「根拠に基づく診療ガイドライン」の適切な作成・利用・普及に向けた基盤整備に関する研究:患者・医療消費者の参加推進に向けて

文献情報

文献番号
200634028A
報告書区分
総括
研究課題名
「根拠に基づく診療ガイドライン」の適切な作成・利用・普及に向けた基盤整備に関する研究:患者・医療消費者の参加推進に向けて
課題番号
H16-医療-一般-031
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 篠原 幸人(国家公務員共済組合連合会 立川病院)
  • 松下 隆(帝京大学)
  • 吉田 雅博(帝京大学医学部)
  • 稲葉 一人(科学技術文明研究所)
  • 木内 貴弘(東京大学大学院医学系研究科)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 野村 英樹(金沢大学医学部附属病院)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院)
  • 水嶋 春朔(国立保健医療科学院)
  • 森川 馨(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 今中 雄一(京都大学大学院医学研究科)
  • 杉森 裕樹(聖マリアンナ医科大学)
  • 山崎 茂明(愛知淑徳大学文学部)
  • 三木 健二(大阪国際大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者・介護者の視点でも診療ガイドラインが適切に作成、利用され、そして普及していくための環境整備を目的とする。
研究方法
次の3本柱を中心に、個別課題と適宜、連携して研究を進めた。
1.患者・消費者団体とのワークショップと患者アドボケート育成プログラムの開発 
2.継続的な公開フォーラム
3. 診療ガイドライン作成班への患者・消費者参加の試行
結果と考察
診療ガイドラインに患者の視点を反映させる方法(Patient Questionの系統的な把握)としてAGREE評価法で挙げられた、開発グループへの患者参加、インタビュー調査の実施、開発グループによる患者の経験に関する文献レビューについて、日本の実情に応じて検討を行った。平成18年度は合計7回の公開フォーラム、セミナーを行い、医療者、患者、一般市民の立場の方々による双方向的コミュニケーションを進め、本課題に関する社会的議論の枠組みを整備した。非医療者を中心としたワーキンググループから、「診療ガイドライン作成への患者参加のためのガイドライン(Patient Involvement Guidelines: PIGL)」を提案した。一般論を集約し推奨を提示する診療ガイドラインに加え、個別性の高い「患者の経験」の共有と、そのためのデータベースの可能性について、英国DIPExの紹介を通じて国内でも議論の契機を提供した。
診療ガイドラインの新しい役割として「意思決定支援」「コミュニケーションの基点」「医療者の生涯教育」の3点が注目される。診療ガイドライン作成者の関心は、「作成」の段階に主として向けられているが、現状把握(臨床研究によるエビデンスと現場での臨床行為のギャップ)、作成、利用、普及、評価、更新の継続的プロセスを確立していくことが必要である。
結論
EBMを活用し、社会的視点も踏まえた診療ガイドラインの意義は今後もさらに大きくなるであろう。医療者と患者を結ぶ情報として、「エビデンスレベルが高い」とされる臨床試験(研究)に加え、「患者の経験(ナラティブ)」に関する情報も合わせて検討を進める意義がある。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200634028B
報告書区分
総合
研究課題名
「根拠に基づく診療ガイドライン」の適切な作成・利用・普及に向けた基盤整備に関する研究:患者・医療消費者の参加推進に向けて
課題番号
H16-医療-一般-031
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 一人(科学技術文明研究所)
  • 今中 雄一(京都大学大学院医学研究科)
  • 木内 貴弘(東京大学大学院医学系研究科)
  • 篠原 幸人(国家公務員共済組合連合会 立川病院)
  • 杉森 裕樹(聖マリアンナ医科大学)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 野村 英樹(金沢大学医学部附属病院)
  • 松下 隆(帝京大学)
  • 三木 健二(大阪国際大学)
  • 山崎 茂明(愛知淑徳大学)
  • 吉田 雅博(帝京大学)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院)
  • 水嶋 春朔(国立保健医療科学院)
  • 森川 馨(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 高橋 都(東京大学大学院医学系研究科)
  • 林 葉子(日本医療機能評価機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「診療ガイドライン」の目的は臨床家と患者双方の意思決定の支援である。本課題は医療者だけではなく患者・介護者の視点でも診療ガイドラインが適切に作成、利用され、そして普及していくための環境整備を目的とする。
研究方法
次の3本柱を中心に、個別課題と適宜、連携して研究を進めた。
1.患者・消費者団体とのワークショップと患者アドボケート育成プログラムの開発 
2.継続的な公開フォーラム
3. 診療ガイドライン作成班への患者・消費者参加の試行
結果と考察
本課題では、患者の視点(Patient Question: PQ)を活動のキーワードとした。診療ガイドラインに患者の視点を反映させる方法(PQの系統的な把握)としてAGREE評価法で挙げられた、開発グループへの患者参加、インタビュー調査の実施、開発グループによる患者の経験に関する文献レビューについて、日本の実情に応じて検討を行った。非医療者を中心としたワーキンググループから、「診療ガイドライン作成への患者参加のためのガイドライン(Patient Involvement Guidelines: PIGL)」を提案した。
国内ではガイドライン作成グループの関心は、医療者向けの診療ガイドラインに基づいた(連携した)質の高い患者向け情報(患者向けガイドライン)に向けられており、医療者向けガイドライン 自体に患者の視点を反映させる動きは乏しい。しかし診療ガイドライン作成グループが、一般向け解説集作成において、患者との協働を模索し始めていることは大きな一歩であろう。また患者の視点での重要な情報源として、一般論を集約する診療ガイドラインに加え、個別性の高い「患者の経験」の共有と、そのためのデータベースの可能性について、英国DIPExの紹介を通じて国内でも議論の契機を提供した。
診療ガイドラインの新しい役割として「意思決定支援」「コミュニケーションの基点」「医療者の生涯教育」の3点が注目される。診療ガイドライン作成者の関心は、「作成」の段階に主として向けられているが、現状把握(臨床研究によるエビデンスと現場での臨床行為のギャップ)、作成、利用、普及、評価、更新の継続的プロセスを確立していくことが必要である。
結論
EBMを活用し、社会的視点も踏まえた診療ガイドラインの意義は今後もさらに大きくなるであろう。医療者と患者・医療消費者の情報共有、コミュニケーションが深まり、医療の諸課題に共に向き合う信頼と協働が推進されることが願われる。  

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634028C