血液脳関門破綻に基づく医薬品副作用の予測系の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200637021A
報告書区分
総括
研究課題名
血液脳関門破綻に基づく医薬品副作用の予測系の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-医薬-一般-025
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉修一(山梨大学医学部)
  • 片岡泰文(福岡大学薬学部)
  • 楠原洋之(東京大学大学院薬学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,242,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
BBB機能障害が関係していると思われる中枢神経系副作用を調査するとともに、BBB障害に伴う薬物の中枢性副作用の作用機構を明らかにするための実験モデルを作成する。
研究方法
 医薬品・医療用具等安全性情報(厚生労働省医薬局)、医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)及び各種報道資料より中枢神経系副作用に関する情報を抽出し、BBB機能障害との関連性を考察した。血液脳関門再構成系in vitro BBB常態モデル、高温度培養条件をBBBモデルに負荷することにより病態モデル、血管周皮細胞、アストロサイトの培養系カイニン酸(KA)誘発BBB傷害モデル動物、ABCトランスポーターBCRPノックアウトマウス動物を用いて検討した。
結果と考察
In vitro BBB病態モデル(発熱及び炎症性障害モデル)がBBB病態モデルとして病態時の薬物の脳内移行性を評価する有用なツールとなり得ることを示した。また、BBB構成細胞であるアストロサイト及び血管周皮細胞は、傷害された細胞から放出されるATPを用いてコミュニケーションを取るが、このATPシグナルの変調におりマトリックスメタロプロテアーゼMMP9が産生され、BBB破綻の引き金となる可能性が強く示唆された。さらに、血液脳関門に発現する新規ABCトランスポーターとしてBCRPを見出し、発現系を用いたin vitro輸送実験、ならびにBCRPノックアウトマウスを用いたin vivo実験を行い、BCRPがP-gpと一部基質を共有すること、またダントロレンがBCRPを介する薬物の脳内移行性評価のために有用な薬物であることを明らかとした。
結論
簡便なBBB透過性評価を可能とする新規in vitro BBBモデルおよび発熱・炎症病態BBBモデルを確立した。本モデルは常態時あるいは病態時の薬物の脳移行性を評価するうえで有用なツールとなり得る。またBBBを構成するアストロサイト及び血管周皮細胞は、傷害細胞から漏出したATPを用いてコミュニケーションを図るが、このコミュニケーション変調により、MMP-9が産生され、BBB破綻に繋がる可能性を示した。最後に、新規ABCトランスポーターBCRPがBBB機能に重要な役割を果たすが、これはP-gp/Mdr1aと一部基質選択制が重複していること、またダントロレンは、BCRPの脳内移行性を評価する有用な薬物であった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200637021B
報告書区分
総合
研究課題名
血液脳関門破綻に基づく医薬品副作用の予測系の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-医薬-一般-025
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉修一(山梨大学医学部)
  • 片岡泰文(福岡大学薬学部)
  • 楠原洋之(東京大学大学院薬学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
BBB障害に伴う薬物の中枢性副作用の作用機構を明らかにするための実験モデルを作成する。
研究方法
血液脳関門再構成系in vitro BBB常態モデル、高温度培養条件をBBBモデルに負荷することにより病態モデル、血管周皮細胞、アストロサイトの培養系カイニン酸(KA)誘発BBB傷害モデル動物、ABCトランスポーターBCRPノックアウトマウス動物を用いて検討した。
結果と考察
 血液脳関門再構成系in vitro BBB常態及病態モデルを作成した。これは医薬品の脳移行性およびBBB機能への影響を簡便に評価でき、中枢性有害作用の予測に有用である。また、病態モデルは発熱や炎症時の薬物の脳内移行性を評価する有用なツールとなり得ることを示した。
虚血傷害後にBBBはCsAに脆弱となり、その脳移行は容易である可能性が示唆された。インフルエンザ脳症マウスの脳では、先ず最初に毛細血管が肥大し、アストロサイトが反応性に変化し、血管周皮細胞が消失する病理組織像が観察された。
 周皮細胞とアストロサイトが、ATPを介してコミュニケーションを取っていることが明らかとなった。外傷、炎症、及び虚血後に漏出するATPにより、P2Y2受容体を介して、毛細血管niche構造である血管周皮細胞の機能障害が惹起される可能性が示唆された。BBB構成細胞であるアストロサイト及び血管周皮細胞は、傷害された細胞から放出されるATPを用いてコミュニケーションを取るが、このATPシグナルの変調におりマトリックスメタロプロテアーゼMMP9が産生され、BBB破綻の引き金となる可能性が強く示唆された。
BBBにおける排出輸送系として、BCRPが異物排泄に働くことを明らかにした。また、血液脳関門に発現する新規ABCトランスポーターとしてBCRPを見出し、BCRPがP-gpと一部基質を共有すること、またダントロレンがBCRPを介する薬物の脳内移行性評価のために有用な薬物であることを明らかとした。
結論
in vitro BBBモデルおよび発熱・炎症病態BBBモデルを確立した。本モデルは常態時あるいは病態時の薬物の脳移行性を評価するうえで有用なツールである。BBBを構成細胞は傷害細胞から漏出したATPを介してコミュニケーションを図る。ABCトランスポーターBCRPがBBB機能に重要な役割を果たす。

公開日・更新日

公開日
2008-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
In vitroの血液脳関門(BBB)モデルを作成し、常態及び病態時のBBB機能を評価する上での有用性をしめした。
臨床的観点からの成果
インフルエンザ脳症の機構を探る上で重要である。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
33件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
45件
学会発表(国際学会等)
16件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-