歯科技工士の資質向上のための実技教育のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200634126A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科技工士の資質向上のための実技教育のあり方に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-047
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
末瀬 一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
研究分担者(所属機関)
  • 二川浩樹(広島大学歯学部口腔保健学科)
  • 尾崎順男(日本歯科大学東京短期大学)
  • 福間正泰(大阪歯科学院専門学校)
  • 杉上圭三(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
  • 杉田順弘(東洋医療専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科医療技術者を養成する歯科技工士教育において実技教育は重要であるが、資格試験によって全面的に影響を受けることは本来の教育目的から逸脱するものである。そこで現在、歯科技工士養成機関で実施されている実技教育の実態を調査するとともに、就業年限の異なる養成機関の学生について実地試験を実施、評価し、今後の実技教育のあり方について検討した。
研究方法
歯科技工士養成機関において実技教育の内容と時間数、資格試験のための実技教育に使用している教材ならびに時間数などについてアンケート調査を実施するとともに、技能評価を行うための実技課題と評価法について検討し、就業年限の異なる養成機関の学生100名について試作した試験用模型を用いて実地試験を行い、評価者による概略的評価ならびに三次元シミュレーションシステムを用いた計測データから評価を行った。さらに、就業年限の異なる養成機関の今後の歯科技工士教育における実技教育のあり方について検討を加えた。
結果と考察
資格試験は全国統一試験でないために、実地試験に供される材料、機器は実施地域によって大きく異なり、それに伴って実技教育で用いられている教育器材も養成機関において異なっている。就業年限の異なる100名の学生を対象に全部鋳造冠蝋形成および人工歯排列・歯肉形成の模擬的実地試験を実施したところ、5名の評価者間のばらつきはきわめて小さく、両課題の評価結果は極めて相関性が高かった。さらに3次元計測による評価成績と評価者による概略的評価結果について、ニューラルネットワークを用いた非線形解析では予測値の誤差が両課題においてきわめて一致度が高かった。短期大学や三年制専門学校は資格試験のための実技教育に加えて独自性のあるカリキュラムが実施されている。さらに四年制大学においては生体医工学分野まで視野に入れた幅広い教育が実践されている。いずれの就業年限にあっても医療人としての人間性教育や意識付け、即戦力への期待などから[臨床実習]の導入は必要である。
結論
歯科技工士教育における実技教育のウェートは大きく、資格試験のための教育が中心となり,資格試験の出題課題に合わせた教育器材を使用し、地域によって大きく異なる。模擬的に実施した実地試験の評価においても、極めて精度の高い成績評価が可能である。したがって、資格試験の全国統一化は公平性、効率性の高い試験実施が可能である。また、臨床実習を含めた就業年限の延長を図ることによって、歯科医療人の一員として国民の健康増進に寄与できる歯科技工士の養成になお一層の期待ができる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634126C