文献情報
文献番号
200637084A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤安定確保のための人工酸素運搬体を用いた救急医療への応用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H18-医療-一般-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
四津 良平(慶應義塾大学医学部外科)
研究分担者(所属機関)
- 坂本篤裕(日本医科大学医学部麻酔科)
- 相川直樹(慶應義塾大学医学部救急部)
- 堀之内宏久(慶應義塾大学医学部外科)
- 小松晃之(早稲田大学理工学術院理工学総合研究所)
- 大鈴文孝(防衛医科大学校第1内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
人工酸素運搬体の臨床的適応を確立するため ①体外循環時での使用、②出血性ショック時の低酸素関連蛋白と炎症性サイトカインの発現。③出血性ショック後の蘇生液として一酸化炭素加したHbV分散液の効果。④外傷性制御不能の出血を伴うショック状態に対する効果、⑤心筋虚血に対するHbVの保護機序、⑥有茎皮弁を用いた酸素親和性の高いHbVの効果、⑦ヘムの構造をα3β型としたアルブミンヘムの物理化学的性質。⑧マウス実験的腸炎モデルに対するHbVの安全性と有効性について検討する。
研究方法
①ラットに体外循環を確立、経頭蓋で無侵襲で脳血流、脳組織酸素分圧を測定する方法の確立②出血性ショック蘇生時の経時的臓器別TNFαとHIF-1αの遺伝子発現の解析。③一酸化炭素結合Hb小胞体の出血性ショック動物への効果。④大血管損傷モデル、臓器損傷モデルとして脾臓を損傷、制御不能出血を作成。⑤ラット心のランゲンドルフ灌流で心筋細胞内の解糖系酵素の変動を測定。⑥ 有茎皮弁中の血管を顕微鏡下に血流速度および管径、毛細血管の透過性。⑦ヘムの構造をα3β型としたヘムを作成、このヘムを用いたアルブミンヘムの物理化学的な性質。⑧急性大腸炎モデルを作成、HbVの効果を検討。
結果と考察
①ラットに体外循環を確立、経頭蓋で無侵襲で脳血流、脳組織酸素分圧を測定する方法の確立した。②ラットの出血性ショックでは、Hb小胞体はTNFαとHIF-1αの遺伝子発現を抑制した。③一酸化炭素結合Hb小胞体は蘇生効果を有し、COは循環中に大気へ放出された。④再現性ある大血管損傷モデルを確立、臓器損傷モデルとして脾臓を損傷、制御不能出血を作成できた。⑤虚血時にHb小胞体で灌流すると心筋細胞の解糖系酵素活性の変化を抑制した。⑥Hb小胞体投与により皮弁中の血管の血流速度および管径を維持し、毛細血管の透過性増加を抑制した。⑦新しいアルブミンヘムは酸素を吸脱着し、新たな人工酸素運搬体として使用できる可能性が示唆された。⑧マウス腸炎モデルにHbVを経静脈投与し、大腸炎活動指数、体重変動、病理組織学的変化、血清アミロイドA値に対照群と優位な差を認めなかった
結論
平成18年度は新しい3年計画の1年目であり、救急医療におけるHbVの利用を多面的に検討し、体外循環、ショック蘇生時の遺伝子解析、一酸化炭素結合Hb小胞体の効果、心筋虚血に対する効果の作用機序、新たなアルブミンヘムの開発、腸炎治療への応用の可能性について成果が得られた。
公開日・更新日
公開日
2009-04-23
更新日
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