胃潰瘍診療ガイドラインの適用と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200634071A
報告書区分
総括
研究課題名
胃潰瘍診療ガイドラインの適用と評価に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-040
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 健太郎(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 浅香 正博(北海道大学大学院医学研究科消化器内科学)
  • 井口 秀人(神戸大学医学国際交流センター難治性疾患病態解析分野)
  • 上村 直実(国立国際医療センター内視鏡部)
  • 高木 敦司(東海大学医学部内科学系総合内科学)
  • 高橋 信一(杏林大学医学部第3内科)
  • 千葉 勉(京都大学大学院医学研究科消化器病態学)
  • 春間 賢(川崎医科大学内科学)
  • 平石 秀幸(獨協医科大学消化器内科学)
  • 藤岡 利生(大分大学医学部総合診療部)
  • 水野 元夫(広島市民病院内視鏡科)
  • 溝上 裕士(東京医科大学内科学第5講座)
  • 森實 敏夫(神奈川歯科大学内科)
  • 芳野 純治(藤田保健衛生大学第2病院内科)
  • 佐藤 貴一(自治医科大学内科学講座消化器内科学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 われわれが2003年に発表した「胃潰瘍診療ガイドライン」が、日常診療の場でどの程度理解され、実行されているのか、研究計画2年目の今回は、アンケート調査数を増加し、現行の胃潰瘍診療ガイドラインの実態調査の精度を向上させるとともに、ガイドライン実施上の問題点や臨床対応の実態把握のための第2回目のアンケート調査を行い、その結果を胃潰瘍診療ガイドラインの改定作業および普及のための戦略に生かすことを目的とした。
研究方法
 2回の全体会議を通して、データベースに基づいて各担当責任者から提出された診療指針について合議し、改定ガイドラインの基本方針を検討し個々の診療指針のエビデンスレベルや推奨レベルの統一性、診療指針間の整合性等に留意し、統一性のとれたガイドラインとなるよう努力した。胃潰瘍診療ガイドラインの実態調査については昨年度のアンケート数が少なく、施設間での偏りが大きかったため、サンプル数の増加に努めた。また、現行のガイドラインに記載されている診療指針の実行に障害となっている保険診療の制約に関する認知度とそれに対する対応を中心とした2回目のアンケート調査を実施した。
結果と考察
 第1回目のアンケートは昨年度と合わせて649件、回答者は消化器内科が約40%、総合内科を入れると過半数が内科医であり、80%以上が病床数300以上の規模の大きい研修指定病院の勤務医であったが、胃潰瘍診療ガイドラインの出版を知っているのは約60%、日本医療機能評価機構のホームページ公開を知っているのは約20%とガイドラインに対する一般的な認知度は必ずしも十分ではないことが伺われた。2回目のアンケート(N=630)の結果は1回目よりも認知度が低かったが、これは消化器内科医の回答者に占める割合16&低くなっていることと関連するものと考えられる。胃潰瘍診療ガイドラインの改定作業はエビデンスの検討、アンケートの結果を踏まえた上で順調に進められた。
結論
第1、第2回目のアンケートの集計結果を見ると、胃潰瘍診療ガイドラインが出版されていることを知っているのは医療従事者(医師)の間でも、まだまだ不充分であるが、ガイドラインの発表によって診療内容が変化した人の割合は60&を超えており、ガイドラインがある程度診療行動に変化をもたらしていることが明らかとなった。胃潰瘍診療ガイドラインの改定作業は順調に行われ、本年4月中旬には出版、発売の予定である。今後はこの「改定ガイドライン」を医療従事者ならびに患者、一般人へと広く普及していくことが課題である。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200634071B
報告書区分
総合
研究課題名
胃潰瘍診療ガイドラインの適用と評価に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-040
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 健太郎(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 浅香 正博(北海道大学大学院医学研究科消化器内科学)
  • 井口 秀人(神戸大学医学医療国際交流センター難治性疾患病態解析分野)
  • 上村 直実(国立国際医療センター内視鏡部)
  • 太田 慎一(埼玉医科大学医学部消化器・肝臓内科)
  • 高木 敦司(東海大学医学部内科学系総合内科)
  • 高橋 信一(杏林大学医学部第3内科)
  • 千葉 勉(京都大学大学院医学研究科消化器内科)
  • 春間 賢(川崎医科大学内科学食道・胃腸科)
  • 平石 秀幸(独協医科大学消化器内科)
  • 藤岡 利生(大分大学医学部総合診療部)
  • 水野 元夫(広島市民病院内視鏡科)
  • 溝上 裕士(東京医科大学内科学第5講座)
  • 森實 敏夫(神奈川歯科大学内科)
  • 芳野 純治(藤田保健衛生大学第2病院消化器内科)
  • 佐藤 貴一(自治医科大学医学部内科学講座消化器内科学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は平成12、13年度厚生科研費助成により作成された胃潰瘍診療ガイドラインが現実の日常診療の場でどの程度理解され、実行されているかまた、実際に使用された場合の問題点や阻害因子を明確にするための実態調査を行うとともに、現行のガイドライン策定以降のエビデンスおよび前回遺漏のあった文献について再検索を行い、より完全なエビデンスデータベースを構築し、実態調査の結果も踏まえてガイドラインの改定を行うことにある。
研究方法
本研究は現行のガイドライン作成に関わった研究者と第一線病院勤務医で研究班を組織し、初年度の班会議で現行の胃潰瘍診療ガイドラインの問題点、補足すべき事項、改定ガイドライン作成基本方針、文献採用基準、アンケート調査の内容について検討し、決定したアンケートを各施設に依頼し、胃潰瘍診療ガイドラインの実態調査を行うとともに、改定のための文献の検索、選択、収集エビデンスの評価を行い2年目の班会議で各担当者から提出された診療指針案を検討合議に至った。2年目も引き続きアンケートによる実態調査を行った。また、保険診療上の問題点を中心とした2回目のアンケートも行った。
結果と考察
エビデンスデータベースの構築は、2005年までの文献検索を行い得られた文献を採用基準に従って採択評価し、フォーマットに従ってデータベース化した。実態調査のためのアンケートは1回目649件、2回目630件の回答が得られた。1回目の回答者は過半数が内科医で占められ、しかも80%が病床数300以上の規模の大きい研修指定病院の勤務医であったが、ガイドラインの出版、ホームページ上の公開を知っている割合は60%,20%とガイドラインを周知・啓発する活動が十分ではないことが伺われた。しかし、「診療ガイドラインの発表によって診療内容が変化した」と答えた人の割合は60%を超えており、ある程度実際の診療行動に変化をもたらしていることが明らかになった。
結論
データベース化したエビデンスと2回のアンケートの集計結果を踏まえて、ガイドラインの改定作業が行われた。利用率の高い項目については分かりやすく、国内外のエビデンスの峻別と保険適用の有無を明記して利用者の便宜を図った。アンケートで要望のあった新たな項目も設定した。また従来患者用として付録に掲載した文書は記載内容を更新し、胃潰瘍患者だけでなく、国民すべてが胃潰瘍に関する基本的な知識を共有してほしいと考え「患者用」を「一般用」と改めた。この改定ガイドラインは2007年4月中旬に出版、発売の予定である。今後は書籍の他、電子媒体、講演等を通じて普及に努めて行きたい。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634071C