電子カルテシステム等の導入による医療の安全性と質の改善の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200634058A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテシステム等の導入による医療の安全性と質の改善の評価に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-027
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
林 同文(東京大学大学院医学系研究科・健康医科学創造講座)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 良三(東京大学医学部附属病院・循環器内科)
  • 眞鍋 一郎(東京大学大学院医学系研究科・医療ナノテクノロジー人材養成ユニット)
  • 興梠 貴英(東京大学大学院医学系研究科・健康医科学創造講座)
  • 岡田 吉弘(東京大学大学院医学系研究科・健康医科学創造講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全の向上のためには薬剤の副作用をできる限り減らす必要がある。特に薬剤間の相互作用による副作用を防止することが高齢化と共にますます重要となっている。そのため間違いが起こらないようなシステムを構築してミスを起こさないよう支援すべきである。また、医療の質の向上のためには文献的証拠に基づいたEBMの実践が重要である。しかし、現在約1600万件あるPubmedからキーワードのみを用いて目的の文献を検索してくることは困難であり、機械処理により自動的に知見を抽出できるよう支援すべきである。本年度の研究においては上記課題に対し、テキストマイニング技術、連想検索技術を用いて関連情報の抽出、システムの実装検討を行うことを目的とした。
研究方法
薬剤相互作用の情報抽出は薬剤添付文書データを電子的な形で取得し、そこから相互作用情報を記載している部分を抽出した。元データは予めテキストの整形処理を行い相互作用情報を抽出した。さらに検索システムをNグラム方式で実装する検討を行った。Pubmedからの自動文献情報抽出のためにはまず連想検索システムの構築を行った。さらに臨床試験に関連すると思われる文献を一定の規則で抽出し、それらを対象に臨床医が編集した教師データを元に連想検索システムを用いて自動分類を行った。
結果と考察
薬剤相互作用の抽出により、相互作用に関する有用な情報を得ることができ、また検索方法の実装について検討を行ったところ、曖昧な情報しかなくとも一定の結果が得られると予想された。連想検索システムを用いた循環器分野大規模臨床試験集の自動分類の結果、虚血性心疾患以外についてはほぼ人間が目で見て納得できる結果であった。虚血性心疾患については、細分類を行った上で再度抽出を行ったところ、よりよい結果が得られた。こうして連想検索システムを用いた文書の自動分類が有効であることを示すことができた。
結論
今年度検討した薬剤の相互作用情報の抽出から、薬剤添付文書のフォーマットの整備が必要であることが示唆された。また副作用情報の収集システムの整備も必要と思われる。また、今後は実際に検索を行うことのできるシステムの実装を行う予定である。連想検索システムを用いた大規模臨床試験集の自動分類の結果からは機械による自動分類に一定の有用性があるということが示唆され、今後はさらにシステムの改良を行い、より精度の高い自動分類を目指す予定である。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-