歯科医療における院内感染防止システムの開発

文献情報

文献番号
200634013A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医療における院内感染防止システムの開発
課題番号
H16-医療-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
泉福 英信(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 公文裕巳(岡山大学 大学院医歯学総合研究科泌尿器病態学)
  • 高柴正悟(岡山大学 大学院医歯学総合研究科歯周病態学)
  • 西村英紀(広島大学 大学院医歯学総合研究科健康増進歯学)
  • 狩山玲子(岡山大学 大学院医歯学総合研究科泌尿器病態学)
  • 小森康雄(東京医科大学 口腔外科学)
  • 苔口進(岡山大学 大学院医歯学総合研究科口腔微生物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は平成16年度、平成17年度に行ったアンケート調査の分析で明らかになった情報を基にして意識、知識、行動に分けアンケート項目を絞り再度アンケート調査を行い、院内感染対策を歯科医療へ導入するためには何が重要か明確にする。さらに歯科医療器具の微生物汚染検査システムあるいはツールを加えて院内感染防止システムを構築することを目的にした。
研究方法
アンケート調査では、神奈川県歯科医師会所属歯科医師3873人を対象に、年齢、一日の来院数、標榜科においてそれぞれグループに分け、それぞれの質問項目におけるグループ間の差を算出し検討を行った。また、歯学部学生や歯科衛生士学校生に対して院内感染防止対策に関する意識調査を行った。デンタルユニット内循環水における病原微生物検査と残留塩素検査を5施設分行った。リアルタイムPCR、ガラスキャピラリーフローセルシステム、LAMP法など微生物汚染検査法の検討を、口腔ケアや薬剤によるバイオフィルム形成阻止方法を含めて検討を行った。
結果と考察
院内感染対策を導入するためには、歯科医院の経営を充実することと同様に手間を惜しまずにその意欲を持ち、若い年齢の時から積極的に口腔外科を行うような専門性を高めて行くことが重要である。そのことが、患者との信頼関係を増すことになり来院行動にもつながることも明らかにした。またすでに卒業した40才以上の歯科医師に対して再教育が重要であることも明らかとなった。歯学科学生と歯科衛生士学校生は院内感染に対する意識は高いものの、病原体に対する基礎知識が不十分であり、院内感染教育の充実が重要であることを明らかにした。使用を開始してから5年以上経過したデンタルユニットは、排水の微生物汚染状況と残留塩素検査を行い、ホースの交換を含めたユニット内微生物汚染の改善が必要であることを明らかにした。16年度および17年度に開発したLAMP法による迅速検出法やキャピラリーフローセルなどを用いたバイオフィルム形成の評価は、歯科用医療器具や機材への病原微生物の付着防止や口腔ケアや薬物を用いた院内感染防止方法を開発するため有用であることを確認した。
結論
病原体および院内感染に関する歯科医師や歯科衛生士に対する学生教育、口腔外科などの専門性を高めた卒後研修、40才以上の歯科医師に対しての再教育の重要性を示し、デンタルユニット排水や歯科用医療器具の検査システムを構築した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200634013B
報告書区分
総合
研究課題名
歯科医療における院内感染防止システムの開発
課題番号
H16-医療-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
泉福 英信(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 公文 裕巳(岡山大学 大学院医歯学総合研究科泌尿器病態学)
  • 高柴 正悟(岡山大学 大学院医歯学総合研究科歯周病態学)
  • 西村 英紀(広島大学 大学院医歯学総合研究科健康増進歯学)
  • 狩山 玲子(岡山大学 大学院医歯学総合研究科泌尿器病態学)
  • 小森 康雄(東京医科大学 口腔外科学)
  • 苔口 進(岡山大学 大学院医歯学総合研究科口腔微生物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科医療を行うにあたって、その安全性の確保は最も重要な課題であるが、その監視体制はいまだ整っていない。本研究は、アンケート調査の分析で明らかになった情報を基にして、院内感染対策に対する意識、知識、行動の現状を把握し、院内感染対策を導入するために何か必要か明らかにし、微生物汚染検査システムあるいはツールを開発して、歯科医療における院内感染防止システムを構築することを目的にした。
研究方法
平成16年からの3年間で計4回のアンケート調査を実施した。アンケート内容は、院内感染対策の意識、知識、行動の3つの項目に沿って質問内容を作成し調査結果からそれぞれの質問項目の割合、大学卒業年度(年齢)、男女、標榜科、患者人数とそれらの質問項目の関連性を検討した。・歯学部学生や歯科衛生士学校生に対する院内感染防止対策に関する意識調査も行った。歯科用ハンドピース、エアーシリンジからの排水中の微生物汚染状況、リアルタイムPCR,キャピラリーフローセル、LAMP法などの歯科医療器具への付着微生物の検査方法の確立を行った。
結果と考察
卒後研修を受け、卒業年度が若い歯科医師は院内感染対策に関する意識が高いこと、若い年齢で口腔外科を標榜し来院患者数の多い歯科医師は、院内感染対策に対する意識や行動力が高いことが明らかとなった。40才以上のすでに卒業した歯科医師の院内感染に対する再教育が必要であることも明らかとなった。また、歯学部学生や歯科衛生士学校生は院内感染に対する意識は高いものの、十分な知識を得ていないことが明らかとなった。使用を開始してから5年以上経過した歯科ユニットは、排水の病原微生物や残留塩素の検査が必要であり、場合によってホースの交換や微生物除去処理が必要であることが明らかとなった。リアルタイムPCR,キャピラリーフローセル、LAMP法などの歯科医療器具への付着微生物の検査および除菌、消毒、滅菌の評価方法を確立した。
結論
院内感染に対する学生教育、卒後研修における口腔外科教育、卒後研修システムの充実が重要であることが明らかにした。特に40才以上のすでに卒業した歯科医師に対する再教育が重要な課題であることを明らかにした。5年おきの歯科用ユニット排水の微生物および残留塩素検査、リアルタイムPCR,キャピラリーフローセル、LAMP法などによる迅速検査方法を用いた歯科医療用器具の微生物付着状況の定期検査システムを構築した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634013C