黄斑変性カニクイザルを用いた補体活性抑制剤による加齢黄斑変性の予防・治療法の確立と情報収集解析システムの開発

文献情報

文献番号
200633056A
報告書区分
総括
研究課題名
黄斑変性カニクイザルを用いた補体活性抑制剤による加齢黄斑変性の予防・治療法の確立と情報収集解析システムの開発
課題番号
H18-難治-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
岩田 岳(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 寺尾 恵治(国立医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
  • 吉川 泰弘(東京大学大学院農学生命科学科)
  • 溝田 淳(順天堂大学医学部浦安病院眼科)
  • 西村 俊秀(東京医科大学臨床プロテオームセンター)
  • 村上 晶(順天堂大学医学部眼科)
  • 安川 力(名古屋市立大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
47,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は国立医薬基盤研究所霊長類医科学研究センターで発見された世界で唯一の若年性黄斑変性カニクイザルの病理学的及び分子生物学的解析を行ってきた。疾患サルはヒト加齢黄斑変性の初期に観察されるドルーゼンが生後2年で観察され、その構成蛋白に補体活性因子が含まれていることを発見した。今回我々は血管新生が始まる前の段階での補体抑制よって加齢黄斑変性の予防が可能かこの霊長類モデルを用いて検討を行う。また、疾患サルの原因解明と日本人における加齢黄斑変性リスク遺伝子を明らかにして、補体活性化の原因を解明する。
研究方法
これまで繁殖してきた黄斑変性カニクイザルについて眼底観察に加えて、OCT観察、局所ERG測定を行う。補体活性化経路が合流する補体因子C3とその下流のC5に対する阻害剤を利用してドルーゼンの蓄積を阻害できるか実験を行う。大型家系に繁殖した疾患サルについて霊長類マカカ属用に開発された連鎖解析マーカーを利用して連鎖解析を行う。疾患と連鎖する遺伝子座が明らかになれば、ポジショナルクローニングによって遺伝子同定を試みる。また、日本人の加齢黄斑変性の背後にある遺伝因子を明らかにするために、遺伝子多型解析を行う。
結果と考察
若年性黄斑変性カニクイザルに対する補体抑制実験の準備が整い、間もなく実験が開始される。実験期間は1年間とし、効果が確認された場合は叙法剤の開発を含めて、投与量、投与間隔を延長する予防法を検討する。連鎖解析の結果、特定の染色体領域に優位な連鎖が確認された。今後この領域の遺伝子について遺伝子変異の探索を行う。原因遺伝子の同定はドルーゼン生成のメカニズムを解明するための重要な情報をもたらすと考えられる。
結論
今回我々は霊長類モデルを用いて補体抑制による加齢黄斑変性の予防が可能であるか、動物実験系を組むことに成功した。今後1年間の結果が期待される。また、マカカ属用の連鎖解析マーカーの出現によって大型家系の連鎖解析を進行した。ヒト加齢黄斑変性患者の遺伝子多型解析によってリスク遺伝子の探索が行われている。

公開日・更新日

公開日
2007-05-02
更新日
-