文献情報
文献番号
200637041A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液の細菌感染防止と血小板製剤の有効性期限延長に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-051
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大戸 斉(福島県立医科大学医学部 輸血・移植免疫部)
研究分担者(所属機関)
- 高松 純樹(名古屋大学医学部 輸血部)
- 浅井 隆善(静岡県赤十字血液センター)
- 佐竹 正博(東京都赤十字血液センター)
- 宮田 茂樹(国立循環器病センター)
- 山口 一成(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本における急速な高齢人口の増加と若年人口の減少によって、輸血用血液製剤の需要バランスの維持は困難になりつつある。血小板製剤の有効期限は国際的には現在5日間であったが、欧米では細菌混入スクリーニング検査を併用することで7日に延長されつつある。5日あるいは7日間に延長することに対しては細菌感染症や血小板機能低下が懸念される。外国から敗血症が報告されている。
細菌混入を克服し、血小板機能を有効に維持しつつ、7日間に延長する方策を確立する。
細菌混入を克服し、血小板機能を有効に維持しつつ、7日間に延長する方策を確立する。
研究方法
血小板製剤の7日間保存延長を検証するために以下を中心に研究を実施した。
1)細菌混入防止対策と細菌混入除去技術、2)血小板製剤中における細菌増殖の解析と細菌検査システムの評価、3)7日間保存血小板の機能評価である。
1)細菌混入防止対策と細菌混入除去技術、2)血小板製剤中における細菌増殖の解析と細菌検査システムの評価、3)7日間保存血小板の機能評価である。
結果と考察
初流血除去は殆どの先進国では導入している。初流血(30mL)除去についての報告(細菌検出率は通常採血の0.24%に比し、0.07%と低い)を受けて、初流血除去は2007年3月から全国の赤十字血液センターに導入されることになった。1年以内を目処に有効期限は現在の採血後72時間から72時間+α(3日目の夜12時まで)に延長される見込みである。
日本で血液製剤から検出される菌種の半数以上を占めるP. acnesを接種した血小板製剤をマウスに静注し、病原性を評価した。製剤中のサイトカイン類の蓄積は著しかったが、菌の増殖速度はきわめて遅く、病原性は証明できなかった。
低温保存条件での、細菌増殖態度を検討した。グラム陽性菌は4℃, 10℃では増殖が抑制された。グラム陰性菌(Serratia marcescens, E. coli)10℃保存では増殖を阻止することは不可能であった。4℃ではSerratiaは抑制できなかった。
複数菌の混入による菌相互干渉を検討した。S. aureus とS. Marcescensを血小板製剤に混合接種すると両菌とも干渉を受けることなく、本来の増殖パターンを呈した。
ずり応力下血小板機能測定系にて、血栓形成能を評価した。従来バッグで保存した7日血小板は、保存期間が長くなるにつれて、血栓の3次元的成長が障害された。
しかし、新バッグPO-80で保存した血小板は、3次元的血小板血栓形成過程が良く保持されていた。
バッグPO-80で7日間保存した血小板をRIラベルしてドナーに返血し、回収率と血小板寿命を新鮮血と比較した。極めて優れた保存能力を示した。
日本で血液製剤から検出される菌種の半数以上を占めるP. acnesを接種した血小板製剤をマウスに静注し、病原性を評価した。製剤中のサイトカイン類の蓄積は著しかったが、菌の増殖速度はきわめて遅く、病原性は証明できなかった。
低温保存条件での、細菌増殖態度を検討した。グラム陽性菌は4℃, 10℃では増殖が抑制された。グラム陰性菌(Serratia marcescens, E. coli)10℃保存では増殖を阻止することは不可能であった。4℃ではSerratiaは抑制できなかった。
複数菌の混入による菌相互干渉を検討した。S. aureus とS. Marcescensを血小板製剤に混合接種すると両菌とも干渉を受けることなく、本来の増殖パターンを呈した。
ずり応力下血小板機能測定系にて、血栓形成能を評価した。従来バッグで保存した7日血小板は、保存期間が長くなるにつれて、血栓の3次元的成長が障害された。
しかし、新バッグPO-80で保存した血小板は、3次元的血小板血栓形成過程が良く保持されていた。
バッグPO-80で7日間保存した血小板をRIラベルしてドナーに返血し、回収率と血小板寿命を新鮮血と比較した。極めて優れた保存能力を示した。
結論
初流血除去など採血技術の向上、細菌混入試験の導入、改良保存バッグの導入などにより、血小板製剤の保存期限を7日間に延長しうる。
公開日・更新日
公開日
2007-04-09
更新日
-