文献情報
文献番号
200632026A
報告書区分
総括
研究課題名
広汎性発達障害・ADHDの原因究明と効果的発達支援・治療法の開発―分子遺伝・脳画像を中心とするアプローチ―
課題番号
H17-こころ-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 進昌(東京大学医学部附属病院精神神経科)
研究分担者(所属機関)
- 佐々木司(東京大学保健センター)
- 笠井清登(東京大学医学部附属病院精神神経科)
- 金生由紀子(東京大学「こころの発達」診療部)
- 難波栄二(鳥取大学生命機能研究センター)
- 松本英夫(東海大学医学部精神科学部門)
- 山本賢司(北里大学医学部精神神経科)
- 定松美幸(滋賀医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
27,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚労省の支援により平成14年度から行ってきた複数機関共同研究をさらに進め、平成17年度からは従来の広汎性発達障害(PDD)にADHDを加えて、発達障害の病態・病因解明のための研究を行った。
研究方法
1)脳画像研究として、voxel-based morphometry(VBM)及び用手法による脳体積測定、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)、prepulse inhibition(PPI)の測定を行った。2)分子遺伝研究として、家系240例を含む300例以上のサンプルにつき解析した。3)新生児期低甲状腺機能ラット(PTUラット)について、脳内セロトニン濃度を操作して行動解析を行った。
結果と考察
脳画像研究: Broca野をPDDとの関連が示唆されるBA44とBA45とに区分けするトレース法を確立し、PDD群では健常群と比べて左側BA44で著明な体積減少を認め、診断マーカーとなりうることを見出した。
NIRSを用いてPDDにおける前頭葉機能異常を鋭敏に反映する指標を確立した。かつPDDでは前頭葉機能の発達が障害されていることを見出し、NIRSがPDDにおける脳機能発達レベルを縦断的にフォローする臨床指標として利用できる可能性を示唆した。
ADHD児について、NIRSを用いた認知課題の最適化を行い、stop signal taskを用いたNIRS計測法を確立した。
分子遺伝研究: 7番領域では若干の遺伝子でSNPとPDD(特に自閉症)とに統計学的に有意な関連を観察したが、15番染色体のSNPについては有意な結果は得られなかった。
ヒスチジンの長さの多型をもつHOXA1遺伝子により細胞機能が障害され、神経分化の異常が引き起こされることが明らかになり、この多型は精神神経疾患の新たな原因になる可能性が示された。
NIRSを用いてPDDにおける前頭葉機能異常を鋭敏に反映する指標を確立した。かつPDDでは前頭葉機能の発達が障害されていることを見出し、NIRSがPDDにおける脳機能発達レベルを縦断的にフォローする臨床指標として利用できる可能性を示唆した。
ADHD児について、NIRSを用いた認知課題の最適化を行い、stop signal taskを用いたNIRS計測法を確立した。
分子遺伝研究: 7番領域では若干の遺伝子でSNPとPDD(特に自閉症)とに統計学的に有意な関連を観察したが、15番染色体のSNPについては有意な結果は得られなかった。
ヒスチジンの長さの多型をもつHOXA1遺伝子により細胞機能が障害され、神経分化の異常が引き起こされることが明らかになり、この多型は精神神経疾患の新たな原因になる可能性が示された。
結論
3分野それぞれに今後残された研究につながる成果を得ることが出来た。
画像研究では、PDDにおいて、ミラーニューロンシステムを担うBA44野の灰白質体積減少が非常に鋭敏な診断ツールとなる可能性が示唆された。分子遺伝研究では、7番染色体長腕について有望な関連が示唆され、引き続き検討を進める。
ADHDについてNIRSでの診断法が示唆された。さらに、平成19年2月に行った公開シンポジウムで、治療教育には発達的観点及び科学的検討が重要であるとの理解が促進された。
画像研究では、PDDにおいて、ミラーニューロンシステムを担うBA44野の灰白質体積減少が非常に鋭敏な診断ツールとなる可能性が示唆された。分子遺伝研究では、7番染色体長腕について有望な関連が示唆され、引き続き検討を進める。
ADHDについてNIRSでの診断法が示唆された。さらに、平成19年2月に行った公開シンポジウムで、治療教育には発達的観点及び科学的検討が重要であるとの理解が促進された。
公開日・更新日
公開日
2007-04-24
更新日
-