魚介類に含まれる食中毒原因物質の分析法に関する研究

文献情報

文献番号
200636031A
報告書区分
総括
研究課題名
魚介類に含まれる食中毒原因物質の分析法に関する研究
課題番号
H17-食品-若手-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
相良 剛史(四国大学短期大学部生活科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾 幸郎(四国大学短期大学部生活科学科)
  • 浅川 学(広島大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
魚介類の食品としての安全性を確保し国民の健康保護を図ることを目指し、シガトキシン(CTX)類およびパリトキシン(PTX)類を対象とした化学的手法による高感度で迅速、かつ簡便な「新規CTX類またはPTX類分析法」の開発を目的とした。
研究方法
CTX類の粗毒、あるいはPTX標準品とPTX類の粗毒を用いて、有効な簡易精製法を検討した。さらに、見出された簡易精製法により部分精製した各有毒成分につき、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)による高感度で迅速、かつ簡便な分析条件に検討を加えた。
結果と考察
CTX類の簡易精製にはSep-Pak C18(Waters)、ENVI-Carb(SUPELCO)およびGL-PAK CARBOGRAPH(GL science)、PTX類についてはOASIS MAX(Waters)による固相抽出法が極めて有効であった。また、PTX標準品を限外ろ過と精密ろ過に付したが、前者の回収率は著しく低く、後者による前処理が適当であると考えられた。次いで、CTX類の部分精製毒をBruker社製Bio TOFにより分析ところ、m/z 1117.2のMSクロマトグラムにおいてCTX関連成分と示唆されるピークが検出された。一方、PTX標準品によるLC/MS分析は、Bruker社製Bio TOFでは濃度50 ppm以上で精密質量分析、Micromass社製Quattro microタンデムマスではMRM法で濃度50 ppb以上の微量定量分析、さらにHITACHI社製NanoLC/ Linear-Trap-TOF NanoFrontier LDでは濃度10 ppb以上の微量分析ならびに500 ppb以上の精密質量分析が可能となった。これらPTXの分析では、共通してリニアグラジエント法を特異な条件として設定した。本手法はPTX類を保有する有毒なイワスナギンチャクならびにOstreopsis属渦鞭毛藻の有毒成分の分析においても良好な成果が得たれたことから、その実用性が証明された。
結論
当該年度の本研究事業により、PTX粗毒の有効な簡易精製法ならびにLC/MSによる高感度な分析条件が確立され、CTX類についても簡易精製法と分析法について良好な成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200636031B
報告書区分
総合
研究課題名
魚介類に含まれる食中毒原因物質の分析法に関する研究
課題番号
H17-食品-若手-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
相良 剛史(四国大学短期大学部生活科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾 幸郎(四国大学短期大学部生活科学科)
  • 浅川 学(広島大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
魚介類の食品としての安全性を確保し国民の健康保護を図ることを目指し、シガトキシン(CTX)類およびパリトキシン(PTX)類を対象とした化学的手法による高感度で迅速、かつ簡便な「新規CTX類またはPTX類分析法」の開発を目的とした。

研究方法
まず、日本を含む東南アジア産魚類201検体につき、CTX類またはPTX類を対象とした毒性スクリーニングを行い、それぞれの粗毒を調製した。一方、西日本を中心に有毒なGambierdiscus属とOstreopsis属渦鞭毛藻の分布状況を調べ、培養株の毒性を検討した。次に、CTX類の粗毒、あるいはPTX標準品とPTX類の粗毒を用いて、機器分析に供すための前処理法を検討した。さらに、見出された前処理法により部分精製した各有毒成分につき、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)による高感度で迅速、かつ簡便な分析条件に検討を加えた。

結果と考察
供試魚類16検体から抗CTX抗体に陽性反応を示す脂溶性毒0.025~0.05 MU/gが検出された。また、同77検体の水溶性画分はマウスに対する致死毒性を示し、有毒試料の一部はPTXの性状と類似していた。また、高知県と徳島県沿岸にGambierdiscus属渦鞭毛藻が、千葉県、高知県、宮崎県沿岸にOstreopsis属渦鞭毛藻が分布していることを明らかにし、いずれも有毒種からの水溶性および脂溶性毒の確保に成功した。一方、有毒試料からのCTX類またはPTX類の有効な前処理法を見出した。CTX類の部分精製毒をBruker社製Bio TOFにより分析ところ、m/z 1117.2のMSクロマトグラムにおいてCTX関連成分と示唆されるピークが検出された。一方、PTX標準品によるLC/MS分析は、Bruker社製Bio TOFでは濃度50 ppm以上で精密質量分析、HITACHI社製NanoLC/ Linear-Trap-TOF NanoFrontier LDでは濃度10 ppb以上の微量分析ならびに500 ppb以上の精密質量分析が可能となった。

結論
本研究事業により、国内外の食用魚介類の毒性を再評価するとともに、PTX粗毒の有効な簡易精製法ならびにLC/MSによる至適分析条件を確立し、CTX類についても簡易精製法と分析法について良好な成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200636031C

成果

専門的・学術的観点からの成果
まず、CTX類とPTX類の簡易精製法ならびにLC/MS分析法を確立した。さらに、西日本沿岸におけるGambierdiscus属とOstreopsis属渦鞭毛藻の分布状況を明らかにするとともに、国内に流通または流通しうる食用魚類の毒性を再評価した。
臨床的観点からの成果
特記事項なし
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
本研究成果であるCTX類とPTX類の機器分析による定量法の確立は、これら検査体制の充実・強化に貢献し、国内外産を問わず、本邦に流通する魚介類のモニタリング実施に大きく寄与すると考えられる。一方、シガテラ中毒やPTX様中毒の早期診断や未然防止、これまで毒性が不明で未利用資源となっている魚介類の食用化の実現が期待される。
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
相良剛史他
高速液体クロマトグラフィーによるパリトキシンの微量分析
四国大学紀要自然科学編 , 24 , 13-17  (2007)
原著論文2
相良剛史他
軟体動物ウミフクロウの毒性について
四国大学紀要自然科学編 , 24 , 9-12  (2007)
原著論文3
相良剛史他
西表島産イワスナギンチャクPalythoa tuberculosa の毒性について
四国大学紀要自然科学編 , 26 , 9-12  (2008)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-