働く人すべてに過重労働対策を含む産業保健サービスを提供するための諸条件の整備に関する研究

文献情報

文献番号
200635007A
報告書区分
総括
研究課題名
働く人すべてに過重労働対策を含む産業保健サービスを提供するための諸条件の整備に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
東 敏昭(産業医科大学 産業生態科学研究所作業病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 武藤孝司(獨協医科大学 公衆衛生学)
  • 浜 民夫(長崎大学 環境科学部)
  • 武田和夫((財)京都工場保健会 診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)中小企業における産業保健サービスのありかたを提示
(2)産業保健サービス提供機関で必要な人材育成の方法、OSHMSを土台とした質の高いサービス実施マニュアルの枠組みを提示
(3)中小企業・小規模事業場におけるコアとなるべき産業保健サービスのコアとなるべき内容と、
合理的な提供方法、必要となる具体的に経済的根拠について検討を行い、具体案を提示
研究方法
1)労働者を巡る社会経済情勢に関する調査研究
2)産業保健サービスの基本内容と対応しうる専門家育成の状況
3)企業外産業保健サービス提供機関(EAP、独立産業医)に関わる実態調査
4)企業外労働衛生機関による中小規模事業場を対象とした産業保健サービスの実態
5)わが国とオランダの産業保健サービス機関の比較研究
結果と考察
1)①高年齢者の就業を支援する仕組みの不足②外国人労働者の増加、雇用形態の多様化への対応③健康格差社会防止に必要なサービスの課題。
2)健康指標の開発、健康情報の活用による効果の評価、ICTの活用による企業内外の資源整備などが期待。
3)企業外労働衛生機関が中小企業の産業保健の担い手として大きな存在であること、業種別に行った具体的なサービスに効果あり。
4)①アウトソーシングの進行状況②企業から個人へのサービスのシフト③エビデンスに依拠して提供されるべきサービス、顧客が求めるサービス提供の必要性
5)①両国のサービスの提供内容の相違②高い対象労働者カバー率③職業関連疾患あるいは業態別の対応ガイドラインの開発に注力④産業保健サービス機関の規模(オランダで大規模)⑤高次専門家教育の格差(日本における当該機関、システムの遅れ、専門職の認証が不十分)
結論
わが国の課題としては、就労形態の多様化に伴う有効なサービスの内容の変化、産業保健サービスの企業規模・業種間の格差、これらに対応したサービス提供方法の改善がある。特に、小規模事業場、財政基盤の弱い中小企業の労働者に対する産業保健サービスの提供の充実が重要である。本研究の成果である、現在の状況からみての実効あるサービスのモデルの提案によるサービス格差の是正は、合理的なサービスへの変化を促す事例提示として価値は大きい。重要な成果である高次専門家育成の重要性については、海外との連携を含めて、専門大学院の設立などを働きかけるべき、その教育支援機関の整備を含めて、積極的に提言していく。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200635007B
報告書区分
総合
研究課題名
働く人すべてに過重労働対策を含む産業保健サービスを提供するための諸条件の整備に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
東 敏昭(産業医科大学 産業生態科学研究所作業病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 武藤孝司(獨協医科大学 公衆衛生学)
  • 浜 民夫(長崎大学 環境科学部)
  • 武田和夫((財)京都工場保健会 診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)中小企業における産業保健サービスの提示
(2)産業保健サービス提供機関で必要な人材育成の方法、OSHMSを土台とした質の高いサービス実施の枠組み提示
(3)中小企業・小規模事業場におけるコアとなる産業保健サービスの内容と、合理的な提供方法、経済的根拠について検討を行い、具体案を提示
研究方法
平成17・18年度
1)労働者を巡る社会経済情勢に関する調査研究
2)産業保健サービスの基本内容・提供方法の整理
3)労働衛生機関における産業保健業務に関わる実態調査
4)中小企業ならびに中小規模事業場を対象とした産業保健サービスの実態
5)わが国とオランダの企業外労働衛生機関の比較研究

結果と考察
1)(1)高年齢者の就業を支援する仕組み(2)雇用形態の多様化への対応(3)健康格差社会防止に必要なサービスを整理。
2)中小規模の事業場では、OSHMSへの取り組みはこれからであり健康問題の専門家による実効ある支援の充実が必要。
3)中小企業において必要とされるサービスの時間的、経済的負担の状況を把握し、コアサービスの内容を提示。
4)(1)産業保健サービスのアウトソーシング機関の整備と質の確保(2)サービスの企業単位から個人単位へのシフト(3)エビデンスに依拠して提供されるべきサービス内容を定める(4)顧客が求めるものを常に見直すことが必要
5)オランダなどでは、(1)全ての労働者に産業保健サービス(2)職業との関連において、疾病評価、管理を実施、(3)産業保健サービス機関の規模が大規模、(4)各種の職業関連疾患あるいは業態別の対応ガイドラインの開発に注力、(5)一方、日本では高次専門家教育に課題がある。
結論
わが国の直面する課題としては、就労形態の多様化に伴う有効なサービスの内容の変化、産業保健サービスの企業規模・業種間の格差、これらに対応したサービス提供方法の改善がある。特に、労働安全衛生法上の産業医選任の義務がない小規模事業場、財政基盤の弱い中小企業の労働者に対する産業保健サービスの提供の充実では企業規模による規定から一人当たりのサービス時間による規定への変換がサービス格差の是正にとって必要である。本研究の成果は現在の状況からみての実効あるサービスのモデルの提案である。変化する労働態様への企業外労働衛生機関による具体的対策サービスの検討を行った本研究は、労働の場ならびに社会のリスクマネジメントの観点からも意義があるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200635007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)事業所規模に依拠する基本概念から労働者個人の必要時間を基礎とした考え方への転換、過重労働・メンタルストレス対策、高年齢化、外国人労働者の増加対策、現在の状況からみての実効あるサービスのモデルの提案による、サービス格差の是正は、合理的なサービスへの変化を促す事例提示として価値は大きかった。
(2)変化する労働態様への企業外労働衛生機関による具体的対策サービスの運営上のバランスシートを踏まえた研究はこれまで例がなく、労働の場ならびに社会のリスクマネジメントの観点からも検証が必要である。
臨床的観点からの成果
該当する成果なし
ガイドライン等の開発
今回ガイドライン等の開発は行っていない。
その他行政的観点からの成果
成果は学術誌への発表の他、成果のHPへの掲載、実際のサービスへの応用による実証を実施。
また、重要な成果である高次専門家育成の重要性については、海外との連携を含めて、専門大学院の設立などを働きかけるべき、その教育支援機関の整備を含めて、積極的に提言していく予定にしている。
その他のインパクト
2007年2月3日 女性と仕事の未来館にて公開シンポジウムを開催
「働く人すべてに過重労働対策を含む産業保健サービスを提供するための諸条件の整備に関する研究」

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
東 敏昭
メンタルヘルス対策の担い手と実効ある対策の評価
産業精神保健 , 14 (4) , 267-271  (2006)
原著論文2
東 敏昭
Study on a Model for Future Occup. Health- Proposals for an Occup.Health Service Model in Japan
Industrial Health in printing  (2006)
原著論文3
東 敏昭
これからの産業保健、産業医に期待される職務
日本医事新報 , 4275  (2006)
原著論文4
浜 民夫、東 敏昭
労働者50人未満事業場の産業保健活動に関する実態調査結果及び提言
長崎大学環境科学部総合環境研究 , 8 (1)  (2006)
原著論文5
浜 民夫
労働安全対策の費用対効果分析について
平成17年度労働安全研修会・労働衛生研修会  (2006)
原著論文6
武藤孝司
産業保健活動の経済的評価
平成17年度労働安全研修会・労働衛生研修会  (2006)
原著論文7
東 敏昭、乾 修然
Future challenges of occupational health services(OHS) in a changing working world
13th International Congress on Occupational Health Services  (2006)
原著論文8
東 敏昭
The present topics in working life and trends of occupational health services in Japan
Proceedings of the 8th NIOSH conference and exhibition on Occupational Safety and Health , 22-30  (2005)
原著論文9
森口次郎
Effects of Web-System and Diet-Supporting Foods on Body Weight Reduction
The 26rh UOEH and the 7th IIES International Symposium  (2006)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-