文献情報
文献番号
200637038A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-043
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
- 和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
- 尾崎 茂(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
- 庄司 正実(目白大学人間社会学部)
- 小林 桜児(神奈川県立精神医療センター)
- 近藤 千春(藤田保健衛生大学衛生学部)
- 近藤 あゆみ(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
- 宮永 耕(東海大学健康科学部)
- 松本 俊彦(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬物乱用・依存対策立案・評価のための基礎資料として資するため、薬物乱用・依存等の実態把握と薬物乱用・依存者に対する対応策を検討した。
研究方法
(研究1.薬物乱用・依存等の実態把握に関する研究)性質の異なる対象(1.全国中学生調査、2.全国精神病院調査、3.全国児童自立支援施設調査)に対して実態把握調査を行った。
(研究2.乱用・依存者に対する対応策に関する研究)イ.性質の異なる施設(1.専門病院、2.DARC、3.GAIA)入所者の予後調査を行った。ロ.「治療共同体」の導入可能性について研究した。ハ.臨床における司法的問題を研究した。ニ.薬物依存症者を持つ家族の対応法について研究した。
(研究2.乱用・依存者に対する対応策に関する研究)イ.性質の異なる施設(1.専門病院、2.DARC、3.GAIA)入所者の予後調査を行った。ロ.「治療共同体」の導入可能性について研究した。ハ.臨床における司法的問題を研究した。ニ.薬物依存症者を持つ家族の対応法について研究した。
結果と考察
(研究1)1.乱用生涯経験率は、有機溶剤で0.9%、大麻で0.4%、覚せい剤で0.4%であった。有機溶剤乱用経験者群では、親子の共有時間が少ない傾向が伺われた。2.覚せい剤症例が49.0%と最も多く,有機溶剤症例15.1%と合わせると全体の2/3近くを占めた。大麻使用歴を有する症例は全体の27.7%にも達していた。3.乱用生涯経験率は、有機溶剤では男性8%、女性31.1%、大麻では男性2.7%、女性14.0%、覚せい剤では男性0.7%、女性で0.9%であった。
(研究2)イ-1.断薬の3年予後は72%と良好であった。イ-2.前歴、年齢等により就職の困難さが示唆された。イ-3.学歴、家族のサポート体制の良さにより、退寮者の多くは一人暮らしをしながら常勤の仕事に就いていた。再乱用率は退寮6-12ヶ月(30-35%)であり、良好であった。ロ.TC研究会を定期的に開催し、一般向けにTC治療に関する公開セミナー等も開催し、土台作りを行った。ハ.治療過程上の司法的問題を明らかにし、その対応指針を作成した。警察官職務の根拠となる法令を整理し、医療従事者として適切に連携するための資料を作成した。ニ.薬物依存症者を家族にもつ家族を対象とした家族読本を作成した。
(研究2)イ-1.断薬の3年予後は72%と良好であった。イ-2.前歴、年齢等により就職の困難さが示唆された。イ-3.学歴、家族のサポート体制の良さにより、退寮者の多くは一人暮らしをしながら常勤の仕事に就いていた。再乱用率は退寮6-12ヶ月(30-35%)であり、良好であった。ロ.TC研究会を定期的に開催し、一般向けにTC治療に関する公開セミナー等も開催し、土台作りを行った。ハ.治療過程上の司法的問題を明らかにし、その対応指針を作成した。警察官職務の根拠となる法令を整理し、医療従事者として適切に連携するための資料を作成した。ニ.薬物依存症者を家族にもつ家族を対象とした家族読本を作成した。
結論
覚せい剤等に象徴される「害の強い薬物の乱用」は落ち着いてきているが、大麻の乱用拡大、違法ドラッグ問題の浮上等、相対的に「害の弱い薬物の乱用」が目立つ状況にある。このような時にこそ、「治療共同体」の導入、民間回復施設への支援、家族会への支援等、著しく遅れている乱用・依存者に対する対応策を準備してゆく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2007-04-17
更新日
-