長時間労働及び睡眠等の関連要因と発生疾患との総合調査による効果的な過重労働対策の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200635005A
報告書区分
総括
研究課題名
長時間労働及び睡眠等の関連要因と発生疾患との総合調査による効果的な過重労働対策の確立に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 正知(産業医科大学産業生態科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 筒井 隆夫(産業医科大学産業生態科学研究所)
  • 寶珠山 務(産業医科大学産業生態科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
長時間労働、睡眠時間の短縮、疲労の健康障害に関係する国内外の研究、判例、評価方法、改善策、社会制度に関する知見を収集、整理し、産業保健専門職等が利用できる電子データベース(過重労働対策ナビ、http://www.oshdb.jp)を構築し、政策提言をまとめること。
研究方法
3年計画の2年度目として、6班で13の研究を実施した。判例については、過重労働、安全配慮義務、健康障害、産業医(健康管理医)をキーワードに損害賠償請求訴訟、労災(公災)認定訴訟、再審査請求を調査して、業務内容、健康障害、因果関係、過失相殺割合等を整理した。疲労については、自覚的評価、他覚的評価、生理的評価(神経や内分泌の機能)に関する文献を調査した。評価方法や改善策については、労働者4,239人を対象とする睡眠を確保するアクションチェックリストによる介入研究、及び労働者2,434人を対象とするVital Exhaustion(VE)の問診票を利用した断面調査をした。社会制度については、日本産業衛生学会と地域産業保健センターの医師907人を対象に平成18年に施行された面接指導の実施状況と健康情報の取扱い方の調査、及び15か国の有識者の面接調査を実施した。「過重労働対策ナビ」の利用状況はadvanced website analysis v6.0により分析した。
結果と考察
研究及び判例の調査では、多彩な情報を収集して整理し、一部を論文発表した。睡眠確保の介入研究では、6ヶ月後の睡眠時間に有意差を認めなかったが、通勤時間と時間外労働は睡眠時間に対する交互作用を認めた。VEの回答は、残業時間および睡眠時間と有意に相関した。実態調査では、面談指導を実施していた71%の事業場のうち管理職や裁量労働制労働者についても労働時間を把握していたのはそれぞれ36%と22%であった。面接指導に基づいて紹介した事例には抑うつ状態が最も多かった。産業医が非常勤の場合は衛生管理者による健康情報の取扱いが期待されていた。海外では、韓国と台湾を除き過重労働による健康障害の認定基準がなかった。「過重労働対策ナビ」の利用者数は徐々に増加し、「過重労働」や「過重労働対策」で検索すれば多くの検索エンジンで1位か2位にヒットした。
結論
本年度は、長時間労働による健康障害を防止するための研究、調査法、改善技術、国内外の実態を調査して、「過重労働対策ナビ」に収載する知見を更新した。また、精神的ストレスの質問票のガイドライン、疲労の質問票のフローチャート、面接指導体制を整備するためのアクションチェックリストとヒント集をそれぞれ開発した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
-