重粒子線治療等新技術の医療応用に係る放射線防護のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200634041A
報告書区分
総括
研究課題名
重粒子線治療等新技術の医療応用に係る放射線防護のあり方に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 博彦(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 金井 達明(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 西澤 かな枝(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 上蓑 義朋(理化学研究所仁科加速器研究センター )
  • 松藤 成弘(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 赤羽 恵一(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
陽子線・重粒子線(以下重粒子線等という)を使用した放射線治療は、新しい治療技術として良好な治療成績を示しており、今後の普及が予想される。現状では重粒子線等の施設にかかる特別な規制はなく、通常の加速器施設と同様な安全管理がなされている。そこで、一般的な医療としての安全性確保のため、従来と異なる規制の必要性の検討を行う。
研究方法
重粒子線等の治療に際し作業従事者の被ばく線量を評価するため、本班研究内に測定ワーキンググループを設置し、測定の共通プロトコルを策定した。このプロトコルに基づき、国内の4施設で測定を行った。粒子線治療施設で使用されている治療機器および模擬患者の放射化を測定し、治療施設における防護の観点から評価した。
海外の主な重粒子線等治療施設(ドイツ、スイス、米国、南アフリカ)を訪問し、施設を見学した。また、管理担当者等から防護関連規制法令及び防護体制について詳細を聞き、実情を把握した。
結果と考察
重粒子線等治療では、照射中はインタ-ロック装置によって照射室に患者以外は立ち入ることができないため、医療従事者、患者家族などが被ばくする主な原因は、照射重粒子線等と、機器や患者を構成する原子核との核反応によって生成される誘導放射能が、照射終了後も残留することによる。この残留放射能からの放射線の強度を測定し、最も被ばくする可能性の高い診療放射線技師について、線量の実質的な上限値を評価した。被ばくや環境への影響は現行の規制基準を十分満足していた。
国外3施設の粒子線及び陽子線治療施設の防護体制に関する情報をまとめ、共通の防護の基本的考え方と、施設固有の管理体制を把握した。重粒子線等に対する特別な規制は設けられておらず、高エネルギー医療電子加速器に対する規制が用いられていた。
結論
重粒子線等治療施設における防護のあり方に関し、諸外国の実態調査と国内施設の測定実験結果に基づき検討を行った。海外の施設では、通常の加速器施設と同じ規制による防護がなされていた。また、国内の重粒子線等治療施設において、治療装置及び患者の放射化について実験を行った結果、被ばくや環境への影響は現行の規制基準を十分満足していた。これらの検討結果から、重粒子線等治療施設における防護は、既存の規制で対応できていると結論付けられる。
これらの検討結果から、重粒子線等治療施設における防護は既存の規制で対応できていると結論付けられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
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