ALS(筋萎縮性側索硬化症)およびALS以外の療養患者・障害者における、在宅医療の療養環境整備に関する研究

文献情報

文献番号
200634129A
報告書区分
総括
研究課題名
ALS(筋萎縮性側索硬化症)およびALS以外の療養患者・障害者における、在宅医療の療養環境整備に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-050
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川村 佐和子(青森県立保健大学健康科学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 上泉 和子(青森県立保健大学看護管理学)
  • 小倉 朗子(東京都神経科学総合研究所難病ケア看護)
  • 平林 勝政(國學院大學法科大学院)
  • 角野 文彦(東近江保健所)
  • 佐藤 美穂子(財団法人日本訪問看護振興財団)
  • 天本 宏(社団法人日本医師会)
  • 小西 かおる(昭和大学)
  • 小川 忍(社団法人日本看護協会)
  • 上野 桂子(社団法人全国訪問看護事業協会)
  • 村田 昌子(茨城県保健福祉部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ALS及びALS以外の在宅療養患者・障害者の療養環境ならびに「家族以外の者」による「たんの吸引」の実態について調査し、「たんの吸引」に関連する通知(医政発第0717001号、医政発第0324006号)発令後の療養環境の充足状況や課題、療養の安全性に関して検討した。
研究方法
調査内容は、難病対策事業の実施状況や吸引問題への取り組み等と、ALSおよびALS以外の療養患者・障害者における療養環境整備の状況と「家族以外の者」による「たんの吸引」の実態(療養者実態調査)であり、全国保健所等684箇所に調査票を送付し、保健所等の保健師に資料収集を依頼した。
結果と考察
「難病対策事業の実施状況に関する調査」では、405機関(回収率59.2%)から回答、「療養者実態調査」については、同326機関からの返送が得られ、1331名の療養実態が把握され、下記の事柄が明らかになった。
1.「たんの吸引」に他者の介助を要する療養患者・障害者は1331名で、このうち、ALS療養者は837名(うち749名、83.0%が人工呼吸器装着)、ALS以外の療養患者・障害者(ALS以外の神経難病、小児難病、重度心身障害、進行性筋ジストロフィー等)は、488名(うち147名、30.1%が人工呼吸器装着)、「家族以外の者」による「たんの吸引」を実施していたのは486例(36.5%)であった。
2.人工呼吸器装着ALS療養者における一定の条件の充足状況では、療養環境の管理71.6%(H15 83.9%)、適切な医学的管理98.6%(H15 100%)、家族以外の者に対する教育91.5%(H15 70.0%)、患者との関係(同意書有)80.1%(47.1%)、医師および看護職員との連携による適切な痰の吸引の実施 27.3% (H15 21.7%)、緊急時の連絡支援体制の確保 95.3% (H15 92.9%)であり、吸引者付添時に医療者への緊急連絡の必要があったのは16.3%であった。以上のことから「たんの吸引」を必要とする療養患者・障害者の負担軽減を図るために、「家族以外のものによるたんの吸引」の安全性の向上と、医療体制、医師・看護職員と「家族以外の者」との連携強化、物品等の整備の重要性が明らかになった。
結論
たんの吸引を必要とする療養者1330例の療養実態を調査し、療養環境の安全性等に課題のあることが指摘され、医療体制の整備、「家族以外のものによるたんの吸引」の安全性の向上のための医師・看護職員と「家族以外の者」との連携強化、物品等の準備に関して再度整備することの必要性が指摘された。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634129C