輸入食品における食中毒菌サーベイランス及びモニタリングシステム構築に関する研究

文献情報

文献番号
200636042A
報告書区分
総括
研究課題名
輸入食品における食中毒菌サーベイランス及びモニタリングシステム構築に関する研究
課題番号
H18-食品-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 武士 甲一(帯広畜産大学)
  • 森田 幸雄(群馬県感染制御センター)
  • 豊福 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 鈴木 穂高(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
輸入食品および国内流通輸入食品における食中毒菌のモニタリングシステムを構築する。
研究方法
(1)アメリカ、カナダ、EC、イギリス、アイルランド及びデンマークの微生物モニタリングを調べた。
(2)チーズ、サラミソーセージにおけるリステリア及びエルシニアの保有状況を調べた。
(3)日本国内において行われている食品のサーベイランスの現状について調べた。
(4)アジア諸国論文で食中毒発生状況や菌保有状況について調べた。
(5)タイ国内で流通する鶏肉、牛肉、豚肉、エビなどの畜水産食品についてサルモネラやカンピロバクター等の汚染実態調査を現地で行った。ヒトや食品から分離されたCampylobacter jejuniの血清型、薬剤感受性およびgyrAの遺伝子変異を調べた。
結果と考察
(1)微生物モニタリングの対象食品は、卵、食肉等が主で、対象微生物は、Salmonella, Campylobacter, Listeria monocytogenes、EHECであった。
(2)輸入市販サラミソーセージの33.3%からListeria属菌が、16.7%からL. monocytogenesが分離され、市販ナチュラルチーズの2.9%からYersinia enterocoliticaが分離された。
(3)厚生労働省による食品のサーベイランスには、「食品、添加物等の夏期一斉取締り」、「食品、添加物等の年末一斉取締り」、「食品の食中毒菌汚染実態調査」がある。違反の詳細が不明、検査項目が限られている、全国約17自治体による実施であること等、食中毒菌サーベイランスとしては限定的であると考えられた。
(4)アジア諸国では健康人の食中毒菌保菌率が高かった。タイにおいてヒトおよび鶏から分離されたCampylobacter jejuniのうち、ヒト由来株の51%は 10のPenner血清型に、家禽由来株の68%は9の血清型にそれぞれ型別された。また、ヒト由来株の耐性株の比率は、96%?14%、家禽由来株のそれは77%?17%であった。キノロン系薬剤耐性株はすべてgyrA遺伝子変異株であった。
(5)タイ国内でサルモネラ属菌による汚染率が高いが鶏肉で特に高率であった。
結論
輸出国の衛生状態を把握するとともに、食品加工場従業員の健康状況把握することが必要である。また、特に鶏肉製品については高度キノロン系薬剤耐性菌の出現状況に注意をする必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-27
更新日
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