食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200636011A
報告書区分
総括
研究課題名
食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性確保に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
河村 葉子(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 小川 正(財団法人日本文化用品安全試験所)
  • 松崎 克彦(日本製缶協会)
  • 森田 邦雄(社団法人日本乳業協会)
  • 伊藤 弘一(東京都健康安全研究センター)
  • 高野 忠夫(財団法人化学技術戦略推進機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具は、食品衛生法によりその安全性が担保されているが、規格基準の内容に問題があるものや規格基準が設定されていないものがある。そこで、それらの検討を行い、安全性確保のための新しい枠組みや規格基準の改正原案などを提案する。
研究方法
器具・容器包装、玩具の海外及び我が国の法体系、規格基準などを調査し、製品等の各種試験を行った。それらをもとに規格基準、自主基準、安全性等について検討した。
結果と考察
紙製器具・容器包装の安全性確保のため、各種化学物質の残存及び溶出に関する試験・調査を行った。また原紙におけるポジティブリスト、優良製造規範、規格等を検討して自主基準案を作成するとともに、加工された紙製品の自主基準案も検討した。金属製器具・容器包装は、製造・修理用金属、メッキ用スズ、ハンダに出来る限り鉛を使用しないこととし、鉛含有量の規格値を0.1または0.2%と大幅に引き下げ、また銅製品のメッキは剥離しやすい器具を除外する改正原案を作成した。金属缶については、一般の規格のハンダ中の鉛含有量に関する特例を廃止するとともに、材質別規格で定める溶出試験の条件を使用実態に近づけ、加圧加熱滅菌を考慮した121℃を盛り込んだ改正原案を作成した。乳及び乳製品の器具・容器包装の規格基準のうち、乳及び調製粉乳は乳等省令の中で整理を行い、乳製品は食品、添加物等の規格基準に統合することとし、それぞれの改正原案を作成した。器具・容器包装の残存物質では、ABS樹脂のアクリロニトリル、ブタジエン等、紙製品の芳香族第1級アミン類、陶磁器、ゴム等のヒ素、合成樹脂の全有機炭素について試験法を検討し実態を調査した。またアビエチン酸類は細胞形質転換活性を試験したところプロモーション作用が確認された。乳幼児用玩具は、ホルムアルデヒド及び17種の揮発性物質の溶出試験とバッグ法による試験、総有機物の試験法として全有機炭素及び過マンガン酸カリウム消費量の試験を行い、実態を調査するとともにそれぞれの試験法を比較検討した。
結論
各種器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性確保の仕組み、規格基準の問題点等を検討し、規格基準等の改正原案、業界の自主基準案等を作成した。本研究は食品衛生行政や業界の安全管理に貢献するとともに、器具・容器包装に関わる国民の安心・安全に大きく寄与すると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200636011B
報告書区分
総合
研究課題名
食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性確保に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
河村 葉子(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 高谷 幸(社団法人日本乳業協会)
  • 六鹿 元雄(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
  • 荻野 周三(東京都健康安全研究センター食品添加物研究科)
  • 高野 忠夫(財団法人化学技術戦略推進機構)
  • 小川 正(財団法人日本文化用品安全試験所)
  • 松崎 克彦(日本製缶協会)
  • 伊藤 弘一(東京都健康安全研究センター食品添加物研究科)
  • 森田 邦雄(社団法人日本乳業協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具は、食品衛生法により安全性が担保されるが、様々な問題点が指摘されている。そこで、それらを検討して安全性確保のための新しい枠組みや規格基準の改正原案などを提案する。
研究方法
器具・容器包装、玩具の海外及び我が国の法体系、規格基準などを調査し、各種試験を行った。それらをもとに規格基準、自主基準、安全性等について検討した。
結果と考察
紙製器具・容器包装の安全性確保のため、各種化学物質の残存及び溶出に関する試験・調査を行った。また原紙におけるポジティブリスト、優良製造規範、規格等を検討して業界団体の自主基準案を作成し、各種紙製品の自主基準案も検討した。陶磁器、ガラス、ホウロウ引き製器具・容器包装の規格基準については、我が国の現状並びに国際標準化機構のISO規格を踏まえて改正原案を作成した。金属製器具・容器包装は、製造・修理用金属、メッキ用スズ、ハンダに出来る限り鉛を使用しないこととし、鉛含有量の規格値を0.1または0.2%に大幅に引き下げ、また銅製品のメッキは剥離しやすい器具を除外するという改正原案を作成した。金属缶については、一般の規格のハンダ中の鉛含有量に関する特例を廃止するとともに、材質別規格で定める溶出試験の条件は使用実態に近づけて加圧加熱滅菌を考慮した121℃を盛り込んだ改正原案を作成した。乳及び乳製品の器具・容器包装の規格基準のうち、乳及び調製粉乳については乳等省令の中で整理し、乳製品については食品、添加物等の規格基準に統合することとし、それぞれの改正原案を作成した。器具・容器包装の残存物質では、エポキシ化大豆油、1-クロロブタン、セミカルバジド、アビエチン酸類、アクリロニトリル、ブタジエン、芳香族第1級アミン類、ヒ素、全有機炭素などについて試験法の開発、実態調査、安全性の評価等を行った。乳幼児用玩具について、ホルムアルデヒド及び17種の揮発性物質は溶出試験とバッグ法、総有機物は全有機炭素及び過マンガン酸カリウム消費量の試験を行い、実態の調査及び試験法を比較検討した。
結論
各種器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性確保の仕組み、規格基準の問題点等を検討し、規格基準等の改正原案、業界の自主基準案等を作成した。本研究は食品衛生行政や業界の安全管理に貢献するとともに、器具・容器包装の安全性向上に寄与すると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200636011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで報告がほとんどない瓶詰食品キャップシーリング中のエポキシ化大豆油及びセミカルバジド、ポリ塩化ビニリデン中の1-クロロブタン、ABS樹脂中のブタジエン、アクリロニトリル等、紙製品中のアビエチン酸類及び芳香族第一級アミン類、器具及び容器包装全般のヒ素、全有機炭素について、分析法を確立するとともに市場品における実態を明らかにした。また、アビエチン酸類について遺伝毒性の検討を行いプロモーション活性をもつことを示した。
臨床的観点からの成果
病気の治療とは関係なし
ガイドライン等の開発
紙製器具・容器包装の安全性確保で検討を行った自主基準案については、それをもとに原紙や紙器、段ボール等の各業界団体が自主基準を作成し実施された。また、金属缶の規格基準の検討において見直しを行った溶出試験条件案についても業界団体の自主基準に取り入れられた。これらにより製品の安全性向上が期待される。
その他行政的観点からの成果
乳幼児用玩具の規格基準で検討した指定おもちゃの範囲および規格基準については、薬事・食品衛生審議会で審議されH20年3月31日に法令改正された。また、金属製器具等の安全性向上において検討した金属、ハンダ、メッキ用スズ中の鉛含有量の改正原案、並びにガラス、陶磁器等の規格基準で検討した改正原案は、薬事・食品衛生審議会で審議され、H20年7月31日に規格基準改正が告示された。また、乳等用器具・容器包装の安全性確保で検討された改正案は薬事・食品衛生審議会で審議予定である。
その他のインパクト
陶磁器等の規格基準について検討を行っていることは業界紙にたびたびとりあげられ、その後3大紙にもとりあげられた。H19年度初めに中国製品が問題になり規制強化が打ち出されたが、本研究において金属製器具、陶磁器、玩具等の安全性確保のための改正原案を作成していたため、行政は迅速に対応することができ、消費者の不安解消に貢献することができた。また、本研究に参加した器具・容器包装の業界関係者も安全性について理解を深め製品自体の安全性向上にも寄与できた。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
4件
投稿中1
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
おもちゃの規格等の改正、金属類の鉛含有量の改正、陶磁器等の規格改正
その他成果(普及・啓発活動)
8件
国内各地及びタイで講演、業界等への説明会など

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ozaki A., Yamaguchi Y., Fujita T. et al.
Safety assessment ofpaper and board food packaging: Chemical analysis and genotoxicity of possible contaminants in packaging
Food Additives and Contaminants , 22 , 1053-1060  (2005)
原著論文2
羽石奈穂子,安野哲子,金子令子他
食品用プラスチック製品に含有される酸化防止剤の抽出溶媒及び安定性の検討
東京都健康安全研究センター研究年報 , 55 , 179-182  (2005)
原著論文3
河村葉子,川﨑智恵,峰 幸加他
乳幼児用玩具中の有害8元素およびその溶出試験
食品衛生学雑誌 , 47 , 51-57  (2006)
原著論文4
菅野慎二,河村葉子,六鹿元雄他
ラップフィルムおよびキャップシーリング中のエポキシ化大豆油およびエポキシ化亜麻仁油の分析
食品衛生学雑誌 , 47 , 89-94  (2006)
原著論文5
菅野慎二,河村葉子,六鹿元雄他
瓶詰キャップシーリング中のエポキシ化大豆油の調査
食品衛生学雑誌 , 47 , 196-199  (2006)
原著論文6
河村葉子,菅野慎二,六鹿元雄他
瓶詰食品中のエポキシ化大豆油の分析
食品衛生学雑誌 , 47 , 243-248  (2006)
原著論文7
Ohno H., Kawamura Y.
Analysis of vinylidene chloride and 1-chloro-butane in foods packaged with polyvinylidene chloride casing films by headspace gaschromatography/ mass spectrometry (GC/MS)
Food Additives and Contaminants , 23 , 839-844  (2006)
原著論文8
Ozaki A., Ooshima T., Mori Y.
Migration of dehydroabietic acid and abietic acid from paper and paperboard food packaging into food-simulating solvents and Tenax TA
Food Additives and Contaminants , 23 , 854-860  (2006)
原著論文9
安野哲子,六鹿元雄,金子令子他
食品用器具・容器包装及び玩具の溶出試験におけるヒ素の分析
東京都健康安全研究センター研究年報 , 58 , 145-151  (2007)
原著論文10
六鹿元雄,河村葉子,棚元憲一
瓶詰食品キャップシーリング中のセミカルバジドの分析
日本食品化学学会誌 , 15 , 23-27  (2008)
原著論文11
Ohmori K., Kawamura Y.
Cell transformation activities of abietic acid and dehydroabietic acid: Safety assessment of possible contaminants in paper and paperboard for food contact use
Food Additives and Contaminants , 26  (2009)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-