輸入生鮮魚介類および動物生肉のウイルス汚染のサーベイランスに関する研究

文献情報

文献番号
200636041A
報告書区分
総括
研究課題名
輸入生鮮魚介類および動物生肉のウイルス汚染のサーベイランスに関する研究
課題番号
H18-食品-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 治(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島廣治(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 鈴木 宏(新潟大学教育研究院 医歯学系)
  • 木村博一(国立感染症研究所 感染症情報センター?)
  • 山下和予(国立感染症研究所 感染症情報センター?)
  • 古屋由美子(神奈川県衛生研究所 微生物部)
  • 杉枝正明(静岡県環境衛生科学研究宇所 微生物部)
  • 大瀬戸光明(愛媛県立衛生環境研究所 衛生研究部)
  • 西田知子(山口県環境保健研究センター 生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国には大量の生鮮魚介類および動物生肉が輸入されているが、ウイルス学的な安全性は殆ど調べられていない。そこで、食品の安全性を確保する目的から、生鮮魚介類はノロウイルスおよびA型肝炎ウイルス、動物生肉はE型肝炎ウイルスの汚染状況を調査・研究すると共に、日本のノロウイルス、AおよびE型肝炎の患者発生との関連およびベトナムの小児におけるノロウイルスによる流行状況と遺伝子型について研究を実施した。
研究方法
2006年4月から2007年2月の間に、市販された輸入生鮮魚介類のうち、中国、韓国、台湾、北朝鮮、ロシア、マレーシア、ベトナム、インドネシアからの291件(カキ、アカガイ、ハマグリ、アサリ、マテガイ、シジミ、アゲマキ、アケガイ、トコブシ、ブラックタイガー)について、ノロウイルスとA型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスの検出を行なった。
 動物生肉はアメリカ、カナダ、中国、メキシコ、デンマーク、フランス、オーストラリア、チリ他の7カ国からの110件(豚肉、牛肉、鹿肉、羊肉、馬肉)について、E型肝炎ウイルスの汚染状況を調査した。
結果と考察
輸入生鮮魚介類からのノロウイルス検出は加熱用カキが82検体中15検体(18.3%)、アカガイ107検体中15検体(14.0%)、ハマグリ55検体中9検体(16.4%)から検出された。中国からの輸入二枚貝からGⅡは3、4型が多く検出された。わが国の食中毒事件および集団発生は殆どがGⅡ/4であった。
生鮮魚介類からのA型肝炎ウイルスは生鮮魚介類291件中1件(0.5%)から検出され、遺伝子型は1a型であった。
16カ国からの動物生肉110件(豚肉、牛肉、鹿肉、羊肉、馬肉)からはE型肝炎ウイルスは検出されなかった。ゆえに、現在のところ、輸入動物生肉はE型肝炎ウイルスに汚染されていないと考えられた。
結論
輸入二枚貝については充分な加熱をしないと、ノロウイルスおよびA型肝炎ウイルスによる食中毒の危険性があることを広く啓発しなければならないと考えている。
 また、A型肝炎ウイルスによる食中毒事件は食品取扱者が感染源となる危険性があるので、積極的にA型肝炎ウイルスのワクチンを受けるように努める必要があり、今後、このことについて生鮮魚介類取扱者への衛生教育と啓発が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
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