しないことを確認した。In vitro系では、C60に関して脂質/リポソームを使った細胞系への分散方法を検証し、細胞内への導入方とACh受容体への影響を検討すると共に、TiO2については、上皮系細胞や腸肝系細胞を用いた細胞毒性や透過性、および遺伝毒性について検討した。さらに、国際動向調査では、国際的な情報の共有化や、研究および評価法に関する調和化が求められている中、OECD産業用ナノマテリアルの作業グループ等の国際的調和に関する動向について情報収集した。
結論
フラーレンや多層カーボンナノチューブ、酸化チタン粒子などを対象物質として、in vivo系における短期発がん性試験の有用性が示唆されると共に、気管内投与や吸入試験法の開発におけるMWCNTの分散法に目処が立った他、In vitro系でのC60等の脂質成分等を用いた分散手法の有効性を確認し、国際動向としては、OECD等で、試験法の調和化に向けた動きが具体化し始めていることを確認した。

公開日・更新日

公開日
2007-05-29
更新日
-