プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633022A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(国立大学法人東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 毛利 資郎(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究所 動物衛生研究所 プリオン病研究センター)
  • 三好 一郎(公立大学法人名古屋市立大学 実験動物研究教育センター)
  • 金子 清俊(東京医科大学 医学部・神経生理学講座)
  • 桑田 一夫(岐阜大学 人獣感染防御センター)
  • 佐伯 圭一(東京大学大学院農学生命科学研究科・応用免疫学研究室)
  • 小林 篤史(東北大学大学院医学系研究科CJD早期診断・治療法開発分野)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院獣医学研究科・プリオン病学講座)
  • 坂口 末廣(徳島大学分子酵素学研究センター分子細胞学部門)
  • 松田 治男(広島大学大学院生物圏科学研究科・生物機能開発学専攻分子生命開発学講座(免疫生物学))
  • 横山 隆(動物衛生研究所・プリオン病研究センター(プリオン病研究室))
  • 堂浦 克美(東北大学大学院医学系研究科・プリオン蛋白分子解析分野)
  • 山田 達夫(福岡大学医学部内科学第5)
  • 調 漸(長崎大学医学部・へき地病院再生支援・教育機構)
  • 岩城 徹(九州大学大学院医学研究院・神経病理学)
  • 村山 繁雄(東京都老人総合研究所老年病のゲノム解析研究チーム・高齢者ブレインバンク)
  • 湯浅 龍彦(国立精神・神経センター国府台病院神経内科)
  • 三條 伸夫(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経病態学(神経内科学)分野)
  • 中村 好一(自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門)
  • 山田 正仁(金沢大学大学院医学系研究科・神経内科学(脳老化・神経病態学教室))
  • 市山 高志(山口大学医学部附属病院小児科)
  • 細矢 光亮(福島県立医科大学医学部・小児感染症学/小児神経学(小児科学教室))
  • 楠原 浩一(九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野小児科学、小児感染症学、臨床ウイルス学)
  • 堀田 博(神戸大学大学院医学系研究科・微生物学(ウイルス学教室))
  • 網 康至(国立感染症研究所・実験動物学(村山分室動物管理室))
  • 柳 雄介(九州大学大学院医学研究院・ウイルス学)
  • 澤 洋文(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター分子病態・診断部門)
  • 原 由紀子(杏林大学医学部病理学教室)
  • 岸田 修二(東京都立駒込病院・神経内科学(神経内科学部門))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
100,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プリオン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)のわが国における疫学的実態を明らかにし、発症機序の解明、治療法・予防法の開発、感染予防対策、患者等のケアなどを推進する。
研究方法
プリオン病、SSPEはサーベイランス委員を研究協力者として組織し各都道府県の行政担当、難病担当専門医と協力して全国サーベイランスを行い、PMLは分科会を組織しアンケート調査を行った。発症機序等の研究は基礎医学者、獣医学者、臨床研究者が分担研究者・研究協力者として各々の研究を推進するとともに共同研究など相互交流を深め全体水準の向上を目指し、国際的にその成果を発信していく。
結果と考察
プリオン病では全国サーベイランス体制のもとに817例を認定し多数の疫学・臨床研究の成果が得られ、変異型CJD疑診例や非典型的CJD例の分析からMM2型やMV2型の重要性が明らかになった。医療行為を介した二次感染可能事例が引き続き発生し、個々に対応すると共に厚労省の二次感染対策委員会と協力して英国等を参考に専門体制の準備を進めた。SSPEも次年度の本格的疫学調査を目指して体制が整備され、PMLでは一昨年来の疫学調査の追跡調査を行った。
プリオン病の診断では遺伝子・髄液検査を集中化し、MRI等画像診断の標準化の検討を開始した。基礎研究ではプリオン蛋白の正常機能と異常化の機序、モデル動物を用いた感染効率の研究、SSPEにおけるサイトカインの作用、感受性遺伝子の人種間比較評価、SSPEモデル動物の開発、PMLの発症機序、JCウイルス遺伝子変異の検索、JCウイルス結合蛋白の同定等の領域で顕著な研究成果が得られ、多くは国際的一流誌に掲載され世界へ向けて発信された。プリオン病のペントサン治療の臨床試験、SSPEのリバビリン治療の臨床試験が進展し、診療ガイドラインについてはSSPEで新規作成が完了し、PMLではその改訂が進んだ。プリオン病の国際会議を後援し、SSPEでは海外多発地域との共同研究が進展した。
結論
対象三疾患いずれも疫学研究、診断法開発や試験治療を含む臨床研究、発症機序に係わる基礎研究、関連獣医学的研究などが大きく進展した。とくにプリオン病についてはサーベイランス体制強化や二次感染予防対策が進み、患者等のケア対策も進んだ。これらの成果は国際会議や共同研究などを通じて発信され国際的にも高く評価されている。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
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