診療ガイドラインによる診療内容確認に関する研究

文献情報

文献番号
200634110A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインによる診療内容確認に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-031
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小野木 雄三(東京大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、診療ガイドラインに基づいた判断支援システムを構築することにより、診療内容を確認することを目標とする。その最初のステップとして、文章で記述された診療ガイドラインを実際に電子化・構造化する作業を通じて、そこにどのような問題点があるのかを解析する。また電子化されたガイドラインを診療情報システムで現実に利用するためには、ガイドラインの判断に必要なデータが診療情報システムに存在しなくてはならない。そこでこれら両者のマッチング調査を行い、どの程度の可用性があるのか、そして存在していない情報がある場合には既存のデータに補完・代替・知的処理等の変換を行うことによりデータが取得可能となる場合がどの程度あるのか、等の検討を行う。
研究方法
まず文章で記述された診療ガイドラインの形式を調査する。次にガイドラインの文章から曖昧な要素を取り除き、フローチャートとして書き直した後、これを電子的構造化表現としてGLIFに準拠したモデルに変換する。この電子的構造化表現は、患者状態ステップ・診療行為実行ステップ・判断ステップ・判断条件の4つを基本要素として、これらを線で結ぶことによってフローチャートの内容を表現する。この作業の過程で生じた問題点を検討する。次に電子的診療ガイドラインの判断条件で使われているデータ項目を取りだし、それらが東京大学医学部附属病院の外来診療システムから直接取得できるか否か、取得できない場合は何らかの変換により取得できるか、を検討する。
結果と考察
診療ガイドラインの記述形式は統一されておらず、リサーチクエスチョンは提示されていても、推奨手順の有無やフローチャートの有無が認められ、統一が望まれる。診療ガイドラインの文章には、表記(同義語)・曖昧な概念(「若年者」など)・論理性(「または」の扱い)などに曖昧性が存在したほか、章による記述の違いが認められた。統制用語集の整備が望まれる。またフローチャートで表現しにくいものとして、推奨の優先順位とループの表現があり、改善が必要である。判断に必要なデータを診療情報システムから直接取得することができたものは1割程度であったが、変換により8割程度が取得できた。判断支援の場面を適切に設定することで現実的な解決が見込まれる。
結論
診療ガイドラインの電子的構造化表現への変換に伴う問題点の解析と、実稼働性に関する検討を行い、判断支援システムをより効率的に構築する示唆を得た。

公開日・更新日

公開日
2007-04-04
更新日
-