生体の作用点、特に核内受容体及び関連転写因子群に着目した化学物質の毒性発現機構の解明や毒性予測手法の開発を行う研究

文献情報

文献番号
200638011A
報告書区分
総括
研究課題名
生体の作用点、特に核内受容体及び関連転写因子群に着目した化学物質の毒性発現機構の解明や毒性予測手法の開発を行う研究
課題番号
H17-化学-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高木 篤也(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 敦(医薬基盤研究所トキシコゲノミクスプロジェクト)
  • 小原 有弘(医薬基盤研究所生物試験研究部)
  • 板井 昭子(医薬分子設計研究所)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌かく乱化学物質問題の解決に向けて厚生労働省「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会、中間報告追補」に於ける「試験スキーム」に沿った大規模スクリーニングを実施すると共に、標的分子である核内受容体について、共役因子との相互作用や制御下の遺伝子発現への影響を解析し、分子標的作用メカニズムに基づく次世代評価系への応用を目指す。
研究方法
内分泌かく乱化学物質スクリーニングに於いてERα/βレポーターアッセイ系にて各71物質、AR、TR系にて各50物質の測定を実施した。In silicoスクリーニング系に於いて、ARに対するドッキングモデル予測を実施した。生体標的分子相互作用への影響の解析と評価手法の開発に於いては、ERと相互作用するペプチドを新たに探索し、SPRスクリーニングを実施した。受容体作用物質ターゲット細胞の転写制御関連分子プロファイルの研究では、内分泌かく乱化学物質のターゲットと成り得る臓器に由来する細胞株について、核内受容体遺伝子発現解析を実施した。核内受容体作用による遺伝子相互作用の電算探索手法の研究では核内受容体PPARαリガンドによる遺伝子発現変動による分子ネットワークを生成し、プロファイリングを実施した。
結果と考察
レポーターアッセイ系に於いて、ERアゴニスト活性が、ERαのみ9物質、ERβのみ6物質、14物質については両者共に示された。AR系に於いてはアゴニスト、アンタゴニスト活性がそれぞれ異なる5物質で測定された。TR活性を示す物質はなかった。In silicoスクリーニング系では、242化合物についてのAR活性予測を実施した。SPR系では新たに探索された2プローブを用い28化合物のスクリーニングアッセイを実施した。核内受容体及び関連因子の発現プロファイルから細胞のキャラクタライズが可能であることが示唆された。遺伝子相互作用解析に於いて核内受容体PPARαリガンド作用による分子ネットワークを構築した。
結論
本研究成果は、核内受容体を標的とする化合物についてその生体作用の分子メカニズムを解析し、もって内分泌影響性の示唆される化学物質の効率的な選別、及び、詳細試験に供する化学物質の優先リスト充実へ寄与する。さらにこれらの化学物質による生体反応のメカニズムの解明により、詳細試験の方法や検査項目の確立への寄与が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-04
更新日
-