食品における微生物迅速検査法の開発及びその精度評価システムに関する研究

文献情報

文献番号
200636038A
報告書区分
総括
研究課題名
食品における微生物迅速検査法の開発及びその精度評価システムに関する研究
課題番号
H18-食品-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 俊司(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医感染症学)
研究分担者(所属機関)
  • 浅尾 努(大阪府立公衆衛生研究所感染症部細菌課)
  • 木村 凡(東京海洋大学食品微生物学)
  • 宮本 敬久(九州大学大学院農学研究院)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部)
  • 松岡 英明(東京農工大学大学院工学教育部)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター微生物部)
  • 荒川 英二(国立感染症研究所細菌第一部)
  • 勢戸 祥介(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医微生物学)
  • 吉田 靖子(東京都健康安全研究センター微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品のリスクマネージメントでは製造あるいは作業工程中での衛生管理が正当に行われているかを評価するために、食品や環境中の一般生菌数、汚染指標細菌、あるいは食中毒菌の検出を行う必要がある。このような場合、検体に含まれる菌数は非常に少ないため使用する検査法は高感度であるばかりでなく、迅速や簡便性が要求され、実施に当たっては可能な限り専門的な知識や技術を必要としないが、規格化され安定した結果が得られる方法であることが重要である。本研究では食品の安全性を確保するための迅速・簡易検査法についての要件を精査し、さらに培養による標準検査法を基本とし、これら迅速法の検査精度の評価システムの構築を試み、より優れた迅速高感度な検出法の開発が可能な環境作りを行うことを目的とする。
研究方法
本年度は一般生菌数および汚染指標細菌に関する情報収集、種々の病原細菌の市販迅速法の調査、迅速法評価の要請が急がれている腸炎ビブリオ、ベロ毒素およびノロウイルスの検出法の検討、および食品中に含まれる細菌の濃縮法の条件検討をおこなった。
結果と考察
一般生菌数および汚染指標細菌:国内の告知法・通知法は欧米で使用されている方法とは一部の検査法で異なり、検査法の国際的な調和を図る視点から好ましくない状況にあることがわかった。また、欧米では迅速法も公的な検査法として認知を受けていることが明らかになった。腸炎ビブリオ:酵素基質培地は腸炎ビブリオ以外の他の菌が同一の反応を示すことから、現法では適用できないことがわかった。特異toxR遺伝子を指標にしたPCR法は、培養法と同程度の検出感度を持つ知見を得ることができた。腸管出血性大腸菌産生ベロ毒素:免疫学的診断用として市販されているイムノクロマトキットは、迅速性および簡易性に優れているが、一部抗原性の異なる変異型毒素は検出できないことがわかった。ノロウイルス簡易迅速検出法: ELISA法は、検出限界は約10万個で、国内で発生しているノロウイルス株の大半に対応可能であることわかった。濃縮法:磁気ビーズ法を応用した循環型濃縮システムは報告されている高い濃縮結果は得られなかった。濾過が困難な食材からの遠心分離法による菌の回収の最適条件を調べ、分画濾別可能な新規デバイスを試作した。
結論
食品からの微生物迅速検査法として応用可能なキットが市販されているものもあるが、感度および特異性から効率のよい濃縮方法の開発が必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
-