食肉における家畜・家禽のウイルス疾病に関する研究

文献情報

文献番号
200636026A
報告書区分
総括
研究課題名
食肉における家畜・家禽のウイルス疾病に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎克則(北海道医療大学薬学部)
  • 池田秀利(動物衛生研究所人獣感染症研究チーム)
  • 伊藤壽啓(鳥取大学農学部)
  • 杉山 誠(岐阜大学大学院連合獣医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食用に供される家畜・家禽などのウイルス性疾病について食肉・食鳥衛生検査所等でも実施可能な検査法の開発や改良、基礎的技術資料を提供することや実態調査を実施することを目的とした。
研究方法
ウイルス学的検査の一つであるPCR検査で検体からのRNA・DNA抽出キットの選択やマイクロアレイための核酸増幅法の比較検討と検出用プローブの設計を試みた。高病原性鳥インフルエンザ検査について市販人用インフルエンザ診断キットの感度、特異性を調べた。さらに迅速高感度診断法として開発したLAMP法の感度を他と比較した。食用として供される家畜や野生動物におけるA群ロタウイルス及びE型肝炎ウイルスについて血清疫学調査とウイルスゲノム検出を実施した。
結果と考察
PCR検査法で検体臓器乳剤からのDNA抽出ではキット間に差は無かったがRNAではキットの選択が必要であることがわかった。マイクロアレイに応用できる核酸増幅法としてOmniPlex WGA法が最適であった。また、鳥インフルエンザウイルスを検出するプローブの設計ができた。人用インフルエンザ診断キットは鶏肉の混入でも非特異的反応は見られないが、キットにより感度に差があった。開発した鳥インフルエンザウイルス共通プライマーによるLAMP法は高感度であることがわかった。イノシシでトリやヒトロタウイルスなどの抗体があり、ウイルスゲノムも1例検出された。また、エゾシカ12.4%でE型肝炎ウイルスのELISA抗体が1例はウエスタンブロット法でも陽性だった。
結論
ウイルス学的検査の一つであるPCR検査法における検体の乳剤化さらにRNAおよびDNA抽出のためのキットの選択ができ、今後の食肉・食鳥検査所での検査技術に有用な基礎的技術資料となる。また、多数の病原体を一括して検出するマイクロアレイは有用と考えられるがさらに実施可能な方法の検討が必要である。鳥インフルエンザ検査においての有用な簡易検査キットの候補が選択できたが感度が低く改良が望まれる。またLAMP法による鳥インフルエンザウイルスの検出方法を開発でき食鳥検査所でも応用可能にする必要がある。食肉に供されるウシ、イノシシでロタウイルスがまた、エゾシカでE型肝炎ウイルスの感染が起きていることがあることがわかりさらに詳細な解析が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
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