骨髄間質由来筋前駆細胞と筋ジストロフィー犬を用いた筋ジストロフィーに対する細胞移植治療法の開発

文献情報

文献番号
200632069A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄間質由来筋前駆細胞と筋ジストロフィー犬を用いた筋ジストロフィーに対する細胞移植治療法の開発
課題番号
H18-こころ-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
武田 伸一(国立精神・神経センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 友子(国立精神・神経センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部)
  • 中村 昭則(国立精神・神経センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部)
  • 島津 美樹(国立精神・神経センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部)
  • 出沢 真理(京都大学大学院医学研究科)
  • 鍋島 陽一(京都大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
38,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症の遺伝性疾患であって糖質ステロイド剤の投与以外には有効と認められた治療のないDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)について比較的採取と培養が可能な骨髄間質細胞とDMDに類似した重症で進行性の症候を示す筋ジストロフィー犬(筋ジス犬)を用いて効率の高い細胞移植法を開発する。
研究方法
1.約4ヶ月齢の正常犬ビーグル犬を麻酔し、骨髄穿刺して、約8mlの骨髄液を採取した後、既に発表されている方法(Science 309:314-7, 2005)に従って、サイトカインのカクテルとNotch遺伝子を用いて筋細胞を誘導した。
2.筋ジス犬について、臨床評価スケール、トレッドミル、平地15m走、3.0T MRIを用いて機能評価を試みた。MRIについては、T1強調画像、T2強調画像の他、選択的脂肪抑制T1強調画像、選択的脂肪抑制造影T1強調画像(CHESS-Gd-T1WI)を用いて解析した。
3.骨髄間質細胞由来の筋細胞移植に用いる予定のmicro-dystrophin遺伝子をレンチウイルスベクターに組み込んで筋衛星細胞に導入し、mdxマウス骨格筋に移植した。
結果と考察
1.正常ビーグル犬の骨髄間質細胞から筋細胞を誘導することに成功した。今後、更に確実に骨髄間質細胞から筋細胞を誘導するために間葉系細胞から筋細胞への誘導に用いられている他の方法についても検討を進める必要がある。
2.3.0T MRIを用いた筋ジス犬の大腿及び下腿の機能評価を進めた結果、CHESS-Gd-T1WIが有用で、薄筋や前脛骨筋が生後2ヶ月目という早い時期から優先的に障害されることが明らかにされた。
3.micro-dystrophin遺伝子組み換えレンチウイルスベクターを導入した筋衛星細胞を移植したジストロフィン陰性のmdxマウス骨格筋からmicro-dystrophin陽性の筋線維が多数、検出された。
結論
1.骨髄間質細胞は、採取が比較的容易で培養が可能であるという長所を有するので、今後、他の筋細胞誘導法についても研究を進める必要がある。
2.治療用モデル動物としての筋ジス犬の評価系をMRIを中心として確立することができた。殊に、選択的脂肪抑制造影T1強調画像が筋ジス犬骨格筋の早期の異常を検出できることを明らかにした。
3.骨髄間質細胞由来の筋細胞に組み込む予定のmicro-dystrophinの機能を更に明らかにする必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-25
更新日
-