地域で生活する障害児・者の自律生活を支援する看護プログラムの開発―居住型モデルの開発・実践―

文献情報

文献番号
200634020A
報告書区分
総括
研究課題名
地域で生活する障害児・者の自律生活を支援する看護プログラムの開発―居住型モデルの開発・実践―
課題番号
H16-医療-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
杉下 知子(三重県立看護大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鳥居 央子(北里大学看護学部)
  • 大脇 万起子(滋賀県立大学人間看護学部)
  • 沖野 良枝(滋賀県立大学人間看護学部)
  • 石垣 和子(千葉大学看護学部)
  • 山本 則子(千葉大学看護学部)
  • 河原 宣子(京都橘大学)
  • 成田 有吾(三重大学医学部付属病院医療福祉支援センター)
  • 林 邦彦(群馬大学医学部)
  • 飯田 恭子(首都大学東京健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、在宅障害児・者とその家族の地域における自律した生活を可能とする看護による支援プログラムを開発することを目的としている。平成18年度は、小児領域(滋賀フィールド)および成人・高齢者領域(千葉・三重フィールド)にて、前年度までの活動を発展させた看護実践活動を実施し、自律支援プログラムについて検討することを目的とした。
研究方法
 各フィールドでプログラムのニーズ調査・実践を行った。滋賀フィールドでは知的障害者のグループホームにて短期滞在型看護支援プログラムを実施し、衛生状態改善、疾病管理・対応、気分転換活動提供、日常生活相談、不安・悩みの傾聴・相談を行った。千葉フィールドでは、園芸作業と看護師の健康相談によるプログラムの有効性を検討した。三重フィールドでは医療依存度の高い在宅療養者に外出支援看護プログラムを施行し、アセスメントシート等を試作・評価した。さらに、入院患者を対象に外出・外泊支援へのニーズと課題について面接調査を行った。加えて、地域の難病療養者、専門医・専門看護師を対象にテレビ電話による遠隔コンサルテーションの有効性や負担感などを調査した。さらに、地域で生活する障害者の自律支援について国際的に文献収集した。
結果と考察
 滋賀フィールドでは、それぞれの介入が対象者の問題解決に貢献し、対象者と看護実践者の双方が、知的障害児・者とその家族への看護支援の介在の重要性を認識した。千葉フィールドでは、プログラムが園芸を媒介して、会話や意思表出を促進していた可能性が示唆された。三重フィールドではプログラムは高い評価を得たが施策化に向け人件費等の確保が必要と考えた。長期療養者への面接調査では現状における外出・外泊の実情等が明らかとされた。遠隔コンサルテーションの調査では取り扱い上の問題点やプライバシーへの配慮を検討した。文献検討では、地域における介入研究の評価に関し30編の文献を対象に系統的レビューを行い、英国における地域生活を支援する障害者福祉サービスについて報告した。
結論
 平成18年度(最終年度)は、各プログラムの実践・評価を継続、各フィールド間で情報を共有し、居住型看護プログラムを中心とした障害児・者のライフスタイルを通じての自律支援看護プログラムを開発した。わが国で障害児・者の自律生活支援を推進する看護実践活動を地域で展開する上での基礎的資料となる知見が得られたと考える。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200634020B
報告書区分
総合
研究課題名
地域で生活する障害児・者の自律生活を支援する看護プログラムの開発―居住型モデルの開発・実践―
課題番号
H16-医療-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
杉下 知子(三重県立看護大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鳥居 央子(北里大学看護学部)
  • 大脇 万起子(滋賀県立大学人間看護学部)
  • 沖野 良枝(滋賀県立大学人間看護学部)
  • 法橋 尚宏(神戸大学医学部)
  • 石垣 和子(千葉大学看護学部)
  • 山本 則子(千葉大学看護学部)
  • 河原 宣子(京都橘大学看護学部)
  • 成田 有吾(三重大学医学部附属病院)
  • 林 邦彦(群馬大学医学部)
  • 飯田 恭子(首都大学東京健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 増加する在宅障害児・者が、地域で生涯を通じて自律して家族と生活することが可能となるように、ライフサイクルを通じての総合的な支援を目指した自律支援看護プログラムを開発することを目的した。
研究方法
 国内外の先駆的研究・実践活動や自律支援の現状についての文献等による調査を参考とし、滋賀・千葉・三重をフィールドとし、ニーズの把握と実践活動を行い、自律支援看護プログラムの検討を行った。平成16年度は、各領域でニーズの検討を行い、領域ごとに看護による自律支援プログラムの案を作成し、平成17年度は、それぞれの試案について、障害児・者と家族・研究者・地域の看護職者が共同で、実践・評価・修正を行った。平成18年度は、前年度までに立案・実践したプログラムの実践の継続および評価を行い、各領域間で情報を共有し、自律支援看護プログラムを検討した。
結果と考察
 地域で生活する障害者の自律支援について、英・米・北欧を中心に各国の資料や統計情報および文献をもとに検討し、自律支援プログラムのニーズは大きいとの示唆を得た。
滋賀フィールドでは知的障害者を対象とし、24時間体制での看護支援プログラムおよびグループホームでの短期滞在型看護支援プログラムを実施し、看護職者と知的障害児・者の保護者に看護料に関する調査を行った。グループホームに滞在して行う看護支援プログラムであれば、経費面の問題も概ね解決できると考えられ、試行の対象となった居住者およびホームの管理者からは続行を願う声も聴かれた。
千葉フィールドでは、千葉大学環境都市園芸フィールド科学教育研究センターと協力して、園芸作業と看護師の健康相談を組み合わせたプログラムを作成・実施し、有効性を検討した。三重フィールドでは医療依存度の高い在宅療養者に外出支援看護プログラムを施行し、アセスメントシート等を試作・評価した。さらに、入院患者を対象に外出・外泊支援へのニーズと課題について面接調査を行った。加えて、地域の難病療養者、専門医・専門看護師を対象にテレビ電話による遠隔コンサルテーションの有効性や負担感などを調査した。
結論
 3年間の活動を通して、居住型看護プログラムを中心とした自律支援看護プログラムを開発した。わが国で障害児・者の自律生活支援を推進する看護実践活動を地域で展開する上での基礎的資料となる知見が得られたと考える。今後も本研究の成果である看護プログラムをさらに発展させていきたい。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
在宅障害児・者が、地域で生涯を通じて自律して家族と生活することを可能するライフサイクルを通じての総合的な支援のための自律支援看護プログラムを開発することを目的とした。今回提示した看護支援プログラムは対象者の問題解決に貢献するものであり、わが国にはほとんど存在しない、障害児・者への居住型自律支援看護プログラムの有効性を示す成果が得られた。本研究の成果は、わが国で在宅障害児・者への看護職による自律支援プログラムを発展させる時のシーズ(モデル)となりうるものであり、学術的・社会的意義は高い。
臨床的観点からの成果
本研究からはいくつかの自律支援看護プログラムが得られたが、ここでは、その中心となる短期滞在型看護支援プログラムについて述べる。このプログラムは、今回の研究実践の場となったグループホームからその継続を求められている。これは、看護職者の活動による衛生状態の改善・疾病発見と医療機関の受診支援による健康状態の回復などの成果が得られ、その成果がグループホーム管理者や職員(看護職・福祉職)に認められたためと考えられる。このことは、本研究の成果の臨床的意義を示すものである。
ガイドライン等の開発
知的障害者のグループホームで実施した短期滞在型看護支援プログラムに関するフィールドノート(看護記録)の分析を現在進行中であり、その結果から居住型自律支援看護プログラムの立案・実践に関するガイドラインの開発を目指す予定である。
その他行政的観点からの成果
在宅知的障害児と家族へのプログラムについて、研究フィールドが位置していた彦根市の障害福祉課より、障害児の「日中一時支援事業」の位置づけで参画の打診を受けた。支援への支払い金額は既存の支援機関と同額が提示されていた。参画するか否かについては、リスクマネージメントの検討が重要課題の1つであるため、参画条件など、現在、行政と実施者の双方の立場から前向きに検討をしているが、この依頼は、知的障害者や家族のニーズを満たす1つの看護支援として、今回実施したプログラムが行政機関の認知を得られた結果と考える。
その他のインパクト
通所社会復帰施設を利用している精神障害者に対して、地域で活動する看護師、すなわち訪問看護師や保健師による週一回程度の健康相談が、彼らの精神的、身体的健康の増進に有効であることを示した。また、高齢・過疎化が進み、サービス量も少ない地域における医療依存度が高い障害児・者に対して訪問看護師による外出支援プログラムが有効であることを示した。これらの結果は、上記プログラムの今後の施策化への発展の必要性を示したものである。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
中井三智子,成田有吾,杉下知子,他
.携帯電話映像通信機能を用いた神経難病患者の在宅療養支援の試み -映像通信の質の検討-
Japanese Journal of Telemedicine and Telecare , 2 (2) , 84-87  (2006)

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-