化学物質リスク評価における(定量的)構造活性相関((Q)SAR)に関する研究

文献情報

文献番号
200638020A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質リスク評価における(定量的)構造活性相関((Q)SAR)に関する研究
課題番号
H18-化学-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
林 真(国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部)
研究分担者(所属機関)
  • 江馬 眞(国立医薬品食品衛生研究所総合評価研究室)
  • 鎌田栄一(国立医薬品食品衛生研究所総合評価研究室)
  • 広瀬明彦(国立医薬品食品衛生研究所総合評価研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化審法は2003年に更なる改正が行われ、年間1tから10t未満の物質(低生産量物質)については、スクリーニング毒性試験(AMES試験、染色体試験、反復投与試験)の実施は不要とされている。低生産量であっても、その毒性をヒト健康の上からは把握することが望ましく、動物愛護の観点からも動物を使用せずに毒性の強さを把握できる最良な方法として(定量的)構造活性相関((Q)SAR)が有力である。本研究では、スクリーニング試験で用いられる試験法の(Q)SARモデルの精度向上と開発を目的としている。
研究方法
AMES試験に関しては、構造異性体における各モデルの信頼性を実試験結果と比較した。 染色体試験の各モデルの信頼性を国内既存点検事業で行った染色体試験結果を用いて、その精度を検討した。また、反復投与試験については、ClassPharmer Suite v.4.0を用いて、肝・腎毒性に対するToxicophoreの特定を行った。その他のモデルについて、国内既存点検事業での反復投与毒性結果を用いて精度を検討した。
結果と考察
AMES試験の構造異性体に対する検討では、各モデルとも異性体を考慮したモデルの開発が示唆された。染色体試験モデルのConcordanceの比較では、DEREKではNIHS29+CP10モジュールで68.0%、MCaseではKirklandのモジュールで64.1%、AWorksのADAとKNN_3のモジュールで69.7%であった。この結果からは各モデル共さらなる改良の必要が判明した。反復投与試験については、DEREKでは肝および腎毒性における予測モジュールの開発を行い、肝毒性については12、腎毒性については14のToxicophoreが特定された。MCaseではFDAから公開されているデータを元に作成されたモジュールではSensitivity について2.4%と非常に低い値を示した。AWorksでは3つのモジュールのうち2が同じ結果を示した場合の条件で、Sensitivityは37.2%、Concordanceは65.4%と低い値を示したたことから、さらにデータを追加して精度向上を行う必要が考えられた。
結論
AMES試験及び染色体試験用(Q)SARモデルについては更なる改良の必要性が示唆された。
反復投与試験では更なるToxicophoreの抽出とモデルの改良の必要性が考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-