文献情報
文献番号
200632008A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺の実態に基づく予防対策の推進に関する研究
課題番号
H16-こころ-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
北井 暁子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
- 竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
- 川上 憲人(東京大学大学院医学系研究科)
- 高橋 祥友(防衛医科大学校 防衛医学研究センター)
- 宇田 英典(川薩保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自殺の実態に基づいて予防対策を推進するため、(1)わが国に適した自殺の心理学的剖検の実施方法を明らかにすること、(2)現場で使いやすい自殺対策マニュアルの作成を行うこと、を目的とした。
研究方法
(1)心理学的剖検のパイロットスタディでは、精神保健的観点に限らず、社会的要因を含めて、自殺の多様かつ複合的な原因および背景を明らかにすることができるよう、平成17年度フィージビリティスタディの成果を踏まえて、11箇所の都道府県・指定都市において、それぞれ事例群3例、対照群3例を目標に調査を実施し、調査の実施過程および調査結果をもとに、調査方法論の評価を行った。また、得られた情報をもとに自殺死亡に関連する危険因子の数量的分析と、事例群のライフチャートの分析を行った。
(2)本研究班のこれまでの分担研究成果等をもとに、現場担当者が利用しやすく、すぐに必要なページを参照できるよう小冊子版とDVDによる自殺対策マニュアルを作成した。
(2)本研究班のこれまでの分担研究成果等をもとに、現場担当者が利用しやすく、すぐに必要なページを参照できるよう小冊子版とDVDによる自殺対策マニュアルを作成した。
結果と考察
(1)18年度研究において調査が実施できた事例は、54例(事例群28例、対照群26例)であり、パイロットスタディとして達成すべき事例数の調査を行うことができた。調査方法論については、調査に参加した都道府県・指定都市から具体的な提案があり、これらは本格的な調査の実施に反映できる内容と考えられた。危険因子の数量的分析の結果、社会階層の低さ(低所得)、直前6ヶ月間の生活出来事、過去1年間の社会的支援の低さ、過去1ヶ月の社会機能水準の低さ、過去1年間の重症な疾患への罹患が危険因子である可能性が示された。また自殺未遂の経験、自殺を口に出すこと、不注意・無謀行為、不眠が自殺のサインである可能性が示された。事例分析では、本格的な調査においてどのようなライフチャートを作成して分析するか、その方針を明らかにすることができた。また、ライフステージごとに詳細な心理学的剖検を行うことにより、自殺に至るプロセスから自殺のタイプを分類し、自殺対策に活用できる可能性があることが示された。さらに、心理学的剖検をもとにどの程度精神医学的診断が可能であるかも把握できた。
(2)自殺予防総合対策に資するため、小冊子版とDVDによる自殺対策マニュアルを作成した。
(2)自殺予防総合対策に資するため、小冊子版とDVDによる自殺対策マニュアルを作成した。
結論
心理学的剖検のパイロットスタディを実施し、本格的な調査の実施の準備を行うとともに、現場で活用しやすい自殺対策マニュアルを作成した。
公開日・更新日
公開日
2007-04-18
更新日
-