いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する研究

文献情報

文献番号
200636002A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 衛郎(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品機能プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 各務 伸一(愛知医科大学医学部)
  • 山田 静雄(静岡県立大学薬学部)
  • 白井 厚治(東邦大学医療センター佐倉病院)
  • 中村 治雄(財団法人三越厚生事業団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する検討を目的とした。
研究方法
(1)平成16?18年の5施設における健康食品による肝障害例の調査を行った。ウコンの主成分、クルクミンの肝障害発症への関与を検討。
(2)前立腺肥大に伴う排尿障害に対するノコギリヤシ果実抽出液(SPE)の効果をヒト摘出前立腺で検討。
(3)特定保健用食品のアミールSは、アンギオテンシン変換酵素阻害作用を介し、血圧低下作用があるとされている。現在、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗剤が汎用されているので、両者の併用の安全性を検討した。 
(4)平均59才の高コレステロール血症者16例に、特保許可品の植物ステロール含有マヨネーズと低分子化アルギン酸ナトリウムの併用摂取について検討。
(5)通常摂取量から100倍量のL-カルニチン、クルクミンを含む高脂肪食または通常食をラットに4週間投与。
(6)シトラスアウランチウム (CA)、カフェイン、茶カテキンを含む高脂肪食で成熟ラットを 44、45 日間飼育。
結果と考察
(1)健康食品による肝障害事例は21例で、原因は多岐にわたっていた。HBVマウスへのクルクミン投与では肝障害はみられなかった。
(2)SPEは下部尿路受容体に対する直接的作用により、前立腺肥大の機能的閉塞の解除や過活動膀胱の抑制などの薬理作用を示すことが示唆された。
(3)降圧効果には影響なく、副作用も認められなかった。併用摂取は特に問題ない。
(4)TCは6%、LDL-Cは10%の有意の減少、アディポネクチンは13.1%上昇し、安全性は問題なく高い有用性を確認した。
(5)L-カルニチンは脂質代謝亢進による体脂肪蓄積抑制効果を示さず、過剰摂取は検討が必要。クルクミンの血清脂質濃度改善効果と病理組織学的安全性を確認。
(6)カフェイン、茶カテキン併用により、CA の脂肪蓄積抑制効果が増強することはなく、心臓毒性、尿中アドレナリン排泄量のさらなる増加も認めらなかった。
結論
いわゆる健康食品でも健康被害が発生する場合がある、医薬品との併用には注意が必要である、等の認識が必要。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200636002B
報告書区分
総合
研究課題名
いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 衛郎(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品機能プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 各務 伸一(愛知医科大学医学部)
  • 山田 静雄(静岡県立大学薬学部)
  • 白井 厚治(東邦大学医療センター佐倉病院)
  • 中村 治雄(財団法人三越厚生事業団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する検討。
研究方法
(1)健康食品による肝障害例を調査し、原因食品の種類、診断基準の検討。
(2)いわゆる健康食品や特定保健用食品と医薬品との相互作用についてヒトで検討。
(3)特定保健用食品の組み合わせ摂取による安全性・有用性を臨床的に検討。
(4)幼若と成熟雄ラットでガルシニアの精巣毒性について、雌ラットで生殖器に対する影響について検討。
(5)シトラスアウランチウム (CA)単独及び、カフェイン、茶カテキンを含む高脂肪食投与の安全性と有効性をラットで検討。
(6)通常摂取量から100倍量の明日葉、メリロート、L-カルニチン、クルクミンの安全性と有効性をラットで検討。

結果と考察
(1)健康食品による肝障害事例は全国調査で79例、協力施設で21例、原因は多岐に渡った。診断上の問題点が明らかになった。
(2)イチョウ葉抽出液は反復経口投与により臨床薬の薬物動態に影響する、ノコギリヤシ果実抽出液は臨床薬との相互作用は少なく前立腺や膀胱の自律神経受容体に結合して排尿障害を改善する。糖尿病でビグアナイド剤服用者が特定保健用食品の中鎖中性脂肪を食しても乳酸値に影響なし。スルフォニルウレア剤服用者のヘルシア緑茶摂取で血糖値の増加する患者がいた。高血圧者でARB服用者がACE阻害作用のあるアミールS錠菓を摂取しても問題はなし。
(3)大豆蛋白と高濃度カテキン茶、植物ステロール含有エコナ油とコレスケア、植物ステロール含有マヨネーズとコレスケア、共にLDL-C 5-10%低下、HDL-C上昇、アディポネクチンの有意の増加。安全性に問題なく、組み合わせは有用。
(4)成熟雄ラットでも精巣毒性の可能性。雌では異常なし。CA大量摂取で血漿及び尿中アドレナリン上昇、腎周囲脂肪組織重量減少だが心毒性は認めず。
(5)カフェイン、茶カテキン併用により、CA の脂肪蓄積抑制効果が増強することはなく、心臓毒性、尿中アドレナリン排泄量のさらなる増加も認めず。
(6)明日葉:体脂肪、脂質濃度に影響なし。胆汁酸排泄亢進。過剰摂取の健康影響なし。メリロート:体脂肪、脂質濃度に影響なし。OLETFラットで血糖指標への影響なし。過剰摂取の健康影響なし。L-カルニチン:体脂肪改善効果なし。過剰摂取は検討が必要。クルクミン:血清脂質濃度改善と病理組織学的安全性を観察。
結論
いわゆる健康食品でも健康被害が発生する場合がある、医薬品との併用には注意を要す、等の認識が必要。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200636002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する検討を目的とした。その結果、健康食品による肝障害の実態、背景因子、診断上の問題点が明らかになった。また、健康食品の中には医薬品と相互作用を起こすものがあり医薬品との併用には注意が必要、特定保健用食品と言えども含まれる成分の中には病状に影響するものもあり濫用は避けるべきである、等の成果を得た。限定的ではあるが、ヒトでの情報を得、健康食品ブームの中、実態の把握と事実認識の必要性、正しく適切な情報提供と啓蒙活動の重要性等を示唆する成果が得られた意義は大きい。
臨床的観点からの成果
いわゆる健康食品による肝障害などの診断基準の問題点と診断基準の確立の必要性、基礎疾患を持つ者における健康食品摂取状況の把握の重要性等が明らかとなった。また、健康食品の中には医薬品と相互作用を起こすもの、含まれる成分の中には病状に影響するものがあることから、その摂取状況把握の必要性が示唆された。高齢化社会を迎えて疾病を抱える者の増加に鑑み、基礎疾患を持つ者の健康食品摂取状況の把握、医薬品と健康食品の相互作用の可能性、等に関して常に正確な情報取得が必要である。こうした成果の意義は大きい。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
14件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
17件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
石川哲也、各務伸一
「いわゆる健康食品」による肝障害の実態について―全国調査集計結果をもとに―
Minophagen medical review , 50 , 283-291  (2005)
原著論文2
宮島恵美子、山下 毅、中村治雄、他
特定保健用食品の組み合わせ摂取の有用性の検討―大豆蛋白と高濃度カテキン茶の併用―
Prog. Med. , 25 , 831-835  (2005)
原著論文3
細谷浩司、山下 毅、中村治雄、他
特定保健用食品の組合せ摂取の有用性の検討―ジアシルグリセロール+植物ステロールの添加油(エコナ油)と食物繊維(コレスケア)併用―
Prog. Med. , 26 , 765-768  (2006)
原著論文4
宮島恵美子、細合浩司、中村治雄、他
特定保健用食品の組み合わせ摂取による安全性、有効性の検討―植物ステロール添加マヨネーズと低分子化アルギン酸ナトリウム併用による有用性―
Prog. Med.  (2007)
原著論文5
Takebayashi, J. Kubo, K.,Saito, M., et al.
Effect of Citrus aurantium combined with caffeine and/or tea catechins on body fat accumulation and its safety in rats
J.Clin. Biochem. Nutr. , 39 , 174-181  (2006)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-