労働曝露推定モデルの開発と検証

文献情報

文献番号
200635014A
報告書区分
総括
研究課題名
労働曝露推定モデルの開発と検証
課題番号
H17-労働-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 誠一郎(労働安全衛生総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小堀 衛(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター)
  • 山室 堅治(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター)
  • 芹田 富美雄(労働安全衛生総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1、作業環境測定のデータから、簡便な曝露濃度推定モデルを開発する。
2、作業環境濃度と曝露濃度の関係を明らかにする。
3、数値計算モデル、流体解析モデルと開発した曝露濃度推定モデルと実測値の相互比較検討を行い、方法の特徴を明らかにし信頼性の検証を行う。
研究方法
1,曝露濃度測定結果のうち、単一の作業のみを行っていた事例のみを抽出し、有機溶剤作業の号別作業区分および揮発性評価コードおよび管理区分で分類し、それぞれのA測定の幾何平均値の平均値、Ea1の平均値、Ea1の最大値、B測定値の最大値、曝露濃度の最大値を抽出し、前年度に作成した曝露推定モデルと比較した。
2、2年間の作業環境濃度と曝露濃度の測定調査により得られたデータから、有機溶剤業務の号別区分間、換気設備の種類間、エアロゾル発生の有無間、作業環境測定の評価結果間で有意差検定を行った。
3,一様な気流を発生させたモデル実験場およびコイルにワニスを含浸させる作業場で気中有機溶剤濃度の実測値とCFD解析結果との比較を行った。
結果と考察
1、平均値と幾何平均値最大値、上限値とB測定値または曝露濃度の大きいほうを比較した結果、推定値の上限値を超える例は少なく、曝露濃度測定値の多くが推定上限値以下となった。曝露濃度に直接関連すると思われる有機溶剤の使用量(時間当たり)および単位面積当たりの使用量と曝露濃度との相関は小さく、有機溶剤の蒸気圧と曝露濃度の相関が高かった。
2、有機溶剤業務の号別区分、換気設備の種類、エアロゾル発生の有無、作業環境測定の評価結果にかかわらず、作業環境測定濃度から曝露濃度の推定範囲をA測定の幾何平均値から上側5%値又はB測定値の大きな方の値としてよいと考えられた。
3、一様な気流を発生させているプッシュプル型換気装置を使用した作業場についてCFD解析を行う場合には、層流モデル解析で行う方が適している可能性がある。溶剤濃度の実測値とCFD解析結果との比較を行い、気中有機溶剤濃度の変動傾向が一致したことを確認した。
結論
曝露濃度の値は、作業環境濃度の以下に示した範囲にあると考えられた。
A測定の幾何平均値 ≦ 曝露濃度の値 ≦ 上側5%値又はB測定値の大きな方の値
また、曝露濃度の実測値と推定値の比較でもおおよそ推定上限以下であり、昨年度作成した、曝露推定モデルは、現実をかなりよく反映していると考えられる。
CFDによる解析は、濃度うを大まかに推定することに使えるが、現実の複雑な作業場の解析にはさらに検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
-