非石綿ガスケットの高温密封性能の評価と試験方法の開発

文献情報

文献番号
200635024A
報告書区分
総括
研究課題名
非石綿ガスケットの高温密封性能の評価と試験方法の開発
課題番号
H18-労働-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
辻 裕一(東京電機大学工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 尚((独)労働安全衛生総合研究所・産業安全研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,960,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 各種プラントの配管継手や機器フランジに多用されているガスケットは,石綿含有製品製造等の禁止の対象となっていない.非石綿ガスケットへの代替化促進の鍵は,プラント運転時の高温における長期間のガスケットの性能・品質に関する信頼性データの収集・提供である.
 本研究では,標準的な高温ガスケット密封性能試験法の開発・規格化を進める.試験結果を利用し,フランジ継手からの微少漏洩管理をするための最適なガスケット係数の表示方法を非線形有限要素解析に基づき検討する.これらの成果に基づき,代替品選択のための指針の提供を中立研究機関の立場から行う.
研究方法
 常温ガスケット密封性能試験であるHPISガスケット試験法を高温に拡張した試験方法J-EHOTを提案,試験を実施する.この試験法は,実際のプラント運転状況を想定しているところに特徴があり,高温でのエージング前後のシール特性の変化を常温試験の比較により評価できる.
 一方,フランジ継手に関して,有限要素解析を実行する.ガスケットの非線形性,フランジ面での接触/分離を考慮できるモデルを作成し,ガスケット応力分布を明らかにする.運転時のガスケット応力の除荷に着目して,J-EHOT試験の高温での外乱シーケンスの根拠とする.
結果と考察
 J-EHOT試験のpost-ROTTでは,高温時と比較してガスケットの基本漏洩量が上昇していることが確認できた.ガスケットがエージングにより硬化していることから,温度変化がガスケット締付圧の変動より漏洩量に大きい影響を与える.
 フランジ継手の初期締付け時および運転時におけるフランジローテーションとそれに伴うガスケットの非線形挙動を解析した.内圧作用により,ガスケットの最大圧縮応力が減少するとともに外周側にシフトし,規定内圧ではガスケット内周部がフランジと分離する挙動が確認された.
結論
 高温ガスケット試験法J-EHOTを提案した.プラント運転状況を想定して,ガスケットの高温漏洩特性を明らかにした.試験法規格化までには試験結果の再現性の確認と,高温の外乱のシーケンス(除荷・負荷の幅,回数)について検討する必要がある.
 ガスケットの非線形有限要素解析では,初期締付け後に内圧が負荷されると,ガスケット内周部の圧縮応力が減少・分離する現象をシミュレートすることができた.ただし,ボルト軸力低下を再現できなかったことから,解析モデルの改良が必要である.

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
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