文献情報
文献番号
200636003A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる健康食品の有効性の評価に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上野川 修一(日本大学生物資源科学部)
研究分担者(所属機関)
- 河野 陽一(千葉大学大学院医学研究院)
- 戸塚 護(東京大学大学院農学生命科学研究科)
- 池上 幸江(大妻女子大学家政学部)
- 志村 二三夫(十文字学園女子大学)
- 篠塚 和正(武庫川女子大学薬学部)
- 花田 信弘(国立医療科学院口腔保健部)
- 今井 奨(国立医療科学院口腔保健部)
- 高橋 信博(東北大学大学院歯学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
いわゆる健康食品はその保健効果に関する国民の関心は高いが、その科学的根拠には不確かなものがあることや、厳正な有効性の評価方法が存在しないなどの問題点がある。そこで、本研究は医薬品とは違った意味で食の保健効果を科学的、厳正に評価する独自の方法を確立すべく、特に免疫調節・アレルギー予防機能、生活習慣病予防機能、口腔内の疾病予防機能に対して有効性の高い健康食品を正しく評価し、その成果を国民の健康維持・増進に役立てることを目的とした。
研究方法
実際に効果があると確認されている食品であるが、必ずしも作用機序が明確化されていない食品、あるいは食品そのものであるためまたは複数の成分が効果に関係しているため関与成分の特定が困難な食品等の有効性を,以下のテーマを中心に行った。
①免疫調節機能、アレルギー予防機能を有する食品の評価方法の確立
②食品のもつ生活習慣病予防効果の評価方法の確立
③主に口腔における保健機能を有する食品の評価方法の確立
①免疫調節機能、アレルギー予防機能を有する食品の評価方法の確立
②食品のもつ生活習慣病予防効果の評価方法の確立
③主に口腔における保健機能を有する食品の評価方法の確立
結果と考察
動物実験やin vitro細胞実験により、抗感染作用が期待される食品成分による腸管関連リンパ組織(パイエル板や腸間膜リンパ節など)でのサイトカイン、IgA産生作用機序、全身免疫系への作用も明らかになった。臍帯血単核球を腸内細菌菌体成分で刺激したときのIL-10産生は早期の乳児期アレルギー発症の予測には有用である可能性が見出された。生活習慣病に対する健康食品の評価方法は動物実験等によりある一定の成果は見られたが、ヒトでの総合的な評価も必要である。口腔の保健効果に対しては本研究における評価方法は客観性・高精度・簡便性などにおいて有効であることが示された。
結論
食品のもつ免疫調節機能、アレルギー予防機能の評価方法については、動物実験、遺伝子レベルでの解析、in vitro試験による評価方法は対象食品のスクリーニングやその作用量の検定に有用であると考えられた。さらにヒト臨床試験をあわせた総合的な評価方法の確立が重要である。食品のもつ生活習慣病(主にがん、循環器疾患、精神疾患)予防効果の評価方法については、動物実験およびin vitro試験による薬理学的・栄養学的な評価方法が作用機序の解明も含めた一定の成果があるものの、ヒトにおける検証が重要である。食品の口腔における有効性評価方法については、本研究で用いた再石灰化促進機能評価、口臭の評価、食品のう蝕誘発性評価、食品の酸産生検定システム、口腔疾患に関連する口腔微生物の微生物検出法が客観性、高精度、実用性(容易さ)などから有効な方法であることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2007-07-23
更新日
-