利用者の視点に立った終末期医療と在宅医療のあり方とその普及に関する研究

文献情報

文献番号
200634082A
報告書区分
総括
研究課題名
利用者の視点に立った終末期医療と在宅医療のあり方とその普及に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
濃沼 信夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、増大する社会的な需要に応え、利用者の安心・信頼を確保する終末期医療と在宅医療のあり方とその普及・促進のための戦略について政策提言を行うことを目的とする。すなわち、終末期医療と在宅医療に係る社会の要請の内容の明確化、普及の阻害要因の把握、緩和ケア病棟以外での終末期医療のあり方の検討、がんおよびがん以外の緊急性の高い病態の終末期医療と在宅医療のあり方の検討、終末期医療と在宅医療推進の意義についての社会経済面からの検討などを行うものである。
研究方法
平成18年の診療報酬改定で創設された在宅療養支援診療所について、全国の9,314施設中2,141施設を抽出し、在宅で療養するがん末期患者に対し、終末期医療のあり方についての意識や、FACIT-Spによる療養継続下のQOLの変化等についての調査を実施した。すなわち、在宅支援診療所長を対象とする電話調査を行うとともに、担当医を通じて調査の趣旨を説明し同意の得られた15歳以上の在宅終末期がん患者を対象とする調査を実施した。QOL等は初回から原則2週間ごとに調査を行い、無記名による郵送回答とした。
結果と考察
調査時に在宅終末期がん患者の診療を行っている在宅支援診療所は3割、行っていない施設は7割である。初回調査の結果(64名:男47%、女53%、平均年齢76.6歳、がんの診断は平均3年前)をみると、大半が今後も自宅療養を希望している。充実すべきサービスには訪問診療・往診と訪問看護が多く挙げられている。QOLの変化について初回と2回目以降の回答を比較すると、痛みについて、全くあてはまらないが26%から19%に減少している。在宅における終末期医療の充実について、「痛みなどの症状を緩和する技術」を重視する回答が9割にのぼる。
結論
在宅で終末期を過ごし,在宅で最後を迎えたいと希望する利用者のニーズは、人口構造の高齢化、罹患率の増加に伴うがん患者数の増大に比例して今後大きくなると考えられる。今後の在宅終末期医療の充実には、疼痛コントロールをはじめとする緩和ケアの普及が必要となる。在宅療養支援診療所を中心とした在宅終末期医療システムの構築は、居宅における安寧の看取りを実現する上で極めて重要である。在宅療養支援診療所がその期待される機能を発揮するためには、利用者のニーズ対応するマンパワーの育成と確保が重要かつ緊急な政策課題と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
-