安全な療養環境を構築するための物的対策に関する研究

文献情報

文献番号
200634060A
報告書区分
総括
研究課題名
安全な療養環境を構築するための物的対策に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
筧 淳夫(国立保健医療科学院施設科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 上泉 和子(青森県立保健大学健康科学部)
  • 横井 郁子(首都大学東京健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,急性期病院の病棟における物的環境に着目し,医療安全における物的環境の質の問題を検討することにより,実践的に転倒・転落に対する対策を検討することを目的としている.
研究方法
研究課題1では,具体的には転倒・転落事故事例のレポート分析などから、患者の移動に関わる物品─車いす・点滴スタンド─について、急性期病院を対象とした転倒への対策として各物品に求められる性能を検討した。
研究課題2では,物的対策の有効な実践に向けて看護師が転倒・転落防止に関連する患者の動作能力をスタッフ看護師などに伝え,共有する手法についてピクトグラムを使って検討した。
研究課題3では,スタッフ看護職による患者把握と病棟管理者によるスタッフ看護師把握の概念について整理し,その上で内容と量,および対応や事故との関係について明らかにするために,病棟で勤務する看護職を対象にヒアリング調査を行った。
結果と考察
研究課題1では患者像別に使用する車いすおよび点滴スタンドに求められる性能を抽出することができた。
研究課題2では,ピクトグラムで患者のADL情報を表示することに対する,患者および看護職の視点からの問題点を整理することができ,急性期病院における支援を前提としたADL情報の共有方法の検討の必要性が示唆された.
研究課題3では,スタッフ看護職による患者把握と病棟管理者によるスタッフ看護師把握の概念について整理を行い,スタッフ看護職の患者把握の内容は、112ラベル、8カテゴリーを構成しており、管理者の病棟運営のための把握内容は病棟内運営と組織全体の状況の二つに分けて整理できた.
結論
急性期の医療施設における主として転倒・転落を対象とした医療安全の課題に対して,物的な対策をたてることでより安全な環境を提供するための条件をいくつか整理することができた.患者のまわりの環境を整備すること,患者の情報を共有すること,患者を把握するために適切な規模設定をすることなど,医療安全を確保するためには施設環境を整備することがその第一歩であると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200634060B
報告書区分
総合
研究課題名
安全な療養環境を構築するための物的対策に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
筧 淳夫(国立保健医療科学院施設科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 上泉 和子(青森県立保健大学健康科学部)
  • 横井 郁子(首都大学東京健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,急性期病院の病棟における物的環境に着目し,医療安全における物的環境の質の問題を検討することにより,実践的に転倒・転落に対する対策を検討することを目的としており,平成17・18年度の2年間において3つの分担研究班において研究を実施した.
研究方法
研究課題1では具体的な転倒・転落事故事例のレポート分析と看護師へのアンケート調査から,入院生活に関わる身の回りの療養具や介助用具に求められる転倒・転落対策上必要な性能を検討した。
研究課題2では看護師による環境調整に対する認識および実践状況について調べるためにアンケート調査を実施するとともに,看護師が患者の動作能力をスタッフ看護師などに伝え,共有する手法についてピクトグラムを使って検討した。
研究課題3ではスタッフ看護職による患者把握と病棟管理者によるスタッフ看護師把握の概念について整理し,その上で内容と量,および対応や事故との関係について明らかにするために,病棟で勤務する看護職を対象にヒアリング調査を行った。
結果と考察
研究課題1では離床センサー,床敷きセンサー,衝撃吸収マット,電動ベッド,ベッド柵,介助バーなどベッドに設置する手すり,ナースコール,車いすおよび点滴スタンドに求められる性能を抽出することができた。
研究課題2では物的な転倒・転落対策を導入するためには対象別,内容別などいくつかのパターンが必要であることが示唆されるとともに,ピクトグラムで患者のADL情報を表示することに対する,患者および看護職の視点からの問題点を整理することができ,急性期病院における支援を前提としたADL情報の共有方法の検討の必要性が示唆された.
研究課題3では看護職による把握の概念について整理を行い,スタッフ看護職による患者把握の内容は、137 ラベル、8カテゴリーを構成しており、管理者による病棟運営のための把握内容は病棟内運営と組織全体の状況の二つに分けて整理できた.
結論
急性期の医療施設における主として転倒・転落を対象とした医療安全の課題に対して,物的な対策をたてることでより安全な環境を提供するための条件をいくつか整理することができた.患者のまわりの環境を整備すること,看護師への教育に関すること,患者の情報を共有すること,患者を把握するために適切な規模設定をすることなど,医療安全を確保するためには施設環境を整備することがその第一歩であると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634060C