院内感染地域支援ネットワーク及び相談体制の改善・普及や、データベースおよびバックアップ体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200634010A
報告書区分
総括
研究課題名
院内感染地域支援ネットワーク及び相談体制の改善・普及や、データベースおよびバックアップ体制の構築に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
倉辻 忠俊(国立成育医療センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 切替 照雄(国立国際医療センター 感染制御研究部)
  • 大久保 憲(東京医療保健大学 医療情報学科)
  • 芦田 信之(甲子園大学 現代経営学部医療情報学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
院内感染防止は、医療の質を高め、国民に安全な医療を提供する上で、重要な課題である。感染症の専門家のいない中小規模の病院・保健福祉施設や単科病院において、院内感染を効果的に防止するために、技術支援・相談体制の地域ネットワークをモデル地区で構築、試行し、全国展開に必要な事項を点検し、提言することを目的とした。
研究方法
1.モデル道県の担当部署および相談事業責任者を訪問し、現状の調査と問題点を把握する。2.院内感染防止に効果を挙げているスウェーデン保健・社会事業省及び国立感染予防研究所を訪問、地域支援システムの実際保調査し、参考部分を導入する。3.ネットワークの点検と、簡単マニュアルを作成し、モデル道県の担当部署に配布する。4.既に本研究で作成した院内感染相談事例報告様式を用い、相談事例を収集、解析して事例報告集・Q&A集を作成する。5.相談事業に必要なバックアップ事項を調査し、その資料を作成する。
結果と考察
1.院内何戦防止技術支援に必要な、①自治体の担当部署とその責務、②相談事業担当者の構成・人数、相談手段、対処、事例報告、③他の方法として、講演会、講習会、施設ラウンド、④予算、等を提言した。2.多剤耐性緑膿菌、カテーテル関連感染、ICTの機能等の相談事項を収集分析し、事例集にまとめた。3.Web登録につき、マニュアルを改善し、配布した。4.バックアップとして、エビデンス集やマニュアル例の他に、厚生労働省からの通知及びその解説、国立感染症情報センター、関連学会・研究会のマニュアル等の紹介とリンクが提言された。5.バックアップ機関は国立国際医療センターとし、ホームページ上に「院内感染防止」欄を設置、エビデンス集、院内感染防止手順、トピックス等を掲載した。また、4での提言事項を掲載する。
結論
専門家のいない中小規模病院・老健施設、単科病院に対し、地方自治体、病院協会、医師会等が協力し、相談事業、講演会、講習会を提供する条件を提言した。臨床的な院内感染防止に関しては、国立国際医療センターでバックアップ体制を組織し、ホームページで情報提供すると、地方自治体や相談事業担当者は、能率を上げることができる。そのための体制を構築し、条件を提言した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200634010B
報告書区分
総合
研究課題名
院内感染地域支援ネットワーク及び相談体制の改善・普及や、データベースおよびバックアップ体制の構築に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
倉辻 忠俊(国立成育医療センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

行政効果報告

文献番号
200634010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
院内感染対策について、国・自治体の役割を明確にし、地域における技術支援ネットワークの構築の条件を明らかにした。
臨床的観点からの成果
院内感染対策に必要な、基本的ガイドライン、Q&A、感染関連の専門学会、欧米のガイドラインなどの一覧およびリンク集を作成し、臨床の現場ですぐに利用できるようなバックアップ体制を構築し、国立国際医療センターのホームページに掲載した。
ガイドライン等の開発
医療機関からの質問や要望に基づき、「院内感染防止手順」に新しい項目を追加すると共に、医療の現場でより使い易いものに改訂し、発刊と同時に国立国際医療センターのホームページに掲載した。
その他行政的観点からの成果
「院内感染中央会議」第1回2005年1月13日、第2回2006年3月20日、第3回2006年9月6日、第4回2007年3月15日に逐次報告、他の院内感染関連研究と関連を保ちながら、全国展開への提案をした。
その他のインパクト
第22回日本環境感染学会(2007年2月24日)のシンポジウム「地域ネットワークでできたこと、できなかったこと」をとりあげ、モデル道県の内、青森県、静岡県、滋賀県、香川県、鹿児島県の5県が発表した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
12件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sekiguchi J, Kuratsuji T, Kirikae T, et al
Outbreaks of multidrug- resistant Pseudomonas aeruginosa in community hospitals in Japan.
J Clin Microbiol , 45 , 979-989  (2007)
原著論文2
Sekiguchi J, Kuratsuji T, Kirikae T, et al
Emergence of rifampicin resistance in methicillin-resistant Staphylococcus aureus in tuberculosis wards.
J Infect Chemother , 12 , 47-50  (2006)
原著論文3
Itoyama S, Kirikae T, Kuratsuji T, et al.
Identification of an alternative 5’-untranslated exon and new polymorphism of angiotensin- converting enzyme 2 gene: lack of association with SARS in the Vietnamese population.
Am J Med Genet A , 136 , 52-57  (2005)
原著論文4
Hamano E, Kirikae T, Kuratsuji T, et al.
Polymorphisms of interferon-inducible genes OAS-1 and MxA associated with SARS in the Vietnamese population.
Biochem. Biophysic. Res. Commun , 329 , 1234-1239  (2005)
原著論文5
Xiao W, Ishizaka A, Kirikae T, et al.
Sputum cathelicidin, urokinase plasminogen activation system components and cytokines discriminate cystic fibrosis, COPD and asthma inflammation.
Chest , 128 , 2316-2326  (2005)
原著論文6
Sekiguchi J, Kuratsuji T, Kirikae T, et al.
Multidrug- resistant Pseudomonas aeruginosa strain that caused an outbreak in a neurosurgery ward and its aac(6’)-Iae gene cassette encoding a novel amino- glycoside acetyltransferase.
Antimicrob. Agents Chemother , 49 , 3734-3742  (2005)
原著論文7
Sekiguchi J, Kuratsuji T, Kirikae T, et al.
Cloning and characterization of a novel trimethoprim-resistant dihydrofolate reductase from a nosocomial isolate of Staphylococcus aureus CM.S2 (IMCJ1454).
Antimicrob. Agents Chemother , 49 , 3948-3951  (2005)
原著論文8
Sekiguchi J, Kuratsuji T, Kirikae T, et al.
Survey of human immunodeficiency virus (HIV)-seropositive patients with mycobacterial infection in Japan.
J Infect , 51 , 364-374  (2005)
原著論文9
Nishimura H, Kuratsuji T, Kirikae T, et al.
Rapid awareness and transmission of severe acute respiratory syndrome in Hanoi French Hospital, Vietnam.
Am J Trp Med Hyg , 73 , 17-25  (2005)
原著論文10
Makimoto K, Ashida N, Qureshi N, et al.
Development of a nosocomial outbreak investigation database.
J Hosp Infect , 59 , 215-219  (2005)
原著論文11
Ashida N, Takemura T, Kirikae T, et al.
A development of the nationwide report-gathering network system to prevent nosocomial infection.
Health Com  (2005)
原著論文12
12. Takemura T, Takemura T, Ashida N, Kirikae T. et al.
A development of an efficient information collecting and retrieval system using an agent technology - for infectious disease.
Haelth Com  (2005)
原著論文13
切替照雄、倉辻忠俊.
地域支援ネットワーク構築の新しい流れ:地域ネットワークの現状と将来展望.
医学のあゆみ , 218 , 1079-1082  (2006)
原著論文14
大久保憲
医療の質・医療評価の観点からみた感染制御.
医学のあゆみ , 218 , 1049-1052  (2005)
原著論文15
大久保憲、小林寛伊、山崎きよ子
院内感染対策関連の省令改正に伴う各医療施設の対応についての調査.
日本手術医学会誌 , 27 , 105-109  (2006)
原著論文16
大久保憲
エビデンスに基づく手術室感染制御.
日本手術医学会誌 , 26 , 7-14  (2006)
原著論文17
大久保憲
院内感染への取り組み.
日本医事新報 , 4162 , 28-32  (2006)
原著論文18
倉辻忠俊
ICT:組織としての対応を理解する
臨床医 , 31 , 1409-1410  (2005)
原著論文19
芦田信之、牧本清子、切替照雄、他.
院内感染予防における全国報告事業の展開:事例報告ネットワークシステムの構築.
甲子園大学紀要 , 32 , 7-14  (2005)
原著論文20
倉辻忠俊、宮崎久義、切替照雄、他.
改定2版・院内感染防止手順-すぐ実践できる.
メドカルフレンド社 , 1-220  (2006)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-