難治性膵疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633037A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性膵疾患に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-028
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大槻 眞(産業医科大学医学部 消化器・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 武田 和憲(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 外科)
  • 峯 徹哉(東海大学医学部 消化器内科学)
  • 下瀬川 徹(東北大学大学院 消化器病態学)
  • 片岡 慶正(京都府立医科大学大学院 消化器病態制御学)
  • 竹山 宜典(近畿大学医学部 外科学肝胆膵部門)
  • 広田 昌彦(熊本大学医学薬学研究部 消化器外科学)
  • 丸山 勝也(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター)
  • 川 茂幸(信州大学健康安全センター)
  • 西森 功(高知大学医学部 消化器内科学)
  • 岡崎 和一(関西医科大学 内科学第三)
  • 成瀬 達(名古屋大学大学院 消化器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症急性膵炎では,急性膵炎(ERCP後膵炎を含む)の診断と重症度判定基準の作成と検証,特定疾患医療受給者証新規及び更新交付申請書の改訂,慢性膵炎では,早期慢性膵炎診断方法の確立,慢性膵炎の転帰(悪性腫瘍の種類と頻度)と合併症の解明,膵性糖尿病の疫学調査,自己免疫性膵炎(AIP)の診断基準の改訂と活動評価方法の検討,膵嚢胞線維症(CF)では,病態と原因遺伝子(CFTR)変異の解明である.
研究方法
急性膵炎診断基準と重症度判定基準改訂案の妥当性を検証し,公聴会を開催した.特定疾患治療研究事業の全国調査をした.慢性膵炎全国調査の臨床調査票を基に,糖尿病の合併を解析した. また,膵性糖尿病患者の全国疫学調査を実施した.さらに,慢性膵炎患者追跡期間中の死因別標準化死亡率(SMR)を算出した.AIP臨床診断基準改訂案に対する公開討論会と日韓AIPシンポジウムを開催した.CFの臨床調査票を解析し,病状経過と治療の実態を明らかにした. 
(倫理面への配慮)全ての研究は主任研究者と担当研究者の所属する機関の倫理委員会の承認後に実施した.
結果と考察
急性膵炎重症度判定基準では,予後因子と造影CT Grade分類を独立させて判定できるようにした.重症急性膵炎医療受給更新者の中には更新理由が不明でも更新が認められていたので,更新用臨床個人調査票の改訂案を作成した.アルコール性慢性膵炎では早期の可逆的な時期での診断が可能であった.慢性膵炎患者の約4割が糖尿病を合併していたが,糖尿病合併症の頻度は低かった.2005年1年間の膵性糖尿病受療患者数は42,100人,有病患者数は人口10万人当たり32.9人と推定された.慢性膵炎患者のSMRは一般集団の1.55倍,特に膵癌では 7.84倍と著しく高かった.AIP臨床診断基準2006を発表した.CF患者の死因は全て呼吸器感染か呼吸不全であった.
結論
急性膵炎診断基準と重症度判定基準改訂最終案を作成し,検証した.重症急性膵炎に対する医療受給証更新用臨床個人調査票の改訂案を作成した.2005年1年間の膵性糖尿病推定受療患者数は42,100人であった.慢性膵炎患者では,膵癌による死亡が一般集団の7.84倍と著しく高かった.AIP臨床診断基準2006を発表した.CF患者の死因は全て呼吸器感染か呼吸不全であった.

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-