無床診療所等における医療安全管理体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
200634081A
報告書区分
総括
研究課題名
無床診療所等における医療安全管理体制構築に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
石川 雅彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平尾 智広(香川大学医学部医療管理学講座)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全体制の確立のための取り組みは、これまで、病院や有床診療所に対するものが主体であったが、今後、この体制を盤石なものにするためには、無床診療所等(一般診療所・歯科診療所・助産所)における安全管理体制の構築が必須である。
本研究では、無床診療所等の安全管理の現状を把握して、これらの医療施設に必須と思われる医療安全の課題(コンピテンシー)を明らかにすることを目的とした。
研究方法
無床診療所等の施設訪問や関連団体でのヒヤリングによる実態調査を行った。また、コンピテンシーに基づく医療安全の課題に関して、一般診療所(無床)を対象に、実施状況と必要性に関するアンケート調査を実施した。

結果と考察
1) 一般診療所(無床)における医療安全
訪問した一般診療所(無床)では、既に安全管理指針の策定、医療安全管理対策委員会規程の作成、インシデント・アクシデント報告の検討会が行われ、定期的な活動を実施している施設があることと、診療所で実施する上での課題も明らかとなった。
2)歯科診療所における医療安全
 訪問した歯科医療施設では、安全管理指針の策定、医療安全管理委員会規定の作成、ならびに積極的な職員教育の実施、緊急時の医療連携の重要性が掲げられていた。そして、施設内の安全文化の醸成やシステムエラーの概念、および管理者の意識が課題とのことであった。
3)助産所における医療安全
訪問した助産所では、医療安全上の最重要の課題は医療連携とのことであり、今後の課題として個人単位での対応は困難なため、地域の医療システムの中で安全な医療を提供できる体制構築が必要とのとの印象を受けた。
4)医療安全におけるコンピテンシーのアンケート調査結果
調査した一般診療所(無床)においては、ほぼ全体にわたってコンピテンシーの内容が既に実施されていた。しかし、医療安全における患者参加やIT利用、職員の自己管理に関する体制では未整備または不十分であることが判明した。また、これらの項目の必要性に関しては、ほぼ全ての項目の必要性が確認された。
結論
無床診療所等の医療安全管理体制の調査では、一部の医療機関において独自の工夫が既に行われており、また、各種関連団体でも迅速な対応がみられていた。今後の課題として、各医療機関の取り組みのレベルの統一を含めた、医療安全の質向上の検討と、より詳細なコンピテンシーに関する実態調査・検討が必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
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